第8話 生存


赤眼鏡は頭を抱えているようでかなり疲れ切ったオーラを醸し出している

「なんで、わたし(もどき)を二度も殺られなきゃなんないのさぁ」

理不尽にも程があるだろう


「なんだね、キミは殺人者に好かれてるのか」

のこのこと早苗に歩み寄る島鳥

「体質だと思ってます。ただ、諦めてはいませんが」

しっかりと目を見て言い放つ


「殺し合うことは愛し合うことだと思うと誰かが言っていたな。

相手を認識し、執着する。肉体のなぐり合いで、オールオーケーなのだと

つまり、この状況下では一番の愛され者だ!無論、私もキミを愛そう」


「その方向になると、乙女同支の愛憎劇が発生するのでは。あいにく私には」

「ああ、それなら問題ない。男だ。」

「は?いや、胸、、」

「防弾、防刃使用の優れもの。女装にブラは鉄板だろ?

男といえど、楽しんでいるだけだし、歓迎するよ!」


隠す気などない様で、何とも生き生きした表情だった

色々、羨ましい。


「尻も入れてんのか」

「こっちには何の仕掛けもない。ん?それがどうかしたか」

「そっすか」


「おっさん」

「アカネクン。急に態度が雑になった気がするが」

「気のせいですよ、島鳥さん」

「それに、まだ26だぞ?」

「あーはいはい」


「アカネ、キミはよく頑張った。キミの尊い命のおかげで私たちは救われたのだ」

「勝手に殺さないでください」

頭に血が上ってきた。ひっくり返って上りやすくなってんだきっと


「そもそも。アレはなんだと思かね」

「血にく(生)を求めて彷徨う食人ゾンビみたいな」


「キミ、静岡に住んでいたりしないか」

「生まれも育ちも東京ですが何か

というかアレはクリーチャーだったような。」


「西之、なんかゲームやってんのか?」

柄屋敷が興味を持つとは。

「ゾンビ系なら、バイオか。いや、バイオ以外実況動画を見たことがない

アタシは壊滅的にヘタクソだし。なんで?」


ゲームは、カレシとやったことがあるが

、、、、思い出そうとすると頭痛がする


「先輩が、ゾンビ系のゲーム好きだったから」


「へぇーなんか、その人と仲良くなれそう」

「、、、かもな」


ピコピコ、、、ピコピコ、、がこがこ


「音、、?」

「この距離だと、そう遠くはないか」

「あ、、もしかして」



事務机の上にスーファミ、灰色の媒体。青白い光を放つアナログテレビの画面には

檻の中にゾンビとナツメグがドット絵で表示されている。

檻の外は、たぶんミンチにする機械だ。8btの暴力的な轟音


カセットが刺さっており、接続部分をふーふーしておきたくなる古さ

Say!ゾン☆リズム


紙切れ

せつめい:タイミングげーむ。近くによって来たら、Aボタンを叩こう!

ぶき は ないんだ ごめんね!


>ぷれいやーは、だれにしますか_

>なまえをにゅうりょくしてください_


ナ>はやく ここから だせ!

ナ>とっとと クリア しろ この のろま!!


ああ、助けたくない。人的にも、状況的にも



「わたし以外に。ゲームできる人、いる?」

早苗はできないということらしい。


この時代にボタン式のゲームをプレイしている人がいないわけではない

ただ、今はスマホでプレイする人が大半だと勝手に思っている。

となると、柄屋敷か、島鳥か、、、アタシ


「柄屋敷は、ゲームは、、」

「スマホぐらいだな」

「島鳥さんは、、」

「できるぞ」

「じゃぁ、、」

「ただし、リズムゲームはクリアできたためしがない。壊滅的だ」

「はあ」

「つまり、頼んだぞアカネクン」

嫌ですよ!ともいえない

肩に手を置かれても名誉な気分にはならない


いや、ここでナツメグを落としとけば

何か変わるかも


「、、、分かりました。責任は負いませんからね」


ゲームスタート


ぷれいやー_アカネ


事務椅子に座り、テレビと睨めっこする。

コントローラーを握りしめる


とっとと殺してやる


十字キーで移動、、、あれ?


これ、ゾンビが動くじゃん


というかゾンビ、、、アタシっぽくね?


リズゲーって嘘じゃん

というか、リズゲーとはいっていない


てっててってええ~ん


一方ナツメグ。給湯室

「ええい!ちょこまかと動きやがって」

ゲームがあるから、暇つぶしにやろうと思ったらこれか!

配信者ということもあり、ゲーム実況は気まぐれにやっている方である


もちろんウラ垢で。


やや後方。机の上にスマホを取り付けたスタンドを設置。

これもネタ


それにしても、

「気味悪りぃ」

相手の動きはパターンがあるのがCP《コンピューター・プレイヤー》の仕様

としては、一般的と言える。ランダムにしても

コイツには、なんというかものを感じる

それよりも、

「まずは一発!」

ゾンビの頭にヒットする

「おっしゃ!やりー」


事務室

「~~~ッ!」頭に鈍痛が走る。これは、SAO方式なのか

つまり、相手は本人。

遠隔からでも殺れるならマジ殺す。

いや、殺されるかもしれない。


「、、これ、本人と連動してるっぽい」

「はあ?うそでしょ生きてんの」

「え、会ったの?」

「そ。アイツが持ってたのを口に叩き込んだら死んだ、はずなんだけど

そういえば、アイツって配信してたんだったけ」

「へぇ」


とにかく負けてはいられない。必ずこの手で


「おりゃぁ!!」

一発食らいやがれ

負けじと殴り込む、ヒット

「しゃ!!」


勝てる!いける殺れる!


プチュ


「「はっ?」」



ナツメグ:給湯室


カチカチ押しても反応がない


画面がちぎれたような音を出して切れてしまった


「チッ!んだよいいとこだったのに」

コントローラーを画面に投げつける

跳ね返ったコントローラーは運悪くスタンドを倒してしまう。

「くそ、、、」

カチッと電源ボタンを押すが反応がない

「、、あ、、まじかよ、、ざけんなっ」


反射した画面、コンバースの靴が見えた


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