第三回戦 ステージ:基地内
第二十一話
「X国とY国の
四年前、
「報告、ご苦労。今後も二国の戦況を、
春海は、敬礼した。
「はっ! 了解しました、鞍馬防衛大臣!」
そして春海は、大臣室から出て行った。鞍馬は唇をかみしめ、
「このプロジェクトが間違っているのは、分かっておる。じゃが、生き残ってくれ、我々の戦士たち……」
●
日曜日。俺がゲーム会場に行くために東京駅の駅前に行くと、すでに
「あ、きましたね、
「そうですね。今回も生き残りましょう!」
だが俺は、張り切れなかった。俺たちは『アーツ』というFPSのようなゲームで、戦わなければならない。だが敵を倒すということは、その敵を殺すことになるからだ。
甘いと思われるかもしれないが、俺はもう、誰も殺したくない。たとえ、自分が殺されても。だが、と考えた。俺は殺される訳にはいかない。俺は彩華さんのナイトになって、彩華さんを
そのためには、どうすればいいか? 優勝して、このクソゲーを終わらせるしかないと今は考えている。正直もう優勝賞金の一億円なんて、どうでもいいと思っていた。俺はただただ知っている奴を護りたい。そして一刻も早くこのクソゲーを終わらせたいと考えていた。今の俺がゲームで戦う理由は、それだった。俺は護りたい奴らの
「おう。今日もがんばろうぜ!」
そして俺たちは、バスに乗り込んだ。俺は出発したバスの中で、このゲームについて考えた。今回で第三回戦になり、気持ちにも少し余裕が出てきた。
まず、このゲームの目的は何なんだ? 全く分からない。おそらく『れる』に聞いても、教えてくれないだろう。教えるつもりなら、とっくに教えているだろうから。
なら、場所はどうだ? バスの中でアイマスクをされ、更に窓にはカーテンを閉めているから、どこに連れられているのか分からない。分かるのは約一時間、移動しているということだ。
一時間……。おそらくは、埼玉県か茨城県か千葉県。いや待て、神奈川県という可能性もある。だが時間的に、東京都という可能性は低いだろう。バスで一時間も移動すれば、東京都から出てしまうだろう。埼玉県、茨城県、千葉県、神奈川県。これらに、何がある? 防衛省に関係がある、何か。俺はぼんやりと、このゲームには防衛省が関係していると考えていた。
そう考えた理由は、ペナルティ・スナイパーだ。奴らは
しかしそうなると、その目的は何だ? と考えていると、バスは停まった。いつも通りに
しょうがない、今はゲームに集中しよう。今、俺のライフは三つだ。いつゼロになってペナルティ・スナイパーに頭を撃ち抜かれるか分からない。そう思いながら建物の入り口で黒いサングラスをかけ黒いスーツを着た男にIDカードを見せて、中に入った。
そこには先にバスを降りた、彩華さんと景和がいた。俺が二人に声をかけようとすると、二人は
「誰なんでしょうね、あの人?……」
「やたらとテンションが、高いんですが……。高すぎてちょっと、引くんですが……」
俺が二人の
「やったー! マシンガンが使える! 第二回戦では、苦労させられたからねー。よし、今回の武器は、マシンガンにしよう!」
俺はその様子を見て、ちょっとムカついた。
「てめえ! 何、喜んで武器を選んでるんだよ! そんなに人を殺してえのかよ?!」
するとその女は振り返って、俺を見た。少し、キレているようだ。
「はあ? 何、あんた? 一億円のためだったら、何だってするわよ。人くらい、殺すわよ」
「くっ、てめえ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます