第四十話

 そして俺たちは、このフォーメーションで戦った。戦いの指示しじも、伊留美いるみが出した。

「まずは目の前にいる、マシンガンを持った敵キャラを倒す! 集中攻撃!」


 俺たちはマシンガン、ピストル、ショットガン、ライフル、バズーカほうで集中攻撃した。するとあっさりと、敵キャラを倒すことが出来た。伊留美は、次の指示を出した。

「次は右にいる、ショットガンを持った敵キャラ! 集中攻撃!」


 するとやはり俺たちは、それぞれの武器で敵キャラを集中攻撃して倒した。こうして俺たちはどんどん敵キャラを倒して、勝っていった。俺は、思った。このチーム、最強じゃね? これなら決勝戦でも、勝てるんじゃね? だが伊留美は、告げた。

「よし。これから、更に特訓するわよ」


 俺は、聞いてみた。

「もう、いいんじゃね、伊留美。俺たちだったら決勝戦でも、勝てるんじゃね?」


 すると伊留美の、ため息が聞こえた。

「はあ、甘いわね、アンタは。それじゃあ聞くけど、決勝戦のボスキャラは何だと思う? 当然、今までよりも強い奴が出てくると思うけど?」


 俺は、考えてみた。だが、想像もできなかった。

「いや、分からない……」


 すると伊留美の口調くちょうは、きびしくなった。

「でしょう? 今更いまさら、言わなくても分かると思うけど、あのゲームで負けたら死ぬの! 殺されるの! だからいくら特訓したって、しすぎることはないわ!」


 確かに、その通りだった。だから俺は、伊留美の提案ていあんに乗った。

「そうだな……。よし、分かったぜ! 次の特訓をするぜ!」


 すると伊留美は、説明した。次の特訓は、大人数が参加するモードですると。最大、五十人が参加できる、バトルロワイアルだ。一人でも参加できるが、やはりほとんどは五人でチームを組んで参加する。つまり十のチームのよる、バトルロワイアルになると。


 俺たちが参加しているゲームは、五人対五人で行われる。だからバトルロワイアルに参加する意味があるかと、最初は考えた。


 だが俺たちが参加しているゲームは、何が起きるか分からない。ひょっとすると決勝戦は、バトルロワイアルになる可能性もゼロではない。それにバトルロワイアルで特訓すれば、確実に俺たちは強くなるだろう。だから俺たちは、バトルロワイアルに参加することにした。


 だが、苦戦くせんした。一つのチームと戦っている時は、伊留美の指示で有利に戦えた。でもそんな俺たちのチームを、攻撃してくるチームがいた。左右、二つのチームのはさまれて合計、三つのチームと同時に戦うこともあった。これではたとえ伊留美の指示が的確てきかくでも、勝てなかった。

「くっ、左右、両方から挟まれた! 一旦いったん、引くわよ!」


 だがその前に攻撃を受け、一人、また一人やられていった。伊留美は、考えた。伊留美が指示を出してからでは、遅い。その前に敵チームから、攻撃される。だからそれぞれが状況を把握はあくして、それぞれが行動するしかないと。


 でも、上手うまく行かなかった。逃げるべき時に攻撃してやられたり、攻撃するべき時に逃げたりしていた。伊留美も、悩んだ。

「くっ、やはりバトルロワイアルでは、簡単に勝てないか……」


 俺も、そう考えた。

「ああ、そうだな。でもこのバトルロワイアルで勝つことが出来れば、俺たちのチームは、もっと強くなる。だから、特訓を続けよう!」

「そうね。でも、どうしたらいいかしら……」


 俺も、考えた。そして、一つの結論を出した。それは、伊留美のキャラのマネをすることだ。伊留美の指示を聞いて行動していたらその分、時間がかかる。だから、それぞれが考えて行動することにした。だが、上手く行かなかった。


 俺たち個人も相当そうとう、強くなったはずだが、やはり伊留美の判断にはかなわない。『スコーピオン』の国内ランキングの一位は、ダテじゃない。だから、そんな伊留美のキャラのマネをしたらどうなるだろう? 


 伊留美のキャラは、もちろん伊留美が判断して操作そうさしている。攻撃したり、逃げたり。だから伊留美のキャラの行動を見れば、伊留美の判断が分かる。攻撃するべきか、逃げるべきか。 取りあえず俺たちは、この作戦で戦うことにした。すると、バトルロワイアルでも勝つことができた。


 伊留美は、『スコーピオン』の国内ランキングの一位だ。その伊留美の行動のマネをするということは、俺たちが伊留美になったようなものだ。


 そして俺たちのチームは、伊留美が五人いるようなチームになった。だからバトルロワイアルでも、勝ち残ることができた。すると伊留美は、告げた。

「皆、よくやったわ。強くなったわね。特訓はこれで終わりにしましょう。休むことも大切よ」


 その時はすでに土曜日の午前一時になっていて、決勝戦は明日になっていた。実際、俺たちは強くなった。『スコーピオン』の国内ランキングで伊留美は相変わらず一位だったが、俺は五位に入ることが出来た。彩華あやかさんと景和けいわは、それぞれ八位と九位。建太けんたも、二十位にランクインした。今までの建太の実力を考えると、上出来だ。だから、特訓は終わった。

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