第42話 爺婆ズ
さて、勝負!
「はい、登録完了です。規約はこの冊子にかいてありますのでよく読んどいて下さい。他に質問は?」
「ありません。ありがとうございました」
やったぁー!写真に似せて行ったらちゃんと通ったぜ!これで日本で暮らせる!
「おー、やったじゃないか、これで一人前になったの!」
親父にギルドまで連れてきてもらって、一発合格だ。ここまで長かった。涙が出そうだ。
「おめれとー!」
なぜか助手席にユフィが座りアイスを食べている。あぁ、俺は後ろですか、はい分かりましたよ。
「ユフィちゃんはほかに何が食べたいんだ?」
「えーっと、ハンバーガー!」
「ハンバーガーか!よし!小太郎買って来い!」
「ふざけんな!こっちは浸ってんだよ!さっさとウチに帰るぞ」
「「えーー」」
「声をそろえるな!」
ほんとにクソ親父もユフィも……楽しそうだからいいけどな。
「おし。そろそろ帰るか!」
「おう、ユフィちゃんは置いていけよ」
「なんでだよ!あほか!」
「じゃあ、親孝行だと思ってまだここにいろ!ユフィちゃんの戸籍のこともあるしな!」
「ぐっ!」
親父にそう言われたらいるしかないじゃないか。
「お前は仕事するんだろ?冒険者の。その時ユフィちゃんはどうするんだ?」
「ぐっ!」
「ほら、何も考えてないだろ?俺たち爺婆ズに任せろ!」
急に出てきた近所の爺婆ズ。
「色々日本のことを教えといてやるから、お前はここでダンジョンとやらにいって稼いで来いよ!」
親父&爺婆ズが高笑いしている。
「分かった、ユフィのことは頼むな!俺はダンジョンで稼いでくるぜ」
「おう!お土産楽しみにしとるでのぉ」
「まかせとけー!」
「あーあ、私もダンジョン行きたかったなぁ、でもお爺さんお婆さんと遊ぶのも楽しそう」
「「「うぉー天使じゃー」」」
「ほんにいい子だよ」
爺婆の心をグッとつかんだユフィだった。
豊川ダンジョン 一階層目
「おいおい、防具がそれかよ」
「言ってやるなって」
他の冒険者が俺を見て笑っているが、防具が変かな?まぁ、日本製に比べれば変かな?
「まぁいいや!」
一層はスライム。は置き去りにしていく。
二層目ゴブリン、三層目スケルトン、四層目、五層目、とどんどん先に進んでいく。
十階層。
ボス部屋は並んでいたので後ろに並ぶ。
「え?一人で?」とか「マジダセェ」とか聞こえるが別に気にしない。
ようやく俺の番が回ってきたので入ろうとすると「お前はどけ」と横入りしてくるやつがいたので「いやだ」と言って止める。
「なんだこいつ?やっちまうぞ?」
「俺の番だろ?」
「いだだだ!」
手首を捻ってやるとすんなり通してくれた。
ボスはゴブリンチーフ。
一瞬で倒してしまうとドロップ品を回収してつぎの階層へ。
「ここって初級かな?」
早くも三十階層に到達すると、ボスはウェアウルフ。
「やっぱり初級ダンジョンだわ」
サクッと倒してドロップ品を回収。
転移陣で外に出る。
しょーがないのでここでドロップした品を換金すると、三十万になった。
「えっ?!」
地球のダンジョンは思ったよりも楽勝なのか?
三十万を持って実家に帰宅する。
「あらユフィちゃんは着物も似合うわねぇ」
「帯はこっちの方がいいわよ」
隣の部屋から聞こえてくる声を無視してリビングにいく。
「親父、ダンジョンってどうなってんの?」
不貞腐れてる親父どもに聞いてみる。
「おう、帰ってきたのか。あの婆さんどもを何とかしてくれ!ずっとユフィちゃんを着せ替えて遊んどるんじゃぞ!ワシらとはあそばしてくれんのじゃ!」
「そうじゃそうじゃ!」
いや、不貞腐れてる意味はしらんがな。
「そうじゃなくて、今日だけで三十万の稼ぎになったんだが」
「なっ!なんじゃと!」
「小太郎が高給取りに!?」
いや、そこでもなくて。
「ダンジョンのことちょっと調べるわ」
「今日は小太郎の奢りで寿司じゃな!」
「寿司じゃー!」
いや、まぁいいけどさ。
俺の行った豊川ダンジョンはやはり初級ダンジョンだったが、まだダンジョン深くに潜れる冒険者があまりいないせいでドロップ品が高値で取り引きされているらしい。
「はぁ。それでかよ」
近場で上級ダンジョンといえば岡崎ダンジョンが一番近くにあるようなので明日はそこだな。
「寿司は美味いのぉ!」
「こりゃ!それは俺の大トロだ!」
「とったもん勝ちじゃー!」
なんだこの爺共は?
「あっ、小太郎さんお勘定お願いします」
後輩の和人が玄関で待っていた。
「すまないな。これで、釣りはいらないから」
「あ、ありがとうございます!」
寿司桶三つも頼みやがって!
次の日は朝から電車で岡崎のダンジョン 前まで行くと、ギルドからダンジョンに入る。
「ここで上級ダンジョン?」
一階層はやはりスライム。一応アシッドスライムだけど、変わらない気がする。
量だけは多い為間引いて行く。
十階層はボスでコボルトウォーリアー。
まぁ、初級よりマシになった程度か。
二十、三十とそれなりのボスが出てくるが、本当にこれが上級ダンジョンなのかと思えてくる。
四十階層。
ようやくボスがワイバーンになってすこしは強くなってる気がしたが、俺だと一瞬で終わってしまう。
五十階層。
デスワームだ。デカいミミズにでかい口が付いている。こんなの中級ダンジョンのモンスターだ。サッと倒してドロップ品を拾うと宝箱が出てきた。
「まさかね」
宝箱を開けると『上級ポーション』と『火炎剣』がはいっていた。
やはり取り出すと“ゴゴゴゴゴ”と地鳴りがして、下の階層が現れた。
「五十階層まで」
福田副ギルド長は項垂れてしまった。
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