第6話 復活
鈍い音がした
何というか、思いっきり後頭部をぶつけたときの音がする。
最近だというのに、懐かしい。
パーカーの袖の向こう側にあるおかげで何も見えない
好奇心から袖をどかす。
チㇻァ
「寝ているかと思ったよ」
近い。コイツの目玉しか見えない
見ようによっては海に見えなくもない青い瞳
瞳だけなら好きになれそ、、、いや何を言ってるんだ私は
「音、しませんでしたか」
げんなり9割、好奇心1割。まだ、起き上がる気になれない。
「ああうるさかった?」
ほれ。
中腰のまま、ノールックで親指を立てて示す。
鳥島から見て後の壁にノックアウト状態の柄屋敷
ちょう座体前屈のテストの後みたいな姿勢。
もしくは、くったりしたクマのぬいぐるみのポーズ
「空気を読めないヤツは嫌われるぞー」
沈黙の柄屋敷に一応振り返り、言い放って、
「せっかく二人で話してたのに。ねぇ?」
一方的にの間違いではないのか、こちらに微笑む。微笑むな、綺麗すぎる。
顔面偏差値高すぎんだろ
「、、、」呆れと苦渋の顔
やんのかテメェ的な視線で応戦する。多分効果は無い。
「舐めてかかると痛い目を見るよ。大人しくしておいた方が身のためだ」
このたび、真面目腐った声で言われても。
どの身の話だろうか。この身は有って無いようなものだから
「どうでもいいよ、」
どうでもよかったらいいのに。
「う、、」
「起きたっぽいね」
興味が無いのか、顔は向けようとしない
柄屋敷の方はゆっくりと立ち上がると、ひとまず鳥島の背後まで来た。
鳥島の方は、ようやく柄屋敷に向き直る。
「てめぇ、、ナニモンだよ」
「ただのお茶目な お巡りさんですがナニカ?」
器用な指ハートを作る
「少なくともお巡りさんではないだろ」
「まあね」
「つーか、オレのスマホどこやった」
「ほれ」
GALAXY@《ギャラクシア》のスマホ。カバーは直線的な幾何学模様。
「返せよ」
「あーちょまって。使うから」
「終わったら返せよ」
絶対に。という言葉を含ませて
「ままっ、今からいうこと、聞いて?
いきのこり:《は》西之アカネ、柄屋敷クルリオ、ナツメグ、島鳥」
、、、4人
「で、こっちが私のスマホ。さてもういっちょ。
いきのこり:《は》西之アカネ、柄屋敷クルリオ、早苗すみれ、ナツメグ、鳥島」
、、、ん?
「は?」
素で反応したようで、柄屋敷のこえが裏返る。
「そうだろ、おかしいと思わないかい」
「だっ」
言葉を、鳥島の人差し指が抑える。
「キミは、人を殺した。素晴らしいことだよ。生存上での本能だ、誇っていい。」
ありがとう
鳥島は口だけで、そう伝えた。
「さあ、そろそろ起き上がるときだよ」
「手を貸してはくれないんですね」
、、うっかり、言ってしまった。何となく。
「ゾンビは、自ら這い上がって来なくっちゃ」
「そういえば、そうですね、、」
ゾンビというものは、墓の中から
元は、人間。
這い上がる。生き返る。そして、生きるを求めて
活動を再開する。
命がけで向き合う。
目の前の相手のことなんざ、一生理解できそうにないが構わない
ゆっくりと腕に力を入れる。手で床を押し、足で立ち、足の裏に固い床の感触。
目を伏せて、深呼吸を。吐いて、吸って。冷たい空気を鼻から、肺へ肺から口へ
静かに、もう一度向き合う。
夜の藍色が世界を染める。
月の輝きで霞みがかる。
幻想、冷酷 そんな言葉が似合う
反対の廊下の端。光が届かない闇。
後は、闇。
ん??
静かな気持ちがすっ飛ばされる。
思わず凝視してしまう
闇の中に何かある。立っている
セーラー服。ローファー。タイツ。カーディガン
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