第四十四話

 すると俺たちのキャラの集中攻撃をらった敵キャラは、たおれて消滅しょうめつした。伊留美いるみのキャラは続けて、前面の左にいる敵キャラに攻撃した。もちろん俺たちのキャラも攻撃して集中攻撃を喰らった敵キャラは、やはり倒れて消滅した。


 残るはバズーカほうを持っている、二人の敵キャラだ。バズーカ砲は一回当たるだけで、一気にライフが三つもる。ここは慎重しんちょうになるかと思ったが、伊留美のキャラはジグザグに敵キャラに近づいて攻撃した。

『タタタタタッ、タタタタタッ……』


 もちろん俺たちも、それに続いた。

『パン、パン……』

『ドパアン、ドパアン……』

『ドウ、ドウ、ドウ、ドウ、ドウ……』

『ドゴーン、ドゴーン……』


 すると右奥みぎおくにいたバズーカ砲を持った敵キャラは、俺たちのキャラの集中攻撃を喰らって倒れて消滅した。確かにバズーカ砲は強力だが連射れんしゃができないので、主に連射ができるマシンガン、ピストル、ショットガンの攻撃を喰らった。


 そして更に左奥ひだりおくにいるバズーカ砲を持った敵キャラも、同じように倒した。俺は思わず、ガッツポーズをした。

「やった! 五人の敵キャラを、すべて倒したぜ!」


 だが伊留美は、警戒けいかいしていた。

「気をくな! きっと今から、ボスキャラが出てくる! 今まで見たこともない、強力なボスキャラが!」


 それを聞いて、俺も警戒した。そうだ、まだボスキャラがいるはずだ。くっ、喜んでいる場合じゃなかった。すると聞きおぼえがある、『キュラキュラキュラキュラ』という音が聞こえた。俺は思わず、身震みぶるいした。お、おい。この音ってまさか……。


 すると下部にはキャタピラが回っていて上部には大砲たいほうそなえた、灰色の戦車が現れた。しかも、三台! そして『れる』の、少し緊張きんちょうした声がひびいた。


「さー、出ました、決勝戦のボスキャラが! しかも三台です! 戦車の大砲に当たると、ライフは一気に五つ減ります。つまり即死そくしです。そして大砲の弾数だんすうは、無限むげんです。さー、皆さん、この三台の戦車を倒してください!」


 俺は思わず、さけんだ。

「ふざけんな! 戦車が三台だと?! しかも大砲に当たると、一気にライフが五つ減る?! しかも弾数は無限?! ふざけるな、ふざけるのもいい加減かげんにしろ!」


 しかしやはり『れる』は、何も答えなかった。俺は右こぶしを、テーブルにたたきつけた。ちくしょう! そしていつか、建太けんたが言っていた言葉を思い出した。このゲームは、俺たちを勝たせるつもりは無い。そしてこのゲームを続けていれば、いつか死ぬと。


 くそっ、その通りだ……。彩華あやかさんと景和けいわも、そして伊留美でさえも何も言えずにいた。伊留美のキャラも、動いていない。くそっ、負けた。俺たちは、これで負ける……。すると、建太の声がした。


「取りあえず、戦車の大砲が自分に向けられたら、逃げた方がいいな。一発でもあたると、即死だからな。そしてまずは、バズーカ砲で攻撃してみる。戦車でもバズーカ砲なら、ダメージを与えられるかも知れない」


 そして建太のキャラは、戦車をバズーカ砲で攻撃した。

『ドゴーン、ドゴーン……』


 すると戦車は、大砲を建太のキャラに向けた。だが建太のキャラは右に移動して、攻撃を続けた。

『ドゴーン、ドゴーン……』


 それを繰り返していると何と、戦車が消滅した。建太が戦車を倒した! 

すると伊留美は、叫んだ。

「くっ、建太に先をされるなんて、アタシもヤキが回ったわ……。でも皆、今のを見たわね! 戦車でも攻撃すれば倒せるのよ! さあ、いつものフォーメーションをんで!」


 伊留美の指示しじで、俺たちのキャラはフォーメーションを組んだ。彩華さんと景和は、やる気になったようだ。

「戦車なんて絶対に倒せないと思ったけど、倒せるのね!」

「そうですよ! 戦車はあと二台です。がんばって倒しましょう!」


 そして俺たちは、一番近くにいる戦車に集中攻撃をした。倒せる、戦車でも倒せると思いながら俺たちは、攻撃した。しかしその戦車は、建太のキャラに攻撃した。戦車の大砲を喰らった建太のキャラは、消滅した。建太は、つぶやいた。

「ふん、やはりこのゲームは、クリアできないか……」


 そして次の瞬間しゅんかん、『パン』とかわいた音がした。建太を見ると後頭部から血を流していて、パソコンのキーボードに倒れていた。俺は思わず、叫んだ。

「け、建太ーー!!」


 だが建太は、ピクリとも動かなかった。くっ、建太が死んだ?……。バカな、俺たちは最強のチームのはずだ。俺たちなら優勝して、それぞれ一億円を手に入れられるはずだ。それなのに……。すると伊留美は、叫んだ。


「皆、集中して! 今は、目の前の敵を倒すことだけを考えて! 戦車も攻撃すれば倒せると教えてくれた、建太のためにも!」


 その言葉で俺も、集中できた。そうだ、建太のためにもこいつらを倒す! そして俺たちが、このクソゲーを終わらせる! 


 そうして俺たちは戦車に、集中攻撃を続けた。戦車の大砲が向けられると位置を変えて、集中攻撃を続けた。だが戦車を、なかなか倒せなかった。くそっ、やはり攻撃力が高いバズーカ砲が無いと、戦車を倒せないのか?……。

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