第28話 弟子の弟子2
ギルドのことは災難だった。
「まぁ、宝玉はなんかに使えるだろうしな」
って事で気を取り直してガノンダンジョンに来ている。
ガノンダンジョン 七十三階層
「うおぉぉぉおぉぉぉ!」
ガメルノドンと言う巨大な地龍に追いかけられている。足は早いし皮膚は硬くて、アスカロンでもやっと二頭倒したところだ。見た目はトリケラトプスのツノ無しのような見た目。
『バーンクエイク』
ガメルノドンは足を取られ、火だるまになった。
「よっはっ!」
アスカロンでトドメを刺して行く。
「あっぶね、結構苦戦したな」
ドロップ品を拾いながら今回の反省をしていた。
「はぁ、特級は結構激しいなぁ、もっと上手いこと魔法も使っていかないとなぁ」
ついついアスカロンで終わらせようとしてしまうんだよな。気を取り直して次行くか。
ガノンダンジョン 七十七層
『バーンクエイク』
レグノラと言う小型竜のようなモンスターは素早い動きで魔法を避けてくる。
「クソっ!ここはコレじゃないな!『サンダーレイン』てやぁっ!」
流石に避けられなかったサンダーレインで痺れてる間にアスカロンでトドメを刺していく。
「はぁ、俺もまだまだだな」
さっさと八十階層にいって、宿に帰りたい。
ガノンダンジョン 八十階層
アウストラ……猿型の凶暴なモンスター。体長十メートルもあり、腕力、握力が強烈。
「しかもすばしっこいって最強だろ!!」
逃げ回っていても倒せないから、何か手はないか?
「『サンダーレイン』って効かねぇ!」
いや、少し効いてるみたいだ。
『サンダーウォール』
自分から突っ込んできて自爆してる間に、
「うおりゃぁぁぁ!」
首を刎ねる。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
なんとか勝てたなぁ。だがやっとコレで帰れるな。
転移陣で外に出ると夜明けのようだ。一日中ダンジョンにいたわけか。
「だぁーー、疲れた」
ここ三ヶ月は一層毎に強くなる敵に手こずりながらなんとか八十階層まで到達した。
ここを攻略したガノンってだれよ!
「はぁ、しかしまだ三年以上もあるからなぁ」
早く二十歳になりたいぜ。
「なんとかならないのかな?」
マイナンバーの写真の変更とか?化粧で老け顔にしてもらうとか?って、まだ身長がなぁ。俺って身長伸びるの遅かったしなぁ。ある程度伸びたらバレないかな?
鏡をみると、そこにはどう見ても十代の男。
「だぁーめだ。俺だったら「お父さんのマイナンバーですよね」っていう自信があるもん」
大人しく年が過ぎるのを待つかぁ。
いつの間にか寝てしまった俺はドアをノックする音で目が覚める。
「んぁっ?だれですかぁー」
扉を開けると、
「コタロー!探したぞ!」
「あ?ユフィか?どうした?」
「いや、あの、コタローさえよければパーティー組まないかと思って」
「ん?俺と?んーー、とりあえず入れよ」
「うん!」
ちゃんと防具をつけて弓を担いでいるユフィは冒険者になっていた。
燻んだ髪もきれいな藍色に艶が出てボブカットになっている。ちゃんと女の子してるな。
「んー。寝起きだからまだ頭回ってないか」
「もーしゃんとしろよ!昼間だぞ?」
「朝方までダンジョンに行ってたからな」
まだ寝足りない。
「パーティー組む?弟子ならいいぞ?俺は三年でいなくなるぞ?」
「そ、そうなのか?」
「まぁ、ずっとってわけじゃないけど、弟子なら三年だけだ」
「そ、それでもいいぞ!強くなりたいんだ!」
おぉ、キラキラした眼だな。
「ならよろしくな」
「うん!よろしく!」
「じゃ、寝るから」
「あ、おい!寝るなよ!弟子にしたんだぞ?起きろぉー!」
「んじゃ、瘴気の森にでも行くか」
「え?ダンジョンじゃないのか?」
「まだ駆け出しのユフィにダンジョンは早いだろ」
俺でさえ最初は森で狩りやってたんだぞ。
「てかお前のステータス見るぞ」
「えっ!?」
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ユフィ 十五歳
レベル6
力 F+
体 E+
速 D
魔 E-
運 E
スキル
ユニーク
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「なーんにも無いじゃないか!」
「な、何にもないのが悪いのかよ!」
本当のペーペーだな。
「んじゃ、これとこれと、それからこれこれを使え」
「いいのか?」
「あぁ、まだあるしな」
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ユフィ 十五歳
レベル6
力 F+
体 E+
速 D
魔 E-
運 E
スキル 風魔法 土魔法
弓術 短剣術
早駆け
ユニーク
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少しはマシになっただろ。
「おぉ!早駆けすっげぇな!」
「おい、あんまはしゃぐなよ?」
「だって、だって!」
ぴょんぴょん飛び跳ねるユフィを宥める。
「わーかった。んじゃ瘴気の森に行くぞー」
「おーー!!」
転移は使わずに歩きで行く。まずは足腰を鍛えないといけないからな。
「なぁ。コタローはどうやったらそんな強くなったんだ?」
「魔女に扱かれた」
「ふーん、って魔女?!」
「そう。黒の魔女の弟子だ」
「す、すげぇなぁ」
若干引いてるな。
「すんげぇ辛かったけど、それで良かったと思ってるよ」
「あはは、ギルマス潰しちゃうくらいだしな!」
「知ってたのか?」
「知らない奴はいないんじゃないか?」
まぁ目立ってたしなぁ。
「ポケットさんもビックリしてたよ」
「まじかぁー」
指名依頼もう来ないかな?
瘴気の森まで約二日かかる。街道の端でキャンプをすることになる。
「ここを今日のキャンプ地とする!」
「はい!」
ユフィは真面目だな。
「テントの張り方はわかるか?」
「知らない」
「なら教えてやるからやってみ」
「うっす!」
いつもならアイテムボックスから出すだけだが、今後のユフィのために必死に思い出しながら教えて行く。
「で、出来た!」
「コタローも苦手なんだな!」
「うるせー、久しぶりだからド忘れしたんだよ」
夕飯は疲れたので牛丼だ。
「うめぇぞ!コタローのアイテムボックスにはこんなうめぇもんが沢山入ってるのか?」
「まあなー、だが、狩りに成功したらそれをちゃんと食べるんだぞ?」
「わ、わかってるよ」
まだ金を稼ぐまではいかないだろうから、最初は食えればいい。
夜番は交代で寝るが、心配で寝れない。
ようやく交代の時間になって、俺は結局寝れなかった。
「ふわぁあぁぁぁ!」
「なんだよ、寝れなかったのか?」
「まーな。久しぶりのキャンプだったしな」
「俺はグッスリ寝れたぜ」
そりゃよーござんした。
やっと着いた瘴気の森はこの前来た時よりもモンスターの気配が濃い。
「一人になるなよ、必ず退路を確認しながら進め」
「分かってるよ、何度もきてるからな」
そういえばここのガイドしてくれたんだったな。
“ヒュン”
ユフィの矢が飛んでいき鹿の首に突き刺さる。少しだけ動いていたが、やがて倒れた。
「じゃあ、解体の仕方を教えるからな」
「はい!」
血抜き、皮剥ぎ、内臓を取って、枝肉に切り分ける。
「うえぇえぇ」
「最初はそんなもんだ。慣れるぞ」
「……うん」
夜はキャンプ地に戻って、狩った獲物で料理を作る。
「うんめぇ!」
「自分で狩ったんだからうめぇに決まってるだろ」
そんな日が一月も続くとユフィはある程度成長していた。
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ユフィ 十五歳
レベル15
力 E-
体 D+
速 D
魔 D-
運 E+
スキル 風魔法 土魔法
弓術 短剣術
早駆け
ユニーク
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次は初級ダンジョンだな。
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