第62話 豊田ダンジョン2


 百三十階層

「デモンズリッチかよ」

「大丈夫!天弓召喚!」

「はぁ!」

 デモンズリッチは昇天していった。

 聖属性がついた天弓はつよいな。

 また宝箱!今度は何かな?

 罠はないようなので開けると、リングが二つ。赤いリングは炎耐性がついた炎の指輪、青いリングは氷耐性がついた氷の指輪。

 ちょうどお揃いのようで二人で付け合う。

「えへへ、俺嬉しいぞ」 

「あぁ、俺もだ」

 ダンジョンのなかでこんなイチャイチャしてるのも俺らくらいだろ。


「中!」

 ユフィが指示する。

 俺は左にそれて射線を開ける。

 二匹、三匹と増えていくトロールに苛立ちながら敵を削っていく。  

 やうやくトロールがいなくなって、一息つく。

「やっぱり特級は敵が強いな」

「うん、でもコタローと並んで戦えるのはいいね」

「だな、今日はここら辺で終わるか?」

「えー。あと二十ないくらいだから行こうよ」

「まぁいいか」


 百四十階層 

 マンイーター……頭人で身体が獅子で人間が好物。

「気色の悪い」

「やだやだやだ」

 サッと切り倒すつもりが避けられる。

 あちらも噛みつきにかかるがギリで避け一太刀喰らわせると“ビュンッ”とユフィの弓がマンイーターに刺さる。

「ナイス!」

 アスカロンとクラウソラスでめった斬りにして倒した。ドロップと宝箱を残して消えて行く。ドロップは皮と牙と宝玉、宝箱は『身代わりのネックレス』と『牙突』と言う突きに特化した刀だった。


 俺らは一度ここで帰ることにする。

 百五十階層を突破して極ダンジョンにしたところで攻略しないといけないし、攻略した後何が起きるのかをルーに確かめなくてはならない。

 ブーブー言うユフィに身代わりのネックレスをつけてやると笑ったためこれでよかったのだとホッとした。


 家に帰ると爺婆ズはすでに帰って来ておりいつものユフィ甘えさせモードにはいっていた。もう慣れたと言うか爺婆ズも可愛い孫ができて嬉しいんだと思う。やりすぎではあるが。


「ちょっといってくる」 

「どこに?」

「黒の魔女のとこ、ダンジョンについて聞いてくるよ」

「いってらっしゃい」

 ここでキスでもできればいいんだが、と思っていたらほっぺにチューをされた。

「すぐ帰ってくるから」

 俺はルンルンでルーの家に転移する。


「なんだいにやけた顔して、だらしない顔が余計にだらしなくなってるよ」

「う、うるせーよ、今日は聞きたいことがあってな」

 いつも通りコーヒーを淹れてくれるルー。

「で?なにが聞きたいんだい?」

「極ダンジョンを攻略したらダンジョンがなくなるんだよな?」

「そうだね、いま帝都じゃ犯人探しをしているよ」

「げっ!」

「まぁ、バレるもんじゃないけどね。誰がはいったかなんて分かったもんじゃないし」

 煙草に火を付ける。

「なくなったダンジョンは復活したりしないのか?」

「そりゃなくなるんだから復活するわけがないだろ」

 そう言うものなのか。

「いまいちダンジョンがよくわからないんだよ、なんのためにあるのかとかさ」

「ダンジョンも生き物の一つさね、成長もするし倒されればなくなる」

 生き物か、なら増えていく可能性もあるのか。

「あー、そう言うことか、って日本ってか地球のダンジョン多すぎるんじゃねぇ?」

 一県に三つくらいあるぞ。

「生き物だから増えるだろうね。増えたところで隠せなくなったって感じじゃないか?」

「大元がいるってこと?」

「そうさね、そこら辺は青の魔女がよく知ってるけど。大元は極より何倍も強いよ」

「げっ!極めですら俺があんな状態になったのにそれ以上かよ」

 タバコを吹かしながらルーが言う。


「あんたは無理する時があるんだから絶対行くんじゃないよ?」

「あいあいさー!」

「っとに、また吸っちまおうかね」

「それは勘弁してください」

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