第22話 首領
ヨハン達はそのまま応接室に軟禁された。
机とか戦闘に使えそうな撤廃したが、魔法の杖を奪った、魔力感知などで身体検査をしてシルの義手まで奪われた。
「万事休す」
ヨハンは天井を仰いだ。
マジックアイテムはどこか別の場所に移動した。
リュウ老師の姿をしたハーフオークがやってきた。
本性では組織を掌握してないのだろう。
構成員は部屋の外へ移動させた。
「初めましてかなヨハン」姿を変えた、いや、元のハーフオークに戻ったと言うべきか。
「風水はリュウ老師の技だがどこで身につけた。高弟子か何かか?」
「俺は
「そりゃ、そうでしょう。リュウ老師なら入り口で出迎えてくれました。違和感がありカマをかけてみれば当たっただけの事」しばらくおいて「遺体はどこに?」
悪魔崇拝者など死体も生贄に使い、証拠なぞ残らない。
「お前には関係ない」
それぞれに得意分野があり、召喚魔法と生贄を使って交渉する。
「怠惰」ルシファー
鬱病、分裂病、幻覚、睡眠、痒み、ひきつり、知識解説解析補助魔法・大賢者
「嫉妬」サタン
呪い、アダマンタイトの交換、病気、病原菌、感染症、アナライズ種族と魔法が解る、スニーク魔法感知妨害
「傲慢」シバ
酸を吐く、鉄を溶かす、酸化させる、従属の魔法、ディスガイズ見た目の姿を変える
「憤怒」オーディン
気絶、麻痺、金縛、混乱による無差別攻撃、精神疾患による同士討ち、
「強欲」ティアマト
毒を使う、毒の血液、毒の息、石化の視線、
「色欲」リリム
愛は思い出す、魅了(チャーム) 、淫乱になる、夢をみせる
「暴食」オーカス
生活習慣病、アルコール・タバコ・麻薬の依存症、腐敗(アルコールを作るのにも必要、この場合は発酵と言い換える)、人面そ、喉が渇く、腹が減る
直接能力を授かるなり、アダマンタイトに封印するなりして使い方は使用者によって違う。
唯一神ソフィアのオリハルコンが1000人の神官による大祈祷の果てに、どんな品でどんな能力かは完全にガチャなのに対して、アダマンタイトは魂と引き換えに精緻に設計できる。
彼等はオークによって信仰されていた。
「怠惰」以外は全てオークの美德とされてきた。
強い個体が強い文明を作ると本気で信じていた。
「我らをどうするつもりだ」
「お前らは優秀だから、悪魔以外はオークの霊に取り憑かせて、私が新たなる支配者として降臨するのだ」
「オークは300年前に滅んだ、何の話をしているんだ」ダビデが口をはさむ。
「いるんだよ、オークの霊は。
生まれ変わり先を悉く潰された。
怨霊となり人間を恨んでいる魂が、
輪廻転生の輪から外れ、
幽世の一角に、
2億人ほど吹き溜まっている」
両手を広げ、くぐもった声で静かに語りかける。
「俺はリュウに連れられ、
人を呪い続けるオークの魂の末路を見た時、
彼等の希望を叶えさせることが生涯の使命と感じたのだょ。
捨てられた者達の声が聞こえた」
「アンタ、名前は?」
「ハンフリーだ」
「ハンフリーさん。
私らは暗黒魔法使い。
悪魔とも交渉するし、生贄も羊だけで済ませてきたとは言わん、ソフィアの教えにも随分背いてきた。
でもねー、人間の端くれとして言わせてもらいますけど、共食いを豪華な食事としたオークの文化より隣人愛を基軸としたソフィアの文明が勝って良かったと本気で思ってますょ」
ハンフリーがヨハンを蹴った。
「ゲホ」咳き込む。
「止めてください」サロメが庇うように抱き付く。
サロメの髪をつかんで引き上げる。
「お前、サキュバスだろう。
今夜の相手をしてもらおうか。
エネルギーを補給しないと傷も癒せまい」
眷属の召喚は魔神召喚の様なコストはかからない。
「怠惰」ルシファーなら神々の戦いの前ルシフェルと名付けられたソフィアの双子の妹、それに付き従う翼を漆黒の光に変えられた堕天使達。
「嫉妬」サタンなら全身青色でヤギ頭女の身体下半身は短い毛が生え揃ったロバのバフォメット
「傲慢」シバなら全身赤紫色のコウモリの翼を持ったスペードのしっぽを槍を持ったデーモン。
「憤怒」オーディンなら赤銅色の牛頭のミノタウロスか青銅色の馬頭シュウ
「強欲」ティアマトなら下半身が七色の鱗を持つ蛇女ラミア
「色欲」リリムなら憑代の性別や召喚者の反対の性別をとる女ならサキュバス男ならインキュバス
「暴食」オーカスなら青白い子供の鬼、性別のない空腹なる餓鬼
「イヤイヤイヤイヤイヤ、アンタみたいなオーク崩れ絶対イヤ。
私は
引き上げる手を引っ掻いた。
「痛ッ」手を離した。
サロメはヒシとヨハンに抱き付く。
「悪魔は誘惑しない。その本質は囁くだけ。
エネルギーなら食べ物からでも吸収できる」
「サロメどんな事があろうとも愛してる」
「なら、そちらの女共に悪霊を取り付け今日から俺の下僕にしてくれる」
ハンフリーはチラッとシルとチムナターを見た。
ダビデはチムナターを隠す様に覆いかぶさる。
「止めてください、この子は実験室をでたばかりの子供なんです、まだ処女なんですょ、生理きてない。勘弁してください」
シルが残った片手だけでダビデをつかんだ。
「先輩。私も処女です」
ダビデはチムナターを庇いながら顔をシルに向ける事になる。
「はい?」
「ずっと前から好きでした」
「えー」
「そうだったの」
ヨハンも驚きの声をあげた。
「知らなかったのリーダーのくせに」
サロメが死んだ魚の目で
「悪霊を取り憑かされ、心を奪われて、ヤツの女になるくらいなら、死んだ方がマシです」
チムナターは2人に挟まれて苦しいなあと思いながらも2人の重さに耐えている。
要するにあのオークは霊を解き放てば、恩に感じて支配の魔法なしに指揮下に入ると壮大な勘違いをしてるか騙されてるかしている。
霊はそんな甘チョロい物じゃないし、まして力の信奉者オークの悪霊は、ある程度我慢して数がそろうまで支配下にいるフリを続けるのでは…
上ではシルがダビデにキスしながら「私の初めてをもらってください」と叫ぶし、よこではサロメが「イヤイヤイヤイヤ」と叫びながらヨハンに抱き付く。
2億の悪霊なら世界的にマズイのでは…。と思いながらも壮大な野望を抱きながら構成員さえ把握できていない。
チャンスはあるかも。
「アー、トイレに行きたい」
チムナターの発言に全員行動を止める。
「その辺の花瓶でいいだろう」
ハンフリーの発言に「なんて事言うんだ、この豚野郎」とサロメがきれた。
「いえ、大の方です」
チムナターが力強く宣言した。
ハンフリーがリュウ老師に変化した。
人面祖を顔にまとう。
「おい、入ってこい」と叫ぶ。
「リュウ老師に化けるなら、もっと穏やかな口をきかないと人格が入れ替わっている事がバレるぞ」
ヨハンが皮肉げに口にする。
何人かが槍を手に入ってくる。
魔法の素質のある者はそういない。
魔法使いというだけで畏怖の対象である。
「その子供をトイレに連れて行け」
「さあ、コッチにこい」といって案内する。
「君達魔法使いからの忠告だ」ヨハンが口にした「最近、人が変わった者はいないかね」
入った者に聞いた。
明らかに動揺している。
この組織も現在進行形で何かあっている。
「気にするな。
魔法使いはウロんな事を言うものだ。
早く娘をトイレへ連れて行け」
誰も居なくなってヨハンが続けた「ハンフリー皆、気づいているぞ。
お前は裸の王様ですらない。
虚飾に塗れた偽りの王だ。
ここで我らに霊を取り憑かせても、権力の維持などできんぞ」
「黙れ」ハンフリーがヨハンに殴りかかった。
その時である。
チュドーン。
爆発音が炸裂した。
ハンフリーは廊下にでて「何事か」と叫んだ。
「あの、魔女っ子。魔法、使いましたょ」
返事が返ってくる。
「コウモリに化けて飛んで逃げました」
次々と報告が上がる
「どういうことだ、杖も焦点具も無しになぜ魔法が使える」
ハンフリーはヨハンの首をつかんだ。
「彼女は特別なんだ。
目から怪光線を発する魔王を創造する過程で産まれた副産物だ。
それぐらいするさ」
ハンフリーは出て行った。
「見つけ次第殺しても構わん。
お客人にも働いてもらえ」
ハンフリーが化けたリュウ老師の叫び声が聞こえる。
「チムナターはどこに行ったと思う?」
「そりゃ、行くところは一つしか無いでしょう」
ヨハンの問いにサロメが笑った。
チムナターはコウモリに化けて一生懸命羽ばたきながら「魔力感知」闇夜に魔力のかかった目には一部大きく輝いて見えた。
ジオンがあそこにいる。
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