第7話姉side
次の日にエリックが家政婦ロボットを届けてくれた。まだ世間一般には公表されていない最新型とのこと。見た目は普通の人間そのものだけれど動き方が少々ぎこちない。まるで人形のようだけれどこればかりは仕方がないといえた。
「学習能力機能が付いているから動きは徐々に緩和すると思うんだ」
自信満々に言い切るエリック。それは良いのだけれど。何故、家政婦ロボットは初老のお婆さん姿なのかしら? 一体どういう意図で造ったの?
「エリック、一つ聞いてもいい?」
「なに?」
「なんでお婆さんロボットなの?普通、若い女性か男性じゃない?」
「あ、それは反対意見が多かったからだよ」
「何故?」
「若い人型だと恋愛に発展する恐れがあるからね。だからお年寄りタイプにしたんだ」
何処から突っ込んでいいのか分からなかった。呆れて物も言えないとはまさにこの事。本当に馬鹿としか思えないわ。
そこは若い人型にすべきでは?
優し気なお婆さんロボットだけどこんなので需要があるのかしら?というより、このロボットは幾らで売り出そうとしているのかしら?その前に売れるのかしらコレ?疑問が尽きないわ。まあ、使用するのは私じゃないから別に良いかと思い直した。
「ロイド、これを使ってみる?」
「うん、エリックの一押し出し。試してみるよ」
「そう……」
まあ、使用する本人が良いなら別に問題ないわね。
興味津々でロボットを見るロイドは乗り気のようだし、これで問題は解決した……かしら?
その後、どうでもいいエリックのロボット自慢は暫く続いた。
この家政婦ロボットが『ミス・マープル』という名前だと知った時は、ネーミングセンスの悪さに驚いた。それと言うのもアガサ・クリスティーの作品に登場する老嬢の名前をそのまま使っている神経の図太さに唖然とするしかなかった。
これ売り出したら作品ファンから非難の嵐にあうんじゃないかしら?
炎上しても知らないわよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます