第5話 孤独との葛藤
離婚はしたが俺には親としての努めと云うか責任がある。成人したとはいえ結婚するまで見守らなくてはならない。そして孫が生まれたら……いや其処まではまだ考えずに置こう。
それ以外に問題は沢山ある。浮気した時の子の大輔は高校二年生だが、俺が野球好きだったせいか野球部に入っている。素質もかなりのものらしい。一年生からレギュラーらしく、学校も大会では上位の方で二度ばかり甲子園に出場した事がある有力校なのだ。大輔は甲子園を夢見て頑張っている。大輔は母が五才の時に病で亡くなった。本来なら父である俺が育てなくてはならないが、相手の親は頑として大輔(孫)は私達が育てる、貴方は大輔に近づかないでとまで言われた。だが娘の遺言が効いた。父は洋輔さんなのだから、将来成人して父の居ない子にはしないでと。そんな訳で今は年に数回しか会っていないが、進学をどうするか相談に乗ってやらなければならない。
そして一番の問題は、腹違いの子供達と対面させるかという事だ。
難しい問題だが腹違いであっても兄弟である。俺としては互いに兄弟と逢って欲しいと願っている。だが子供達に言わせれば浮気した相手の子供。弟と言うより憎さが上回るかも知れない。
しかし毎日が退屈であった。だからつい妙な事を考えてしまう。
子供は勿論だが今は自分をどうするか、どうしてこれからの人生を歩んで行くのか決めなければならない。毎日、家でブラブラしていては息が詰まりそうにもなる。引っ越して近所には知り合いもいない。いつかはまた働こうとは思っているが、この不景気にどんな仕事があると云うのだ。ガードマンや守衛なんて俺には勤まらない。出来るとしたら事務系くらいだろう。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます