第69話 ライラ


 今は岡崎ギルドにいる。なぜなら福田さんに呼ばれたからだ。

「まだですか?もう帰りたいんですが」

「まだまだです!小太郎さんなら出来ます」

 鬼だ、鬼がいる。

「もう無理!もうやんない!」

「そんなー。まだスクロールたくさんいるんですよ?」

「しらんがな!錬金術師を増やせばいいでしょ!」

「そんなこと言わずに」

「もう血がたんないんだ!竜の血も使い切ったし、そんなことばっかいうともうこなくなりますからね!」

「はい、すいません」

「五百近く作ってあげたのになんなんですか!」

「ほんとにすいません!これ以上に受注が来ていて」

「断れ!もう俺は作らんからな!」

「そんなぁ。それは勘弁して下さい」

「あーもう!そんな目でみられたら断れないでしょ!でも、これ以上は断って下さいね」

「はい!もう断ります」

「本当にもうっとっと」

 貧血で足がふらつく。

「あ、ごめんなさい、血が足りないんですよね」

「貧血と一緒だよ。大丈夫」

 はぁ、需要と供給が合ってないよ。


 まぁ、調子に乗ってギルドにあげた俺が馬鹿だったからしょうがない。

 鉄分のジュースを飲みながら家に帰る。

 すぐにまた電話が鳴って、今度は自衛隊からだった!

「はい」

「あ。加藤です。スクロールの件なんですが、」

「いま絶賛作成して貧血気味ですのでまたの機会にお願いします」

「あ。待って」

 ふぅ。いまは無理だっつーの!


 あ、作るんじゃなくて買ってくればいいや。『転移』

 スクロールを買い漁って、新しいスクロールも手に入れた。

 自衛隊の駐屯地にいって、加藤さんに会う。

「大丈夫ですか?」

「なんとか大丈夫だと思います。で、何が何本欲しいんですか?」

「いえ、あるだけで大丈夫ですよ」

「せっかく仕入れてきたんですから」

「で、では剣術クラスを百ほど」

「これで足りますか?」

 スクロールをドサっとだす。数え出す加藤さん達を横目に横にならせてもらう。

「ありがとうございます!百五十本もありました。また何かありましたらよろしくお願いします」

「はーい、では。」


 転移で家に帰り着くとユフィとルージュが二人で出迎えてくれる。爺婆ズも一緒だった。

「なんじゃ、なんじゃ。そんなフラフラで」

「ポーションを飲め!」

 飲まされながら気付くのが遅れた。

「あ、ポーション飲めば良かったか」

「近くにあると忘れるもんじゃて」

 気持ちの悪さもなくなって、ポーションの偉大さを感じる。


 どうせいろんなとこにいい顔していっぱいいっぱいになったんじゃろ?と親父に言われてなんとも言えない自分がいた。これからは無理な時は無理と言おうと決めた。


「ルージュはそろそろ帰らなくていいのか?どっちにしろライラさんに報告には行かないといけないだろ?」

「うん!つれてってくれる?」

「あぁ。お安いご用だ」

「ユフィはどうする?」

「爺婆ズと一緒にいるよ」

 手を組むと転移をする。


 向かうは聖教国。

「到着したけどライラさんはどこにいるんだ?」

「お母さんは城にいるはずだけど」

「んじゃ城に行くか」

 途中で買い食いやウインドウショッピングを楽しみながら向かう。

 城に着くとみんなが大忙しで用意を始める。何事かと思っていたら。

「ようきたのう、コタローよ」

「ライラさん」

「お母さん」

「なにやら日本と言う異国に行っておったようじゃがどうだったのだ?」

「素晴らしいとしかいえないですが、……」

 ルージュの話は長くて割愛させてもらいます。

「ほう、そんなに素晴らしかったのか?」

「はい!そしてコタローさんの彼女になりました!」

「ほう、よくやったぞ娘よ」


「コタローは娘のことを頼むぞ」

「は、はい」

「してコタロー?わらわもな」

「はい?」

「ルージュがいってるところをしらぬとは如何ともし難いと言うか」

「はい」

「ルージュになにかあったら困るであろう?」

「はい」

「だからじゃの、妾も日本を偵察に行くぞ」

「はい。……えぇー!」

「それはいいんですか?」

「いいのじゃ、のう大臣」

「分かりました」

「ええ。いいの?」

「いいと言われたではないか!よし、今から行こうではないか!」


「しかもいまから!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る