第四回戦 ステージ:川
第三十二話
「今日も総理に、
「そして総理も、急かされているか……。
「そうですね。この国は海外の
「だが今回は、そうは行かぬか……」
「はい。諸外国はすでに、多くの人的支援を行っていますから」
鞍馬は更に、渋い表情になった。
「この国が諸外国の圧力に弱いのは、
すると春海は、自信ありげな微笑みを見せた。
「それがこの国の、いつもの対応でしょう? でも安心してください、鞍馬防衛大臣。私が考えたプロジェクトは……」
それを鞍馬は、さえぎった。
「分かっておる。だから
すると春海は、
「ですが鞍馬防衛大臣、いまさら
鞍馬は、唇をかみしめた。
「分かっておる……」
●
俺は俺のキャラを、
だが俺は死に関して、すでにマヒしていた。多くの死人を見て、多くの死を身近に感じる経験をして。これじゃあ、ダメだな。俺はいつか死ぬなと、ふと考えた。そんな俺に、建太は聞いてきた。
「どうしてお前は俺のキャラを、いや俺を助けた?……」
俺は、あっさりと答えた。
「ふん。お前のキャラのライフが残り一つで、俺が助けなきゃお前は殺されちまう。このゲームでは味方を一人失うと、大きく戦力が減るからな……」
建太は感情が無い声で、答えた。
「自分の命を危険にさらして、味方を
だが俺は、言い放った。
「今、この
すると建太は今度は、力がこもった声で答えた。
「ふん……。そうだな……」
●
話は、十分前のことになる。俺と
男はパソコンが五台並んでいるテーブルの、真ん中で
「俺は
だが男は、パソコンの画面を見つめたままだった。するとなぜか、伊留美がキレた。
「ちょっと、アンタ! 名のられたら、アンタも名前ぐらい言いなさいよ!」
伊留美は結構、
「俺は、
それを聞いた伊留美は、再びキレた。
「だから、よろしくって言ってるでしょ?!」
だが男は、無言だった。だから伊留美も、この建太という男はこういう
「で、アンタ。ライフはいくつ、残ってんの?」
建太は再び、呟いた。
「一つだ……」
伊留美は、
「一つ?! 逆にアンタ、よく今まで生き残れたわね?!」
「俺は今だに、このゲームのことがよく分からん……。強そうな武器を選んで、撃ちまくっていただけだ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます