道路標識③
今日はなんて日なんだ。
通勤中に喋る道路標識と会うなんて。
内心とても怖かった。あいつに会わないように今日の帰りはバスを使おうと思った。
一時間後、
今日はなんて日なんだ。
仕事がろくに手につかない。
上司に怒られるわ、おまけに明日プレゼン予定の資料の3ページ目なくなるわ。
あいつに会ってから不幸な事が連続で起こる。
お腹が痛くなってトイレに行くが満席、不幸すぎる。
パソコンのマウス壊れる、不幸すぎる。
バスで違うやつに乗ってしまう、不幸すぎる。
おまけにプレゼン資料を会社に忘れた、不幸すぎる。
帰っても不幸なことは次々と起こった。
帰った時に肘が玄関にあった彫刻に当たって割ってしまって妻に怒られた。
もはやこの領域だと道路標識のせいだろう。
人間なんでも何かのせいにしたくなる。
そして妻とは些かな雰囲気で次の日になった。
朝起きてリビングに行くと妻が倒れていた。
口から血を吐いている。
俺は血の気が引いてしまった。
これもあいつのせいなのか?
今まで恐れていた物に初めて憤りを感じた。
根拠は無かったが、あいつが悪だと思った。
俺は急いで救急車を呼び、救急車に連れとして乗って病院に行った。
診断室に入って俺は妻の具合いを聞いた。
医師は「これは、アレルギー反応です。今回はかなりヤバくて奥さんの身体はどんどん瀕死状態になっています。早急に対処しなければなりません。」
三鷹は医師に直ぐに手術をしてくれと言った。
もうそう言うしかなかった。
医師は頷き妻を治療室に連れて行った。
そして一端帰ることにした。
なんたって明日は大切なプレゼンだから。
妻の命より仕事が大切なのか?こう思ったりもしたが明日行かないと必ずクビだ。
それだけ大事なんだ。
妻の入院料も考えなければ。
三鷹は日に日に追い込まれて行った。
仕事、妻の具合、これからの人生。
それが彼にのしかかっていく。
家に帰るやいなや直ぐに妻の所へ駆けた。
妻は相変わらずびくともしない。
ピッピッ、心拍数の機械が音を刻む。
初めてこの音が嫌いになった。
余計に追い込まれる。
医師に妻の具合を聞くが変わらないとのことだ。
病院の帰りはいつも午後11時。
身体が疲れすぎてもう動けなくなる。
勿論プレゼンもパットしないまま終わった。
それを考えてるだけできつい。
手足が鉛のように重い。
頭も回らない。
もう生きることに疲れた。
希望が持てない。
いつもと同じ帰り道。
しかし運命のいたずらかこの道には見覚えがあった。
この道はあいつがいる道だった。
三鷹はもうこんなことも考えれなかったのだ。
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