第二回戦 ステージ:ジャングル
第十話
「……という訳で第一回戦の
鞍馬は目を
「そうか……。それでは計画通りに、その四十七人の銀行口座に一千万円の『
『賞じゅつ金』とは、自衛官が公務中に死亡した場合に支払われる
春海は再び冷静に、鞍馬に
「はっ! 了解しました!」
そして
鞍馬はそれを見届けると、涙を流した。部下の前で泣く訳にはいかなかったので今、涙を流した。
そしてゆっくりと
「はあ、
美しい夕日を見続けるのが苦しくなったのか、窓に背を向けて再び呟いた。
「こうなることは、覚悟していたんじゃが……。すまん、今は、こうするしかないんじゃ……」
●
日曜日。俺は再び東京駅の駅前からバスに乗り約一時間後、グレーの建物の前にいた。俺は、またきた。この、殺されるかもしれない戦場に……。だが今回は、少し自信があった。この建物の中の会場で行われるゲームで使われる、『アーツ』によく似たゲーム、『スコーピオン』でたっぷり訓練したからだ。その結果、『スコーピオン』の国内ランキングで、トップテンにも入っていたからだ。
俺が建物に入ると、黒いスーツと黒いサングラスの男が告げた。
「IDカードを、見せてください」
俺は無言で『56』と書かれた、IDカードを見せた。俺はこいつらに、不信感を持っていた。ライフがゼロになってゲームオーバーになると、平気で人を殺すこのゲームを運営している奴らの一員だからだ。そう考えると俺は、イライラしてきた。
だが男は、そんな俺の不信感とイライラを無視して告げた。
「『56』番の方ですね。どうぞ奥に、進んでください」
俺はやはり無言で、奥に進んだ。するとそこに、見覚えがある人物がいた。先週の第一回戦で俺の代わりに戦ってくれた、男と女だった。
女は俺に気づくと、軽く
そして十秒間考え抜いて俺は、美人に声をかけた。
「やあ、お
で、よかったらお姫様の名前を教えてくれないかな?」
するとその美人は、キョトンとしてしまった。そして笑い出した。
「何ですかそれ? ナンパのつもりですか? アハハ!」
俺は真面目な表情もいいが、笑顔もいいなあと思ったが気づいた。これじゃあ、ダメじゃん!
すると気が済むまで笑ったような美人は、聞いてきた。
「私の名前を教えてもいいですけど、一つ条件があります」
俺はこの流れを壊したくなくて、
「何でしょうか、お姫様?」
美人は、微笑んだ。
「あなたの名前を、先に教えてください」
何だ、そんなことか、と思った俺は答えた。
「俺、いや、私の名前は
すると美人は、また微笑んだ。
「そうですか……。ねえ、修吾さんって呼んでもいいかしら?」
俺は
「もちろんです。私はあなたを護る、ナイトです。お好きなように、お呼びください」
すると美人は、名前を教えてくれた。
「私の名前は、
俺は丁寧に、頭を下げた。
「分かりました、彩華様」
すると彩華さんは、大笑いした。
「もうダメですよー。いつまでこんなの、続けるつもりですか?」
そして笑いすぎて出た涙を、ぬぐった。
彩華さんから名前を聞き出し、彩華さんと少し
「そうだな、彩華さん」
俺は女性にちょっと苦手なところがあり、今まで付き合ってきた彼女にも名前に『さん』を付けていた。
すると彩華さんは、自然な笑顔を見せた。
「それじゃあ、よろしくお願いします。修吾さん」
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