第七話

 敵キャラを二人同時に相手にすることもあったが、やはり俺たちは五人で一斉攻撃いっせいこうげきしてどんどんステージをクリアしていった。だが午前六時になると一人、また一人とゲームからログアウトしていったので、俺も一旦休憩いったんきゅうけいするためにログアウトした。


 冷静になると腹が減ったことに気づいたので、いつもの朝食を作って食べてベットで休んだ。この手のゲームは一人で敵に突っ込むのではなく、仲間と協力して敵を倒すというのがコツらしい。これなら『アーツ』でも有利に戦えるんじゃないかと思った俺は、昼過ぎまで寝ていた。


 そして目を覚ますと再び、『スコーピオン』にログインした。ちょっとコツをつかんだだけじゃ、ダメだ。もっとこのゲームにれて、もっとコツをつかまなければ『アーツ』では勝てないかも知れないというあせりがあった。


『アーツ』を利用したゲームではライフがゼロになると殺されてしまう、焦るのは当然だ。焦りながらも『スコーピオン』を始めようとした時、俺は俺のキャラが三〇〇〇ゴールドとちょっと、持ってることに気づいた。どうやらこのゲームは敵キャラを倒してステージをクリアすると、ゴールドがもらえるらしい。そしてもらったゴールドで、ピストル以外の武器も買えるようだ。


 武器を探してみるとライフルが買えるようなので、それを買った。そしてゲームを始めた。ステージはやはりカラフルな近未来的な建物が立ち並ぶ、街中まちなかだった。


 取りあえず俺は慎重しんちょうに、俺のキャラを建物のかげかくれさせながら前進した。すると遠くに、敵キャラを見つけた。俺のキャラはねらいを定めて、ライフルをった。すると簡単に当たった。俺は当然、続けて撃った。


 すると敵キャラも、反撃してきた。俺はすぐに自分のキャラを、建物の陰に隠した。敵キャラの反撃が終わると俺は自分のキャラを建物の陰から出して、ライフルを撃った。夢中になって攻撃していると、敵キャラも反撃してきた。しかし敵キャラの弾丸だんがんは、俺のキャラには当たらなかった。おそらく敵キャラの武器は、ピストルのようなものだろう。だから距離が離れていると、命中率が落ちる。


 俺は全然当たらない敵キャラの攻撃を無視して、ライフルを撃ち続けた。そして見事に俺一人で、一人目の敵キャラを倒した。


 敵キャラを倒して、俺は考えた。この武器、ライフルは使えると。敵キャラと接近することなく俺のキャラが安全な場所から、敵キャラを攻撃することができるからだ。しかし、イラ立ちもあった。敵キャラがどこにいるのか、さがすのが面倒めんどうだ。どうやって敵キャラを、素早すばやく探そうか……。


 すると俺のキャラが隠れていた建物の中央に、階段があることに気づいた。その時俺は、ひらめいた。そうか、敵キャラよりも高い場所にいればいいんだ! そうすれば敵キャラがどこにいるのかが、簡単に分かる。俺はすぐに自分のキャラを建物の中央にある階段を上らせ、屋上おくじょうにたどり着かせた。


 そこは広いフロアで、はしに近づくと地上が見えた。すると左側に、建物の陰に隠れている敵キャラを見つけた。俺のキャラがライフルで攻撃すると、敵キャラはどこから攻撃されているか分からない、という様子でキョロキョロと周りを見だした。バカめ、俺のキャラはお前の頭上ずじょうにいるんだよ、と思いながら攻撃を続け二人目の敵キャラを倒した。


 そして俺は、こおどりした。これって、必勝法じゃね? 敵キャラよりも高い場所にいれば、敵キャラを簡単に見つけることができる。そして攻撃すればいい。

 

 と思っていると、あまかった。敵キャラに攻撃されたからだ。地上を見てみると敵キャラがこちらを向いて、攻撃していた。ちっ。地上から遠く離れた俺のキャラを攻撃できるってことは、敵キャラが持っている武器もおそらくライフルだ。


 そして仲間のキャラが攻撃されている時、攻撃のあとから俺のキャラが建物の屋上にいることに気づいたんだ。この『スコーピオン』では攻撃すると、弾丸の跡がしばらく表示される。今、俺のキャラを攻撃している三人目の敵キャラは、それを見て俺のキャラがここにいると分かったんだ。だが、俺の有利は変わらない。俺のキャラが反撃すると、敵キャラは建物の陰に隠れた。だが俺のキャラを攻撃するためには、建物の陰から出なければならない。俺はそこを、攻撃した。結局、俺はほとんどダメージを受けずに三人目の敵キャラを倒した。


 俺は、『ほっ』とした。やはり敵キャラの頭上からの攻撃方法は、有効だと思ったからだ。だが、再び甘かった。いきなり四人目の敵キャラに、攻撃されたからだ。弾丸の跡を見てみると、それは俺のキャラがいる高さにあった。まさかと思って周りを見回すと敵キャラは、俺のキャラがいる建物と同じ高さの建物の屋上から攻撃していた。


 くそっ、とにかくこの建物からりるしかない。俺のキャラが今いるフロアは屋上で、隠れるところが無いからだ。俺は自分のキャラを階段から、地上に下ろした。


 すると目に前に、建物が見えた。俺はすぐに自分のキャラを、建物の階段を上らせて屋上に出した。そして反撃しようと敵キャラを探していると、逆に頭上から攻撃を受けた。俺は一瞬、わけが分からなかった。だがすぐに気づいた。敵キャラがいる建物は今、俺のキャラがいる建物よりも高く、俺のキャラが屋上にいても敵キャラは更に頭上にいた。


 俺は再び、自分のキャラを建物からおろした。落ち着け。建物にのぼっても、その高さが敵キャラがいる建物よりも高くなくちゃ意味がない。地上に自分のキャラを下した俺は、敵キャラがいる建物よりも高い建物を探した、探している途中、頭上からの攻撃があったが俺は、敵キャラがいる建物よりも高い建物を探すことに集中した。それを見つけないと、結局は勝てないと思ったからだ。


 そして俺はとうとう、敵キャラがいる建物よりも高い建物を見つけた。俺はすぐに階段を見つけて、自分のキャラを屋上まで上らせた。四人目の敵キャラがいる建物はだいぶ距離があったが、俺はかまわず屋上のはしから攻撃させた。


 弾丸の発射跡はっしゃあとから俺のキャラを見つけた敵キャラは、反撃してきた。俺は自分のキャラを一歩、後ろに引かせた。そうすると敵キャラは俺のキャラよりも低い位置にいるので、敵キャラの攻撃は俺のキャラの足元にしか当たらない。敵キャラの反撃がむと俺は、反撃した。敵キャラは逃げ出したが俺には敵キャラの位置が完全に分かったので、ライフルを撃ちまくり四人目の敵キャラを倒した。

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