第43話 ランクアップ

「ダンジョンランクアップ?!」

 おそらく中級から上級にランクがアップしたのだろう。

 転移陣から外に出ると、そこは慌ただしく駆け巡る人でごった返してた。

「あ、帰ってこられたんですね」

「はい、どうしたんですか?」

「突然ダンジョンから地鳴りがしたんで今調査中なんですよ!」

「へ、へぇ」

「どこまで潜ってましたか?」

「さ、三十層くらいかな」

「はぁ、良かったですね。帰ってこれて」

 俺がやったとは言い辛いな。

「あ、ドロップ品を売りますよね?買取しますよ」

「お願いします」

 袋に詰めたフリのドロップ品をアイテムボックスから取り出す。

 一応三十階層までのドロップ品を出すと、

「し、少々お待ちください」

「あぁ、少し多かったか」

 待っていると今度は綺麗なお姉さんがでてくる。

「お待たせしました。こちらに個室がありますのでそちらでお願いします」

 ドロップ品を袋に詰めて持って行く。

「では改めて副ギルド長の福田と申します。ドロップ品を拝見しても?」

「はい、お願いします」

 ドロップ品を出して行くと福田さんの顔が引き攣っている。

 

「失礼ですがその袋はマジックアイテムですか?」

「あ、あぁ、そうですね」

「そうですか。こちらのドロップ品は今日だけですよね」

「そ、そうですね」

「ですよね。冒険者カードを見せていただいても」

 俺は嫌な予感がするが、冒険者カードを取り出して渡す。

「風間小太郎さん。ですね。まだ一昨日登録したばかりじゃないですか!」

「はい、上級でも問題なく戦えるので」

「は、はぁ、そうですか」

 福田さんはなにかを悟ったような顔をしている。

「失礼ですが本当・・はどこまで潜りましたか?」



「五十階層まで」

 福田副ギルド長は項垂れてしまった。


「あの、なにか不味かったですか?」

 ギルドの規約なんかよんでないし、

「いえ、逆にすごい逸材を発見したことに感動している次第です」

「え?」

 福田さんの目が血走っていて怖い。

「その若さで上級の五十階層を突破して帰ってくるなんて!それも一人で!」

「いや、そんなことは」

「さて、五十階層までのドロップ品を出していただけますか?」

「は、はい!」


「これだけのものが集まるなんて!」

「あ、あの、宝箱からも」

「宝箱!あの宝箱も出たんですか!?」

「はい、これが宝箱からでた、上級ポーションと火炎剣です」

 俺はここぞとばかり全部出してしまおう。そしてここには来ないでおこうと心に決めた。


「この二つは買い取り不可です。オークションに出したいと思いますがいかがでしょう?」

「はい!お願いします」

「つきましてはギルドの手数料が十%になりますがよろしいですか?」

「はい!」

「ありがとうございます」

 福田さんが怖い……


 ギルドで買取してもらったものは全てで五百三十四万円になった。


「今後も当ギルドをよろしくお願いします」

 九十度のお辞儀をされ、ギルドを後にする。


 とてもじゃないが、日本でダンジョンに潜れる気がしない。なんとかならんもんかね?


「助けてルーえもん!」

「なんだいコタロー君?」

「日本のダンジョンってなんであんなに弱いの?」

「あら、もう遊びは終わりなのね。日本、というか地球はまだダンジョンが注目されて日が浅いから、もっと深いダンジョンは隠してるんじゃないかな?」

 それでもダンジョンが弱ければ強い冒険者は育たない。

「まぁ、いまは遊びみたいなものよ」

 遊びかぁ、まぁ、こっちからすると遊びみたいなものなんだよな。

「それより日本に帰れたのね」

「おう!なんとか早めに帰れるようになった」

 金も稼げるし、昔の俺とは大違いだ。

「良かったわね。ようやく私も肩の荷がおりたわ」

「よく言うぜ。途中からほったらかしだったじゃねーか」

「あら、これでもちゃんと教えたつもりよ?」

 強くなれたのはルーのおかげか。

「それはそれだ。元は吸いすぎたルーが悪い」

「そうね。また吸ってあげようか?」

「あははは、ごめんだね!」

 

 ルーの家から日本に戻る。日本のレベルなんかはどうなっているのか調べてみるとまだ最高レベルが五十そこそこだった。

「なに調べてるの?」

「お?ユフィがやっと解放されたか」

「お爺ちゃんお婆ちゃんによくしてもらってるよ」

 ユフィの着てる服は見たことない新品だ。

「それは何よりだ。こっちは日本のダンジョンがレベル低すぎてな」

「それは私でも簡単に攻略できるの?」

「簡単すぎるんだよ。まぁ、生活には困らないけどな」

 困らないけど……。

「うーん。ダンジョンはルナディアで行ったら?」

「そうするしかないかな」

 そのうち強力なダンジョンが地球にも出てくるだろう。

「親父達は?」

「もう寝てるよ?」

「はあ?まだ八時だろ」

「お酌したら酔っ払って寝ちゃった。布団には運んでおいたから大丈夫」

 女の子に布団に運ばれるなんて情けないなぁ。


「ルナディアに行こうよ。身体が鈍っちゃう」

「だな。行くか」


 転移で王都のコタローダンジョン。

「ここがコタローダンジョン?」

「そう。上級より特級寄りだから気をつけて進むぞ」

「了解!」



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