第23話 ◆太郎の注釈
僕は昔からずっと漫画を描いてきた。誰かにとって面白い漫画を描くことを、僕は呼吸のように繰り返し続けた。それは気分が良くて、ともすればスマホを見ることも忘れるほど熱中できることだった。
ある日僕のそんな癖にはヒカリが加わった。彼女は僕の漫画を読んで感想をくれたし、どうすればナチュラルに伝わるのかをよく考えているようだった。そして、彼女はおそらく目的を持っていた。彼女は僕がナチュラルにとって面白い漫画を描けば、僕がナチュラルになるものだと信じていたのだ。
そのアイディアはいくつも飛躍がある。おそらく僕は面白い話を描いてもナチュラルにはなれないし、そもそも桃娘の僕はナチュラルになることに対して意味を見出していなかった。
それでも、ずっと一人で描いていた漫画を誰かと一緒に制作することはとても楽しく、有意義であることは間違いなかった。続けてきた理由はそれだけだ。
そして高一の夏。
僕は少しだけナチュラルに近づいた。戸籍はかわらず、感覚だけ。
その結果、桃娘であることがどれほど恐ろしいことか理解するに至った。だから少なくとも、もし親しい人が桃娘でいることに嫌気を覚えたのであれば、それを消し去るための手伝いをしてあげたいと思うのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます