第22話妻side

 ガリガリガリ。


「姉さん、ここに夜食置いとくよ」


「ありがとう、真澄~~。助かる~~」


「アハハ!簡単な物しか作ってないけどね」


「いいのよ~~。締め切りが近いからもう徹夜よ!!」


「ほどほどにして切り上げなよ」


「うん。それよりも真澄、あんたの方は大丈夫なの?旦那さんイギリスなんでしょ?」


「それは仕方ないよ。ロイドは仕事で忙しくて日本に来れないからね」


「三ヶ月の日本にいて大丈夫なの?」


「ああ、それは大丈夫。ロイドにもちゃんと話しておいたから」


「それならいいけど。でも、たしか彼って家事全般ダメだったじゃない?一人で本当に大丈夫なの?」


 ははっ。姉にすら知られているロイドの家事オンチに笑うしかなかった。


「出かけにお義兄さん達に連絡したらコチラで家政婦を派遣するって言ってたよ」


「なら大丈夫ね」


「うん。ロイドの事は任せて骨休みしてきなさいって言われちゃったよ」


「いい義兄だわ。そう言えばお義母さんも日本にくるんだっけ?」


「うん。に間に合うようにするって」


「あ~~~、前に来た時ハマまっちゃってたもんね」


「あははは!姉さんの作品も買うって言ってたよ」


「え~~~~っ!!勘弁してよ。貴婦人に見せるモノじゃないわ」


「それこそ大丈夫だよ。お義母さん、姉さんの大ファンなんだから」


「う~~ん。ザ・貴族って人なのにね。意外性がある人だわ。うちにお母さんとも仲いいし」


「コミケ終わったら今度は北の方に行きたいって言ってたよ」


「はぁ!? 北?北海道とか?」


「どうだろ?詳しく聞かなかったけど東北当たりじゃないかな?」


「観光名所とかでなくていいの?」


「隠れた穴場を探すのが面白いみたい」


「なるほど?」

 


 この時、イギリスで大変な事が起こっていたのを知らなかった。ロイドのせいでイギリス男性にあらぬ風評被害が起こっていた事も、何も知らないでいた。


 


 


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