第2話 ヒヨコと私
私はだんだん実習へと慣れてきた、ある日、私たち1年生はとある部屋の前に集められた。
中から鳴き声のする箱を目の前に置かれた。
中には黄色くてフワフワの物体が動いていた。
ヒヨコだ。
※本来であればヒヨコではなく、ヒナと呼ぶが、分かりやすくするためにここではヒヨコと言おう。
なんて可愛いんだ。すごく小さいぞ、ほんとうにぴよぴよ言ってる。小さなからだで動いている。命というものを改めて実感すると思いながら1匹手にとって抱っこする。
おぉ
ちいさな足や翼に力が入るのを自分の手に感じる。抱っこしているとクラスメイトが肩に乗せたりしている時にフンをされているのを見て、気をつけようと心に誓った瞬間に、手にフンをされた。
はぁ…運がついたと思えば…
手を洗って再びヒヨコの元へ戻り、レポートを書くために観察を始める。
黒くてクリクリした目が可愛いな、
おっと、そんなことしている場合ではない、レポートを書かなくては、そうして、楽しい時間は終わった。
だが3週間後にまたヒヨコの授業だ。
そうして、3週間後。
私達は再びヒヨコがいる部屋に行くと、あれ?何か雰囲気が違う。可愛さが減っている気が…
フワフワの小さなヒヨコではなく、少し羽が生え変わってきた、ニワトリの出来損ないのように見える。
そう。動物の成長は早いのだ。
ニワトリは、幼ヒナ、中ヒナ、大ヒナ、成鶏と
こんな感じに成長過程があるのだ。
はぁ、あの可愛い私の癒しは無くなったのだろうか、いや、そんなことは無い、まだギリギリ可愛い…
そうして日数が経つ度に変化するヒヨコを
見ながら悲しみを抱えつつ、
再び実習の日になった。
「今日はワクチン接種をする。」
ワクチン接種…!?
おいおいおい、私たち素人だぞ?
無理だろ。みんながざわめいたが、そんな心配を無駄にするように先生が言った。
「大丈夫、目薬とかぶっ刺すだけだから。」
前者はいい、後者はなんだ?
ぶっ刺す?どこにだよ。
「羽の薄皮があるからそこに刺すぞ」
と言って先生がお手本を見せた。
薬品をつけた針をヒヨコの羽の薄皮に刺したのだ。
おぉう、なかなかすごいな
そして私たちは協力しながらワクチン接種をしていった。
ちなみにワクチン接種とは言うが、なんのワクチンを説明していなかった。
目薬こと
「ごめん!」
思わずでた一言だった。
だがこれもニワトリや人を守るためにも大切なことなのだ…
そしてまだ地獄があることを知らない私は
ホッとしていたのだ。
生かし、生かされている。 干支丸 過負荷 @Etomaru346
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。生かし、生かされている。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます