第十五話

 すると彩華あやかさんも、冷静に答えた。

「ふー……。まさか、本当にまもってくれるとは……。口先だけだと思ったんですけど……」


 俺は、言い放った。

「俺はいつでも、本気だぜ!」


 すると彩華さんは、微笑んだ。

「そうなんですか……。それじゃあこれからも、よろしくお願いします」

「おう! まかせとけ!」


 だが景和けいわは、わめいた。

「そんなこと話して、まったりしてる場合じゃないですよ! あんな強そうなやつ、倒せるんですか?! あーもー、マシンガンなんて反則ですよー!」


 俺も俺のキャラを大木のかげかくして、考えた。確かにマシンガンなんて、反則だ。でも倒さなきゃならない……。


 俺は取りあえず、俺のキャラを大木に登らせて太い枝に移動させた。

「とにかく、俺がやってみる! 二人とも、自分のキャラを隠していろよ!」


 そして俺はボスを攻撃しようとしたが、その姿は見つからなかった。くそっ、前方にいるのは、確かなはずなのに。ボスも大木の陰に隠れたか……。取りあえず俺は前方に見える大木に、片っ端からライフルを撃ってみた。するとボスは左側の大木から姿を見せ、『タタタタタッ』と攻撃してきた。俺は俺のキャラを大木に隠して、やり過ごした。


 くそっ、本当にやっかいだな、マシンガンは。一瞬で五発、撃てるから当たったらライフが確実に一つ減っちまう……。俺のキャラのライフは今、三つだからマシンガンの攻撃を喰らったら二つになってしまう。それだけは何としても避けたい。ボスはまた大木に隠れたが、その位置は分かっている。そしてふと見ると、彩華さんと景和のキャラの前方にボスがいる。できれば彩華さんと景和のキャラのライフも、一つも減らしたくない……。


 だが待てよ、彩華さんと景和のキャラか……。このままでは、俺はボスを倒せない。下手をして俺がボスに倒されると、彩華さんと景和のキャラも倒されるだろう。そうなる前に二人に協力してもらうのは、どうだ?


 俺は左右に座っている、彩華さんと景和に告げた。

「二人とも、ボスを攻撃してくれないか? ピストルで一発撃ったら、すぐにまた大木に隠れてくれ!」


 すると彩華さんと景和は、答えてくれた。

「分かったわ!」

「任せてください!」


 そして二人のキャラは大木から出て、ボスに攻撃した。俺にだけ警戒していたのだろうボスは、その隙をつかれて二人のキャラの攻撃を喰らって二回、のけぞった。よし、これでボスのキャラはライフは二つ減って残りは三つになったはず。そしてボスは彩華さんと景和のキャラに攻撃を始めた。


 俺は、その隙を逃さなかった。俺はボスにライフルで五回、撃った。ボスがのけぞる。よし、これでボスのライフは残り二つのはずだ。よし、もう少しでボスを倒せると思っているとボスも必死なのか、マシンガンを乱射してきた。


『タタタタタッ、タタタタタッ、タタタタタッ』と彩華さんと景和のキャラが隠れている大木と、俺のキャラが登っている大木に撃ってきた。


 だが俺は、気付いた。マシンガンの弾丸だんがんは俺のキャラが隠れた大木に、かすりもしなかったことに。ひょっとするとマシンガンの射程距離は、ピストルと同じで短いのか? ライフルは確かにマシンガンのように、連射はできない。今、俺とボスのキャラの間には距離があるが、ライフルなら攻撃を当てることができるはず。ならば……。


 俺は思い切って、俺のキャラを大木の陰から出した。そしてボスに射撃した。するとボスはやはり、『タタタタタッ』と反撃してきた。だが俺は、俺のキャラを動かさなかった。俺の考えが正しければ、離れている俺のキャラに攻撃は当たらないはずだ。するとやはりマシンガンの弾丸は、俺のキャラにかすりもしなかった。

 俺はこれはチャンスだと思い、ライフルを連射した。

『ドウ、ドウ、ドウ、ドウ、ドウ……』


 するとボスのキャラは、のけぞった。よし、これでボスのライフは、残り一つのはずだ。するとボスも覚悟を決めたのか、マシンガンを撃ち続けた。だがやはり距離があるため、俺のキャラには当たらない。


 俺は思わず、叫んだ。

「もらったーー!!」


 そしてライフルを、連射した。『ドウ、ドウ、ドウ、ドウ、ドウ……』

 すると大きくのけぞったボスは、消滅した。


 俺は再び、叫んだ。

「やったぜ! 勝ったぜ!」


 すると今度こそ画面に、『ステージ クリアー』の文字が表示された。


 俺と彩華さんは、パイプ椅子から立ち上がって喜んだ。

「やったぜ! 今回も生き延びたぜ!」

「でも私を護るために、修吾しゅうごさんのライフが一つ減ってしまったわね……」

「構わねえよ。俺は彩華さんを護るって、言っただろ?」

「修吾さん……」


 すると景和も、立ち上がった。

「あー、良かったあ。今回も何とか勝てたあ……」

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