第11話  解釈

アイツら見つけ次第、刺すと思った


「なのに、なんで見つからないのよ」

飛ぶ胴体に勝利し、かれこれ30分間(スマホの時計によれば)

探し続けたというのに、人影すら見当たらない


人影の見間違いなら、2回ぐらいあった

ポスターを、柄屋敷

観葉植物を、島鳥


だから、自分の目が疲れてきてるって思うことにした


誰もいない暗い廊下

さっきから月の明かりがないせいで前後不覚になっていた。


こうも、さまよっていると

だんだん心細くなって


人感センサー、、あったなそんなの。


てことは、マップを見れば

反応があるかもしれない。


ずっと反応しっぱなしのところがある

行ってみるか


スマホの明かりを頼りにしたいところだが

こちらの位置がばれることは避けたい。


だんだん暗闇に慣れてきた


「ぎゃ!」

どてっと前に倒れこむ

何かにツマヅいたようだ

ナツメグらしい。

「ぉーぃ」

「、、、、」

返事がない。ただの屍か?コイツ

まあ、ダメもとで刺しとくか

さらば。


左横にそっとしゃがみ込んで

ナイフを振り上げ、胸へ刺す。

「うおおおいちょっと待てこら!!オレが何をしたッてんだ。

殺しただけじゃねーっすか!」

チッ白羽どりしやがって

「ナツメグ、てめぇ起きてたのか!とりあえず死ねぇ!」

ぎりぎりと力任せに押し通そうとするも

ハンズ・サンドが強固に出来上がっている。

「くそ!」

とりあえずナイフを引き抜くも、バランスを崩し、尻もちをついてしまう

がしっと

足。大体ふくらはぎ辺りを掴まれる

ナツメグの目はかっぴらき

「ぅおい!ちょ!まっ!t!」

必死の形相で待て(?)と言われても

「うわあああっつ!離せ!触んなぁ!!」

やたらと掴む力が強い

「何も逃げなくたっていいじゃんすか、、」

「殺人犯から逃げない人はいないと思いますけど?!」


「はーとにかく逃げないでよ、いい情報あげるっすから」

「しょーもなかったら許さないから。」


あっさりと離してくれた


「、、、島鳥は、肩にけがをしてるっす」

「けが?」

「そ、、す」

「今、島鳥はどこに?」

「プレス機の方にむかったす」

「プレス機、、」

「オレはすんごく暇だけど、動く気ないんで。逃げませんっすよ」

「、、覚えとけよ」


プレス機がたくさんあって


何かのお肉をペシャンコにしている


一番中央に、ひときわ大きいプレス機が置いてある

「肉が集まるこの工場」

月のスッポトライトが照らす

「ここに集うのは、様々な肉塊メンバー

寄りかかって、座っている。

参加者メンバーってことですか」

「いや、肉塊に過ぎない」

ブラウスの血が、止まらない。

「不満だよ。生き生きと人を殺せると思っていたのに」

まさか、バケモンに殺されるとは

血色が悪い

「まあ、少なすぎるとは思いますが」

ゲームは、最低で一人からできる。


「キミに、生きることの素晴らしさを説きたかった」

「そうですか」

冗談ばっかり

「ここにき、ている以上、十分だッと思うが、、ね」

「」

呼吸が過呼吸へと悪化していく

食品工場、


小さな女の子がいました 、お母さんは病気で、お父さんは帰ってきません

病気が治ってほしい、元のお父さんに戻ってほしい

また、家族になりたい


そう思って、はさみを握った。

隙を狙って、勝とうと思った。幼い子供に殺し方なんて、思いつくはずもない

ただ、<人に向けたら危ないよ>と言われた言葉を覚えていた

その子は世間知らずで、純粋だから多くの人に騙された。

その姿は、愛おしく。私と対立するときでさえ最後まで頑張っていた


協力して、勝とう。と思ったんだろうな。

そうして、ころされた。

いま、しあわせなのはだれだろう


男がいた。そいつは会社勤めをしていた。同僚がいた。

同僚は、パワハラで、自死を選んだ。

上司は、まだ笑っている。

上層部は全員グルで。

同僚の願い《ふくしゅう》に協力するため、バールのようなものを振りかざす


そのいしは、だれのいしなのか


名も知れぬ、誰かのために

祈る女がいた。

見えないものが見えて、たくさんの苦悩を聞いてきたという

死してまで、苦悩するのはつらいこと、この上ない。


水晶玉で殴りかかってきた。


ほんとうに、つらいのはだれだろう


DIYが趣味の一般男性。


とある強盗に、家族を殺された

見つけ出して殺すため

電動ドライバーで参戦


ねじを回したかったのは、だれのあたまだろう

以下略


淑女が居て、夫は、死ぬのが怖いと言っていた。

せめて、記念日までは。

あの人に、寿命を分けたい。

自前のステッキで応戦

ほんとうに、しぬのがこわかったのはだれだろう


一般人がそう勝てるわけもなく。

やすやすと、もしくは痛めつけられ

抗い続けて

死んでゆくのを見た。

必ず一人はいる正義の殺人者すばらしいひと

一様に、

お前は、私の敵だ。

だから、殺す。

純粋な殺意いと

殺意を向けてきてくれたことに感謝するよ


気兼ねなく、応じられる。


ありがとう。


「殺しは必要な死かい」

「勝つため《生き残るために》に必要な死ですから」

「いうようになったじゃないか」

「アカネクン、殺してみたまえ」

「そうですね」

歩み寄り、

首を切る。

やはり力が足りない。

「殺すのは」

深く、深く刺し、骨も、削り取るくらい

ゴキッと音がして


「生物の特権だろう」

袖をめくり、手首をかっきる

右手。左手

白いブラウスは赤く、紅く

実を言えば、リストカットでは人は死ねない。

傷つけることで、痛みを感じ、生きていることを実感できるタイプ

傷つけることで、痛みを感じ、生きていることを悔やむタイプ

温かい血が、愛おしいと思うタイプ

その他十分。




そのどれも、私は尊重しよう。


人はきれいには死ねない。

醜く、死ぬだけだ。




足首。

足の甲の方が血管がよく見えるから。刺してみる

切ってみる

それほど血は吹き出ないが、ただ、流れてゆく

真っ赤な紅玉ルビー

いつの間にかだらんと垂れた舌は

何を話すのだろう。


オキ二のパーカーは、赤い飛沫を付けた


動かない島鳥を見下ろしても

涙は出なかった。

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