第12話 酒場にて2
金髪の女がゲルの中にいて座っていた。
いつも魔力感知をかけている訳でない。
聴覚を飛ばしているのに気づかなかった。
「だいたい分かったょ、そちらのルナさんの方は?」
「元々は魔物大陸に住んでいたニャン。
西からは白人が植民地にして、東からは倭寇が掠奪してきて、僕らが降りてきた宇宙船というか聖地は蹂躙されたニャン」
「宇宙船には希少金属ヒイロイカネが大量にあるからな」
「植民地経営は牧場はドラゴンにやられ、農場は巨大昆虫にやられて上手くいかなかったニャン。
僕らが反乱を起こしたのを機に奴隷貿易に手を出したニャン。
黒人程優秀じゃなかったけど、料理や掃除や洗濯はできたから重宝がられて捕まってしまって、貿易船で働かされていた」
「酷い事されなかった?」
「アダマンタイトは貴重だから、人間の女の様に隷属の首輪とかハメさせられなかったニャン。
ムチを打たれるぐらいニャン」
隷属の首輪は支配の指輪と対になっていて、支配の指輪の持ち主が望めば思考や感情や感覚が筒抜けになり、性欲、食欲、渇き、痛みなども思考だけでコントロールされてしまう。
支配の指輪は1人に一つしか使えずに、金持ちは隷属の首輪をした愛人に支配の指輪を持たせ、別の愛人を支配させ、徒党を組まないよう定期的に順番を入れ替えていた。
「我も危なかったゾナ。
前世で少年だった頃、ジオンに相手もされなかったからなあ。
この身体になってセックスアピールが増すようミルクタンクを最大にしたからなぁ。
引っかかる奴はぎょうさん出てくるし、戦闘の時に邪魔になる、これなら感度を上げるだけにすればジオンにも喜ばれたゾナ。
すれ違う男みな振り返ってオッパイをみるゾナ。
我は純情でそんなつもりはなかったのに」
「お前、前回は黒豹の頭が乗っていたジャン」
「そういう問題じゃないだろう」
「30年前は嫁子は理解のある女で『ケツは愛じゃないから、向こうで一本抜いて来たら』と進めておったゾナ。
ジオンは保守的だから困ったゾナ
嫁子は生きておるのか?
もう役に立たぬであろう」
「チムチム、そんな残酷なこと言ってわいけない」
メリルがたしなめるがチムチムはジオンの手を両手で握って。
「我は妊娠などしない、母殿の言う王位継承権とやらにも関係ない。
元々宇宙船時代、女型はボディガード兼愛玩用として旧支配者に作られたゾナ。
気が向いた時の慰物でいいから、側に置いておくれ」
目を潤ませながら真剣に両手でジオンの腕を握ってきた。
「待ちなさい、あなた達出会ったばかりでしょう」
メリルがチムチムの手を解こうとする。
「お前、なにゾナ。
ジオンの2号か?」
「いや、半日前に会ったばかりだが」
両方に引っ張られるジオン。
「ドワーフの方が賞味期限は長いだろうが、我の一瞬の愛の方が勝る」
「まずはお付き合いして、お互いの気持ちを確かめて」
「アンタ止めろニャン。
チムチムが本気になったら、そのドワーフ。首が肩から飛ぶニャン」
「女が俺を巡って争うのは、よくある光景だ」
引っ張られながらも肉を食う。
「アンタ、どれだけ女たらしの色男ニャン。
いつも、どうやって解決してるニャン」
「どちらの肩も持たずに、ボーと眺めていたら仲裁が入って勝手に解決する」
「アンタ、ミョーな所で王子様なんだニャン」
「どチビ、貧乳、イカ体型ゾナ」
「ノーパン。ホルンスタインの、色情狂」
「我らは仲間の契りを交わしたのだ、
とにかく座れ、
お互いの悪口など言うな」
さすがのジオンも口を挟んだ。
2人共に座り直す。
「でも、ジオン様。
花の生命は短いニャン。
一緒に反転母趾がない同士、
協力しながら生きてきたニャン。
聞けば物物交換しかない世界から、騙されながら一途にジオン様を慕ってここまで来たニャン。
答えてあげてニャン」
「酒の席でする話でもない」
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