第82話 バベル


 日本の、いや世界のダンジョンを無くすためにあることをすればいいらしい。

 どこかにあるバベルという塔を攻略し、無くすことだ。


 ルナディアにももちろんある。魔女会談の行われる場所。そこはまだ四人の魔女がパーティーを組んでいた時に攻略はしたそうだ。

 だが消滅はしない。ダンジョンがもたらす恩恵が、はるかに大きいから。


「んじゃ地球のバベルを攻略さればいいんだな!」

「そんな簡単なもんじゃないんだよ」

「あれは極めなんか子供の遊びだったよ。そんなとこに一人で行けるはずもなかろう」

 ルーとライラに言われ、それもそうかと納得する。限界突破があるからもっと強くなってからだな。


「変なこと考えてんでしょ?」

「いや。そんなことはないよ」

「ふん、どうだか。まぁ、ルージュを悲しませる真似だけはしないこったね」

「あー、はい」

 まぁ、今じゃないか。


「それよりも今度はケーキが食べたい」

「ドーナッツ食べたでしょ」

「俺もケーキたべたいぞ」

「はぁ、はいどーぞ」

「「「「「きゃー」」」」」

 甘いもの出せば大体黙るな。


 バベルか。

 いつか挑戦しなきゃなぁ。

「あ。こいついつか挑戦するつもりだ」

「あー。わかる。顔に書いてある」

「男の子だねぇ」

「ば、馬鹿にすんなよ」

「バカにはしてないよ、ちゃんとその時を見極めな」

 ルーからはそれ以外なかった。


 ルーを連れて帰り(自分で帰ればいいのに)三人と家に帰ると爺婆ズがやって来ていた。

「おぉ、女の子が増えておるではないか」

「リアちゃんね、よろしくねぇ」

「はいお茶が入りましたよー」

「こんな馬鹿でかいテレビはいらんじゃろ」

「将棋の文字はよく見えるのぉ」

 う、うるさい。よくこんな中で三人とも平気だな。


「で、親父達は何しに来たんだ?」

「明日から旅行に行こうと思ってな。ユフィちゃん達を誘いにきたんじゃ」

「アーハッハッハッ!明日から用事がある!無理だねー」

「なに!チケットまで取っておるのだ明日から二泊三日は空けてもらうぞ」

「だーめーだーねー」

「ダメじゃないんじゃ!リアちゃんの分もさっきとっといたのに!」

「待て!俺の分は?」

「ないぞ?」

「毎度毎度忘れてくれてありがとう!」

「毎度毎度抜くのにくろうしとんじゃ」

「明日は旅行じゃ!」

「いーや、ダンジョンですぅ」

 しまった。

「ダンジョンはいつでもいけるな!よし」

「たまには俺も連れてけよ!」

「お前はたぶん暇すぎてダンジョン探すからダメじゃ」

「そうじゃ!団体行動が出来ないやつじゃ」

「うっ!そ、そんなこと」

「ないか?ないなら連れて行くのもいいぞ。別府の温泉だ」

「くっ、暇になるのが想像できる」

「じゃろうが!」

 完敗だった。俺の性格を知りすぎている。


「二泊三日でちゃんと帰ってこいよ?」

「わーかっとるわ」

 当の三人は爺婆ズに接待されとる。

「三人ともダンジョンは旅行の後でいいから、明日から旅行に行って来なさい」

「「やったー」」

「あ、私はいいです」

「リアもウチの住人になったんだから一回くらい行ってくるといい」

「は、はい」

 俺も行きたいとこだけど多分飽きるからな。

 

 次の日は爺婆ズと三人は別府に旅行に出かけた。北海道とかなら行きたいんだけどな。

「まぁ、聖教国にいって防具屋に訳を話さないとな」


 聖教国の防具屋にわけを話すと「三週間ほどですか!分かりました!腕によりをかけて防具作成させていただきます」と言われて一週間でもキツかったんだなと思ったよ。


 次に自由国家に行き、何かないかと探してみると、錬金の魔法玉が売っていたので買った。作れるけど、錬金は作るのに大変なんだよ。買った方が楽。


 ウロウロしていると前お世話になったミーサのとこのアルベザがいた。

「なにしてんだこんなところで」

「あ、コタロー様お久しぶりです」

「あぁ、久しぶり」

 あれから少しは元気になったようだ。

「今日は香辛料がキレかけていたので買い出しですね」

「へぇミーサのとこでも何かがきれるのか」

「香辛料は扱ってませんので」

「なるほど、何を扱ってるんだ?」

「魔法玉やスクロール。モンスターの素材から食料。あとは衣服ですね」

「お!なら魔法玉やスクロールの珍しいものもあるかな?」

「た、多分、ございますけど」

「よし。ミーサのとこに行こう!俺もついていっていいか?」

「コタロー様ならよろしいかと」

 アルベザの荷物待ちをする代わりに屋敷について行く。


「まぁ、久しぶりでございますね」

「ミーサも相変わらず綺麗だな」

「まぁ、お口がお上手になられて」

「ははっ!あ、お願いがあったんだ」

「魔法玉とスクロールでございますね。準備してありますよ」

 おぉ、どこで知られたんだ?忍びとかか?


「私どもが扱っている魔法玉とスクロールはこちらにございます。

魔法玉、

五行魔法(火・水・土・風・雷)        

闇魔法 光魔法 聖魔法 回復魔法 強化魔法 支援魔法 付与魔術 錬金術

スクロール

剣術 槍術 棍術 弓術 体術 短剣術 盾術 感知 天歩 剛断 瞬歩 遠目 暗視 疾風 集中 念話 鉄塊 手当て 俊足 剛力 蹴足 曲射 三連射 


 うーん、目新しいものがないな。でも作るよりは買ったほうが楽なんだよな。

「とりあえずここにあるのを二つづつ買いたい」

「相当な値段になりますが」

「こちらはモンスターのドロップも買取してるんだろう?これなんていらないか?」

 ブルーミノタウロスの皮を久しぶりに取り出す。

「こ、これはミノタウロスの亜種ですか!」

「お、わかるんだな。これ以外も売れないやつがあってさ」

「分かりました。用意しましょう」

 爺やさんが率先して倉庫のようなところに案内してもらう。竜の鱗とかは売らずに置いておく。


「珍しいものが沢山ありますな。これは宝の山だ」

「どうでしょう?買い取っていただけますか?」

「こちらからお願いしたいくらいでございます」

「そうですか!ありがとうございます」

 これで、アイテムボックスの中もだいぶはけるな。


「これが魔法玉とスクロールを二つづつです。でこれが買取した金額と差し引きした後の金額です。よろしければサインをお願いします」

 おぉ、これだけ買っても三千万ゼルも残るのか!

「大丈夫です。ここですね」

 俺はサインをしてわたす。

「では一枚はコタロー様がお持ちください。そして残りのお金でございます」

 俺はアイテムボックスにいれると爺やさんと握手して別れる。


「少し宜しいですか?」

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