第103話 最終
バベルは上に登るほどモンスターが強くなっていく。
「はぁ、はぁ、今何階だ?ほんとやってられないぜ」
此処にくるまでユフィに泣きつかれ、ルージュに叩かれ、リアには死ぬと言われたが、俺が一度言い出したら聞かないのがわかっているからマリアがみんなを説得して最後には許してくれたっけ。
「おらぁ、まだまだこいやぁ!」
『グオオォォォォォ』
赤い狼が群れで襲ってくる。
「動きが遅いぜ」
小太郎は時魔法を習熟していた。
言葉に出さなくてもそれは発動する。
ドロップ品を集め、また上へ登っていく。
飯はアイテムボックスにあるものは全て食べた。あとはモンスターの肉を焼いて食うだけ。
何年経った?何万階登っただろうか?
死ぬ気で死ぬかと思ったほど頑張った。
ようやく光が見える。
塔の頂上にはオーブがあり、それを触る。
『登録完了しました』
「バベルを止めろ」
『完了しました』
「そして平穏を」
『了解しました』
ダンジョンは無くさない。バベルを止めるだけにするべきだろ。ルナディアと同じように。
「だーれが死ぬもんか!俺はまだ童貞だー!」
大声で叫んでスッキリした。
さぁて、髪でも切ってアイツらに会いに行くか?その前に風呂だな。
その風貌は歴戦の戦士だった。
「ただいま」
数年後、
「小次郎!おむつかえるぞ!」
ドタドタと走り回る。
結局は親父に捕まって爺婆ズがオムツ替えをしている。
小次郎は俺とユフィの子供だ。
「妊婦もいるんだからちょっとは静かにしなさいよ」
ルージュとリアも妊婦だ。
「小太郎が考えなしにするからじゃ」
親父は怒っているのか笑っているのか。
「しょーがねぇだろ?禁欲生活(童貞)が長かったんだから」
「にしても節操がないですわよ!身体が持ちません」
マリアはまだ妊娠はしていない。
「コラ太郎!まちなさい!」
「ヤダヤダヤダ」
俺の後ろに隠れる太郎。俺とルーの子供だ。年は取られてない。
「ほんとお父さん子なんだから」
「ほーれ太郎、抱っこしてやる」
「やったー」
抱きついて離れない。
甘えただな。
リビングは最近大騒ぎだ。
爺婆ズもてんてこ舞いのようだが、やけに嬉しそうなのが俺も嬉しい。
「アンアン」
「お前はデカくならねぇな?」
「アンアン(大きさは変えられるよ?」
「なんだ、自分でその大きさなのかよ」
「アンアン(こっちのほうがこの家にはあってるからね)」
「兄貴!またどっかの馬鹿がダンジョンをランクアップさせました!」
勇者の大谷は俺のことをアニキと言いはじめている。いい迷惑だ。
「はぁ!お前達でなんとかしろよ!」
「それが、もう極めまで行ってて」
「そろそろお前達も極めてこいよ」
「まだまだっす!ついて来てくださいよ」
大谷がゴネるが俺も大変なんだよ。
「だめだったら俺がいくから、行けるとこまで行ってこい」
「絶対ですよ?んじゃいって来ます」
「死ぬなよー」
「縁起でもねぇ!」
勇者組は走って車に乗り込む。
「三原さんは行かないのか?」
「兄貴と一緒でお腹の子に悪いんですよ!」
「そっか。お互い大変だな」
三原さんと勇者の大谷はいつの間にか結婚していた。
「んじゃいってくるっす」
「くぅー!いい天気だな!」
太郎を抱えて外を見るといい快晴だ。
「小太郎!さっさと次郎も抱っこしてやんなよ」
爺婆ズがうるさいな。
「はいよ」
「ぱーぱ」
手を広げる次郎を片手に抱っこして外を眺める。悪くないな。
ダンジョンは無くならない。でも人間はそれでもどうにか生きている。新しい生命と共に。
平穏を…
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