第5話 コスチューム

私はライオンを倒すことで自分自身に自信を持った。自分の力を使って誰かを助けたいという気持ちが高まっていた。しかし、涼子は「もしもっと大きなことをしたら、人々の注目を集めてしまうかもしれないよ。それこそが自分を追い込むことになるから気をつけないといけない」と懸念した。私はそう言われてみると、それも確かにそうだと感じ始めた。大衆の注目を浴びることは、彼女にとって決して簡単なことではなかった。


すると涼子は、「でも、もし何かするなら、身バレを防ぐためのコスチュームを着るとかはどうかしら?」と提案した。私はそのアイデアに興味津々だった。コスチュームを着ることで、自分の正体を隠し、匿名で人々を助けることができるのだ。それなら、大勢の人々の前で力を使うこともできるかもしれない。


涼子はその後、様々なコスチュームを用意して私に見せた。それはスーパーヒーローのようなコスチュームから、バイク乗りのようなヘルメットを着用するコスチュームまで多岐にわたるものだった。私はその中から、自分に合ったコスチュームを選ぶことにした。


涼子は、百合子に合わせたコスチュームを考え始めた。色は百合子の目に似合いそうなラベンダーで、素材は柔らかいコットン。タイトなものよりも動きやすく、百合子が自由自在に動けるようにするために、裾にはスリットを入れることにした。また、背中には百合子の名前の入った刺繍を施し、胸元には小さな花をあしらった。コスチュームの上には、ラベンダー色のスポーツジャケットを羽織り、さらに百合子が運動時に必要とするグローブやシューズも用意した。


百合子は、涼子が用意してくれたコスチュームを見て、とても喜んだ。柔らかい素材でありながらも、上品でかわいいデザインに感動し、涼子に感謝の気持ちを伝えた。それから、百合子はコスチュームを着用し、涼子とともにトレーニングを開始した。自分に合ったコスチュームを着ることで、より自分らしく、自分の力を最大限に発揮することができた。


身バレ防止のため、コスチュームのフードは大きく、顔を覆うようになっている。フードの中にはメッシュがついており、私が視界を確保しつつ、顔を隠すことができるようになっていた。顔が見えないため、私は別人のように見え、身元がバレることを防げる。また、フードを外せば普通の格好になるため、万が一誰かに見つかっても問題なく、安心して活動できた。


街中をバイクで走る男がいた。彼は周囲を警戒しつつ、おばあさんが持っていたバッグに目をつけていた。おばあさんは歩いており、道路を横断するときに、その男に目をつけられていた。男はバイクを停め、おばあさんに近づいていった。そして、一瞬にしておばあさんからバッグをひったくり、再びバイクに乗り込んで逃げ出した。おばあさんは驚いて地面に倒れ、周囲の人々が駆け寄って助けを求める声をあげた。


私はバイクに飛び乗り、ひったくりの男を追いかける。そのとき、背中から風を受ける感覚を覚える。そして少しずつだが、足元の風景が流れるようになっていた。私は自分が走っていることを実感し、ますますスピードを上げていった。


バイクの前方にいるひったくりの男は、私が迫っていることに気づいていた。男は加速しようとしたが、私はパワーフラワーを身につけたことで、自分の身体が軽くなっていることを感じていた。そしてやがて、私は男のバイクに追いつくことに成功した。


男は私を振り切ろうと、バイクを激しく揺さぶって私を振り落とそうとするが、私はパワーフラワーの力を借りて、バランスを崩さずに乗り続けた。男は再び加速を試みるが、私はそのままついていき、男のバイクの後部座席に飛び乗ることに成功した。そして、男に向き直り、荷物を返すように迫る。


百合子は必死にバランスを保ちながら、ひったくりが運転するバイクに近づいていく。ひったくりは怒り心頭で、バッグを握りしめ、路上に散らばる車をかわしながら猛スピードで逃げ続ける。


百合子は目を細め、前方のバイクに注視する。風の音が耳を刺激し、パワーフラワーが疾走する彼女の姿勢を支える。路上には続々と車が追いかける警察車両のサイレン音が鳴り響くが、百合子は自分の速さに集中している。


「もうちょっと、もうちょっとだ…!」百合子は自分に言い聞かせながら、バイクに近づいていく。そして、見事に後部座席に飛び乗ることに成功する。


百合子は、ひったくりに向き直り、取り戻したかばんを手に取ろうとする。しかし、その瞬間、強烈な空腹感が百合子を襲った。彼女は必死で体を落ち着かせようとするが、力が抜けていくのを感じた。


私はバイクの後部座席に飛び乗り、ひったくりを取り押さえた。しかし、バイクのスピードが速く、ひったくりは手荒く私を振り落とそうとする。私は必死につかまり、一瞬足を離すことができたが、またすぐにつかまり直した。その時、私の腹がグーグーと鳴った。空腹に負けかけ、手を離しそうになる。


ひったくりがバイクを操る様子に、私は怖さを感じた。しかし、勝手に逃げられてしまったらおばあさんが悲しむと思い、必死で押さえ込もうとした。そんな中、バイクが曲がりくねった道を進むため、ひったくりは私を振り落とすことができた。私は転んでしまい、バイクは消えていった。その後、私は泣きながらおばあさんに謝り、ひったくりの情報を探すために動物園の職員たちと協力して調べ始めた。


私は帰宅後、自分の力を生かすためにプロテインバーをたくさん積めるよう、翔太にコスチュームの改造を頼むことに決めた。しかし、その頼みをすると翔太が急に怒り出した。私は翔太の反応に疑問を抱き、何か理由があるのか聞くと、翔太は「なんでそこまで無茶するんだよ!」と声を荒げた。


私は戸惑いながらも、「私ができることはやりたいと思っているんだ。それであなたに手伝って欲しいと頼んだだけなんだけど…」と言った。しかし、翔太はその言葉に対してもなお怒りを抱えている様子だった。


夜になり、翔太が改良したコスチュームを持ってきた。私は感謝の気持ちを伝えようとするが、翔太は「無理すんなよ」とぼそっと言った。その言葉に、私は驚いたが、翔太はもう何も言わずに去っていってしまった。


私は翔太の反応に疑問を抱き、涼子に相談することにした。入れ替わりでやってきた涼子に、翔太が急に怒ってしまったことを話すと、涼子はニヤっと笑いながら「知らなーい」と言って帰ってしまった。私は、涼子が何か知っているのではないかと不安に思いながら、一人残された部屋で考え込んでいた。翔太が怒ってしまった理由が分からず、ますます不安になっていた。

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