第70話 ライラの日


「本当にいまからいくんですか?」

「あぁ。何か問題でも?」

 問題だらけだが、

「いいえ、じゃあ、手を握って下さい」

『転移』

 

 日本の自分の家に飛ぶ。

「ほうここが日本か」

「うちの家です。まずは着替えからお願いします」

「会う服がないでーす」

 あぁ。胸もそうだし、背丈も違うからな。そうだな。

「じゃあ、まずは服を買いに行きましょう」

 転移で近くのデパートへ、ライラさんはドレスなのでとても目立つ。

「さ、はやく買いに行きましょ」

「ゆっくりみたいのじゃが」

「服を変えてからでもゆっくり見れますから」

「ユフィ、ルージュたのんだぞ!」

「たのまれた!」

「らじゃ!」

 デパートの婦人服売り場にいったので、ほっと一息。

「どうじゃ?これはどうじゃ?」

「こっちもいいのぉ、どれがいいかのぉ」

「これも似合うか?」

 と、大量の服を買って、って婦人服だぞ?

まだブランド物とか買うと思ってたのにここで散財?!


 普通の服に着替えたライラさんはやっぱり目立ってらっしゃる。どこかのモデルさんのようだな。

「つぎは食べ物じゃ!」

「ハンバーガーがおいしいですよ!」

「ここはやっぱりトンカツです」

 ここ最近ハマっているのかトンカツばっかりは俺の胃が受け付けない。

「ファミレスにでもいきますか」

「ファミレス?!」


 店内に入るとすぐに席につく。

 メニューを見せるとまた騒がしい。

「なんじゃ。この紙は?ホンモノが乗っておるぞ?」

「これは写真ですから食べたいものを注文してください」

 とりあえずなんでも頼んでくれ。


「それじゃこれとこれと」

「これも美味しそう」

「これとこれも!」

「もう好きにしてくれ」

 大量に持って来た食べ物を端からお上品に食べる。だがスピードが速すぎてナイフとフォークが見えないだと!

「美味しいぞ!美味しすぎる!」

「このエビフライといものもぷりぷりしててうまい」

「ファミレスになんで連れてこなかったんだよ」

 たかだか四人なのだが注文の量は数十人ばりだ。

「こうなることがわかってたからだよ」

「相当食べたのにデザートは別腹なんだろうか」

 パフェやらあんみつをたべてウットリしている。


「これはシェフに挨拶をしなければ」

「いませんから!これは全部シェフがつくったわけではないので」

「そうなのか。不思議じゃのぉ」

 不思議でもなんだもないんだがな。


「ではまた買い物にでも行きますか?」

 ウェイトレスさんの顔が引き攣っている。さっさと逃げよう。

「おう、こんども婦人服というものか?」

「こんどは街を見てまわりましょう」


 あっちに行ったりこっちに行ったりで大変だと!!三人バラバラで動き回るから俺が大変だ。

「ルージュ、ユフィ、ライラさんにちゃんとついておいてくれ!」

「「だって」」

「こんど二人をつれてくるから」

「「らじゃ」」


 ようやく二人がついて回ってなんとかおさ

まったと思ったら、こんどはなんなんだ?

「お姉さん達綺麗だねー」

「俺たちとあそブハッ!!」

「テメェらぶっ殺すぞ!」

「「「ひいい」」」

 なんて人をナンパしてるんだ!死ぬ気かよ!ナンパ野郎でも死なれると後味が悪いからな。


「露払いご苦労じゃ」

「いえいえ」

 心臓がいくつ合っても足りないぞ。

「つぎはあそこじゃ」

「はいはい」

 とにかく楽しんでもらったら帰ってもらおう。

「あ、クレープ屋だ!」

「クレープとはなんじゃ?」

「甘いおやつですの」

「それ急ぐのじゃ」

「待ってぇー!」

 

 忙しいこの一日も終わりを迎える。

「今日は楽しかったのじゃ。またくるからその時はまたよろしくな!」

「はい、また面白いものを探しておきますね」

 いや、それはまた今度でいいんじゃないかな?

「またねー!」

 ユフィはもうちょっと赤の魔女だと言うことを分かってくれ。

『転移』


 半日もいたからこっちでは六日も経っていた。

「こっちでは六日も経っておるのか、難儀な世界じゃのぉ」

「そうですよ、だからそんな簡単にいけないんです」

 この時間差に助けられたよな。

「まぁ、六日くらいならなんとでもなる。またよろしくたのむぞ」

 そう言うとライラは大量の荷物と一緒に帰って行った。


「はぁ。つかれたーー」

 俺は家に帰り着くとすぐに寝てしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る