第68話 錬金術


「あぁ、また極ダンジョン攻略したからダンジョン無くなってしまったな」

「大丈夫よ、親があるんだから問題ないわ」

「その親って何?」

「ダンジョンの親みたいなダンジョンよ、こっちではバベルって呼んでるわね」

「そこを攻略すると全部なくなるのか?」

「たぶんね。やったことないからわかんないわ」

 おやつにクッキーをいただきながら雑談してるけど、バベルってなんだよ。おっかねーな。

「そう言うことだからバベルにはみんな近寄らないのよ。私達も魔女会談の時だけね」

「あぁ。あそこか?綺麗な塔だったよな」

 魔女会談に一度連れて行ってもらったんだ。

「だからバベルには近寄らないようにね」

「ラジャ!」

「よし!帰っていいぞ」

「お疲れ様でした!」

 俺は家まで転移する。


「ただいまぁー!」

 誰もいない。爺婆ズめ!帰してないな!

「まぁ、いいか。魔法玉でもつくろうかなっと」

 書斎に向かうとスマホが鳴る。

「もしもし?」

「あ、三原です」

「三原さんどったの?」

「それがですね、初級ダンジョンを攻略したら中級にランクアップしてしまって、どうしようかと」

「いけるなら行っていいんじゃない?不安ならやめとけばいいし」

 三原さんはちょっと迷っているらしく。

「できれば小太郎さんに着いて来て欲しいんですが」

「んー、いつがいいかな?」

「いいんですか?」

「いいよー!」


 いくのは明後日になった。

 三原さん達が行ってるダンジョンは半田ダンジョン。初級からランクアップしたいまは中級ダンジョンらしい。

「んじゃみんな準備はいいか?」

「「「「おおー!」」」」

「じゃいくかね」

 いつものフォーメーションで行くらしい。

盾士と剣闘士と拳闘士の三人が前衛、聖女、錬金術師、が中衛、後衛に賢者と弓師。


 みてると危なげなく進んでいる。

 オーガが出て来た時はビックリしたみたいだが、すぐに体制を立て直し撃退する。

 ほんと、お手本みたいな戦い方だ。

「どうですか?」

「んー、あとは臨機応変に動けるようになれば大丈夫だと思うよ」

「あー、そこは痛いところですね」

「分かってれば挽回できるよ」

「あとこれを渡しておくよ」

ブランクのスクロールと剣術 槍術 棍術 体術 盾術 感知 天歩 剛断 早駆け 剛弓 斧術 疾風 集中 念話 鉄塊 手当て 俊足 剛力 蹴足 のスクロール。

「えっ!こんなに?」

「錬金術師の斎藤さんが作れるようになるための投資だよ」

「え?」

「錬金術はスクロールが作れるよ。ただ自分の持ってるスキルしか作れないからこれだけあればみんなにつくってあげられるでしょ?」

 斎藤さんは泣き始めてしまった。自分が一番何も出来ないと感じていたんだろうな。

「ほら斎藤さん、これからこれから、出来なかったら俺も教えるからとりあえず作ってみないか?」

「は、はい!」

 斎藤さんは剣術を自分に取り込んで、ブランクのスクロールに血を垂らす、あ、自分の血じゃなくても竜の血とかでも出来るらしいぞ。そしてスキルが混ざるようにスクロールに魔力を流す。

「出来ました!」

「「「やった!」」」

「よかったね」

「う、ゔん」

 良かった。これで斎藤さんはこのパーティーになくてはならない存在だ。

 まだ渡してないスクロールもあるしな。

「あ、ありがとうございます、私、」

「気にしないで。ちゃんと練習してみんなにあげてね」

「はい!」

 あとは賢者の神崎くんか、魔法玉は手に入ると思うけど、

「神崎くんはいま覚えてる魔法は?」

「いまは雷魔法だけです」

「ならこれをあげるよ」

 火 水 風 土の魔法玉だ。

「え。いいんですか?」

「手に入ると思うけど使いこなすのに時間がかかると思うからね?賢者だから覚えておいて損はないでしょ?」

 神崎くんも涙目になってありがとうと貰ってくれた。

 他のみんなにはないよ?

 斎藤さんがスクロールをくれるんだから我慢して欲しい。


 これだけあれば中級は余裕ができるでしょ。

「三原さん大丈夫そう?」

「はい!」

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