第61話 豊田ダンジョン


「はあ、ようやくスッキリした」

 ギルマスがクビになって良かったわ。

 もう夕方になっていた。

「家に帰ってユフィに会おう」


「ただいまー!」

「おかえりなさい」

 ユフィが出迎えてくれる。

「今日はすき焼きって食べ物らしいぞ」

「おぉ、豪勢だな」

 上がってリビングにいくと、

「なんじゃお前か!」

「お前の分のすき焼きの肉はないぞ?」

「けっ!なら自分でなんとかするわ!」

 アイテムボックスからクラウンバッファローの肉塊を取り出すと爺婆ズの目が光る。

「なんじゃその肉は?」

「ダンジョン産の肉だ!俺とユフィだけが食っていいんだよー」

「小太郎はほんにいい子じゃからのぉ」

「そうじゃそうじゃ!そんなこと言わんでもええ」

 手のひら返しが半端ないな。

「小太郎、ここに座れ」

「なんだよ親父」

「まぁ、ビールでも飲むか!」

「はぁ、まぁみんなで食べようか」

「「「「「いやっほー」」」」」


 ほんと元気すぎて心配になるぜ。


 さて、次の日は岡崎ギルドに顔を出す。

「小太郎さん!私、ギルマスはいやだって言ったじゃないですか?」

「俺のせいじゃないもん、自衛隊のお偉いさんの指示でしょ?なら文句は俺じゃなくてそっちに言わなきゃ」

「そんなこと言えるわけないでしょ!もう、頭が痛くなる」

「あ、これは渡しとくね」

 返してもらった魔法玉を渡す。

「え?これって」

「返してもらって来た。やっぱりちゃんと使って欲しいからさ」

「あ、ありがとうございます」

 よし、これで一件落着!

「あ、その話もあったんでした。すいませんけど会議室に来てください」

「え!あー!」


 会議室になぜか一般人でいる俺。

「で、小太郎さんの意見を頂きたいのですが」

「ちゃんとした人ならだれでもいいんじゃないかな?」

「それは為人を見てってことですよね」

「そういうことですね」

 会議は白熱してる。強いやつに渡すだの、古参に渡すのがいいだの、自衛隊ってのもいるな。

『転移』


 ふぅ、息が詰まるな。

 三原さんにメールで連絡しとこ。

 さて、俺は豊田ダンジョンに来ていた。

「あ、小太郎様。この度は本当に申し訳ありませんでした」

「いいよ。どうせギルマスから連絡来てたんでしょ?」

「はい、それでも冒険者一人に対してする行為じゃなかったと思いまして」

「いいよ、今後は気をつけてね」

「はい、ありがとうございます」

 よし、この人はいいひとだな。


 豊田ダンジョンに入っていく。

 一階層から順調に進んで昼過ぎには五十階層を抜けた。昼飯を挟んで、一気に百階層まで駆け抜けていく。

 百階層はオロチだった。喋ったりはしない普通の大蛇だ。一刀の元に沈んでもらい、宝箱もゲットし、ランクをアップさせる。

 今日はここまでにしといて、明日また来よっと。

 ドロップ品の買取はいつも通り時間がかかる。さすがに五十階層までで止めたいた。それでも五百万はオーバーしたから儲け物だな。


 そろそろユフィをつれて行きたいんだが、戸籍の方はどうなっているのだろう?

「親父?ユフィの戸籍はどうなった?」

「ん?そんなもんとっくに出来とるし、ささ婆の養子になっとるよ」

「は、早く言えよ!これで冒険者になれるな!」

「馬鹿言え!危ない冒険者なんぞにしてたまるか!」

「お父さん。私は冒険者になりたいよ」

「ほらユフィもこう言ってるだろうが」

 ユフィが言うと親父も強く出れない。

「まぁ、冒険者になるのはいいが、必ず守れよ!」

「分かってるよ」

 ようやくユフィとダンジョンに潜ることができる。


「ちゃんとお弁当もった?お箸は入ってるからね」

「ささ婆。大丈夫だって」

「お前さんの心配じゃないわい!ユフィ、きをつけるんじゃぞ?」

「「「ユフィちゃーん」」」

「うっせー!爺婆ズも久しぶりに五人で羽伸ばしてこいや」

 温泉のチケットを渡す。

「けっ!こんなもんで騙されんぞ!」

「じゃあいらな「いるにきまっとろうが」」

 そんなこんなでようやくダンジョン。


 豊田ダンジョン 百階層

「ここからスタートだがだいじょうぶか?」

「うん、腕が鈍ってないか確かめながらいくね」

「よし、いくぞ」

 ユフィの腕は鈍っていなく、逆にキレッキレであった。

“ビュッ”

 キマイラの頭部に命中し倒す。

「なんだか調子が良いみたい!」

「な、なら良かったな」

 特級になった豊田ダンジョンなので百五十階層まである。

 

「楽しいね」

「ダンジョンを楽しめるのは凄いな」

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