第20話 長男の披露宴に家族全員出席

 それから数日後、次男の大輔を家族に紹介した。ここでも香織が力を発揮した。可愛い弟が出来て嬉しいらしく。私が貴方の姉よと言ったら大輔は緊張が解れたのか、それとも姉と言う響きが大輔の心を熱くさせたようだ。

「これから貴方は家族で弟だから面倒見てあげる。姉と思って頼りにしていいよ。何でも相談して、特に恋愛はバッチリ教えてあげる」


 早速姉貴風を吹かせるが、面倒見てあげると言われ頼もしい姉だと思ったようだ。大輔は一人っ子だったので本当に嬉しかったようだ。

「はい……お姉さん宜しくお願いします」

 香織はお姉さんと言われ、ご機嫌だ。優しい母、頼れる姉、そして兄、大輔は心から嬉しそうだった。そんな大輔を見て妻は本当に息子と思えるようになった。

 俺と妻は揃って孝之の結婚式に臨んだ。披露宴の同じテーブルに座った娘が微笑んでいた。


 そして香織の隣に腹違いの次男、大輔が居る。妻も暖かく迎えてくれた。孝之も香織も弟が出来た事を喜び全てのわだかまりが消えた。大輔は野球の才能があるらしく、なんでも大学はスポーツ推薦で奨学金が出るそうだ。我が子ながら三人共たいしたものだ。近い将来、大輔はプロ野球選手になれるかも知れない。

 夢のような話だが、野球の素質があるからスポーツ推薦で入れたのだ。

 もしかしたら将来、東京ドームに家族で大輔の活躍を応援する事になるかも知れない。

 香織は兄の結婚はもちろん嬉しいだろうが、俺達が再び一緒に暮らし始めたことを誰もよりも喜んでいる。弟が出来て余程嬉しかったのだろう、最近は大輔に対して益々姉貴風を吹かせている。俺達は娘に感謝しなくてはならない。そのお礼は娘が結婚する時は盛大にやってあげようと思う。家を売ってしまったから、あのスカイツリーが見えるボロアパートで暫らく暮らすことにした。


妻には悪いと思ったが、それが大違いだった。狭いから貴方がいつも側に居て話し合えるし、そして憧れの東京スカイツリーが毎日見渡せる。何よりも嬉しいのが、早苗が料理、洗濯をしてくれる。ただ依然と違うのは「何か手伝おうとか」と、気づかいを見せるようになった。スカイツリーはまだ半分程度しか完成していないが、香織が結婚する頃には完成するだろうか。もしそうならこれ以上の幸せが何処にあるのだろうか。


 つづく

 次回最終話

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る