閑話 男って生き物side香椎パパ

なんで香椎パパが傷だらけで疲れていたかって話し。

長くなったw


☆ ☆ ☆


あの波乱の婚約破棄から2日。

玲奈を修学旅行のオーストラリア旅行へ送り出して、私はここ県名を冠する国立大へ来ていた。

ここは私が聖奈(香椎ママ)と出会った学舎、母校。

そして長女優奈も現在ここに通っている。


生まれた地で同年代と暮らす小中学校、偏差値やスポーツなどと住んでいる土地からのアクセスで選ばれる高校。

進路、学力でハッキリ別れる大学時代。

聖奈と出会った事もそうだったが大学時代はまさに青春。

今も付き合いのある人も多い。

私はサークル活動にも大変力を入れてきた。

…そのサークルは今も現存している。


ボロい部室兼稽古場。

男臭い汗の香りと消臭剤の香り。

ここはいつまでも変わらない。


部員『あれ?何か御用ですか?』


私はにこやかに挨拶をする。


『私はここのOBでね、つい懐かしくって…

ここ、少し貸して貰えないかな?』


私は免許と過去に寄付した寄贈香椎商事の備品を見せて身分を証明する。


『コレであそこのおばちゃんに腹一杯食わせて貰って来たらいい。』


部員『あざーす!おばさんって言うか…おばあちゃんですけどね?

行ってきます!ご馳走さまです!』


皆金の無い時代、身体が資本でいくらでも食える年代。

※香椎家は資産家ですがお金を持たせない教育方針でした。


懐かしい。

細部は違うがここは私の青春だった。

…彼もだが。



松方『おい!香椎なんだ!こんなとこに呼び出して!』


松方先輩(松方パパ)

180後半の恵まれた体格に厚みのある身体付き。

声は大きく態度はもっと大きい。

私の2年先輩に当たる男。


松方『ワシは忙しいんだ!

なんでこんなとこに…!あいつは?あいつは何処だ?』


『愛する自分の妻を…あいつとか言ってるから逃げられるんだよ。』


松方先輩は瞬でキレた。


松方『お前!!誰に向かって口を聞いておる?!』


『先輩…ここに来て…口喧嘩するのに…上がって来ないんです?

年取ったなぁ…。』


松方(もう呼び付け)は慌ててリングへ上がって来た。

そう、ここはプロレス同好会。

我が青春のリング。

俺と松方は同じプロレス同好会に所属するメンバーだった。

俺より2歳上の松方は恵まれたがたいに天性のパワーで王道のストロングスタイル。

…強い男だった。

自分を見ずにバックの実家に遠慮する奴が大嫌いで、余るほど持ってるお金で腹減らす俺たちにいつも飯を奢ってくれた。

…スケベで女の子に目が無いけど押しの強い魅力的な男だった…。

…それが今じゃ…。


松方『良いからあいつを出せ!

あいつが居るって言うからこんなとこまで…!』


『こんなとこ?』


松方『子供のごっこ遊びに夢中だった頃の黒歴史だろ!

恥ずかしい!』


『あんた…そこまで変わってしまったんだな…。』


松方『ワシは忙しい!今てんやわんやで嵐の様な状態なんだ!

娘差し出さないなら!もうお前に用は無いし、どうでも良いわ!』


『逃げんのか?

愛した女の前で…逃げんのか?』


いつの間にか到着した、聖奈と里美さん(松方ママ)


松方は慌てて、


松方『お前!良いから帰ってこい!

今回のことは不問にしてやるから!』


里美さんは童女の様に、


里美『いや!あんたなんかだいっきらい!』


べー!ってする里美さん。

里美さんは松方の一個上。

だから俺たちより3個上。

でも面倒見良い先輩で絡みは少なかったが優しかった。

聖奈は里美さんを慕ってて…昨今の状況を憂慮してた。

…心に負荷がかかり過ぎて壊れかけていたそうだ。


里美『べー!あんたなんか香椎くんボコされちゃえ!

私と話したかったら香椎くんに勝ってからにするんだな!』


松方『香椎…貴様…うちのと…!』


『何キレてんだ…

こっちのセリフだ…!

妻に色目使われて…娘獲られそうになって…

…姉の方はワシの愛人にしても良いだと…?

こっちはもう限界なんだよ!

決着付けようや!』


松方『ふふ…香椎…大学時代…お前一度もワシに勝ったこと無いじゃあ無いか?』


『先輩花を持たせてただけだ。

…土曜日、この時間、ここで。』


松方『吠え面かくなよ?

その優男っぷり前から気に入らなかったんだ!』


ふん!!お互いに同時にそっぽ向いてリングから降りる。

…帰りの駐車場近くで気まずかった。



☆ ☆ ☆

聖奈が里美さんから持ちかけられた話しだった。

あのゴリラに1発喰らわしてやりたい!って。

松方が里美さんと話したがってて…里美さんを餌にすれば誘き出せる…。

リングは私怨持ち込みおk!

むしろわだかまりや遺恨はあった方がいい!


私も娘の件で1発お見舞いしたかったから渡りに船。

…懐かしのプロレス同好会のリングで遺恨の対決とあいなった。

その晩…。


聖奈『…あなた♡』


『…聖奈。わかってるだろ?』


レスラーは試合前には…えっちい事はしない。

…絶対最後のスタミナに影響及ぼすから。

聖奈は豊満なボディを押し付けて眠る…!

当時試合前はいつもそうしていた…試合後は…燃えた。


☆ ☆ ☆

あっという間に試合の日。

ジムには時々通っていた、

試合に合わせてトレーニングの強度を上げて…少しでも仕上げた。


聖奈『…あなた…♡

あの頃みたい♡』


あの頃には遠く及ばない事は自分が1番わかってる。

…今日、松方に勝てればそれで良い。

妻を娘を侮辱したケジメ付けて貰う!



現役プロレス同好会メンバーにお小遣いを奮発した。

ギャラリーになって貰い、双方応援して貰う。

勝った方はお小遣いが増えるから応援にも熱が入るだろう。

実況もお願いした、コレが無いと始まらない。


…時刻が来た…私はを被った。



☆ ☆ ☆

実況『30年来の先輩後輩が遺恨の対決…

OB遺恨マッチ!時間無制限一本勝負!


選手入場!


赤コーナーより…アンドリュー…まつかたー!!』


松方は気持ち顎をしゃくれさせて、まさに伝説のあのレスラーの様に赤のタオルを首に巻いて登場した。

レスラーとして恵まれた体格、実家の財力この同好会に入った時、中心は彼だった。


あのボンバイエなテーマソングに後押しされ松方側の声援を浴びて明らかに興奮している松方。

わかる、アドレナリン出まくりだよなぁ!



部員の1人にロープを広げて貰ってリングイン。

の番だ!


松方が憧れるレスラーはレジェンド中のレジェンド。

誰しも憧れるレスラーの王道。

…体格に恵まれなかった俺は…彼に憧れた。


♪燃やせ燃やせー!


テーマソングに血潮が燃える…!


実況『青コーナーより!

獣神!ファイアタイガー!』


俺と同じ170c身長!派手なアクロバット!格好良いマスク!

俺は彼に憧れた!獣神!サンダー◯イガー!


テーマソングがサビに来る…ここは彼の名前がもろに出てしまう。


♪怒りの獣神…

聖奈たち『ファイアタイガー!!』


そう、聖奈が音頭取って…彼の名前を打ち消すように俺のリングネームを呼んでくれるんだ…!

毎回その気遣いに嬉しくなって…勝たなきゃって思った…!



リングの上に男が2匹。

もう興味があるのはどっちが強いか?だけ。

それでもお互い煽るのはやめない。

リングに持ち込んで良いのは遺恨と恩讐、しがらみだけ。



松方『ワシはお前が昔から気に入らなかった…。

甘いマスク、細マッチョな体型、アクロバットな技が出来る身体能力。

女の子にも黙っててもモテるなにもかも気に食わない!』


『意外だな。俺はあんたみたいなゴリマッチョで男らしい濃い顔に憧れてたけどな。』


カーン!

ゴングが鳴る!


最初は…力比べ!

手四つと言われる両手でお互い掴み合う力比べの形!

…むう、不利か。


実況『アンドリュー優勢!体格がモノを言う!!』


松方『…ワシは今もジムに通ってる!』


わかるよ、身体見れば。

俺も通ってる!夫婦生活を維持するためにも体力は必須!


力比べで優位に立った松方は圧を強める。

松方の水平チョップ!

俺の胸にびしいっ!!って良い音で入る!

レスラーは躱したり、防いだりはしない!

俺も即座に水平チョップを松方の胸に叩き込む!

ばしいいん!!

俺のチョップの方が全身のバネを効かせているので音が良い!!

多分ダメージも!



実況『のっけから!意地の張り合い!男比べ!

水平チョップの応酬!双方の胸がドンドン赤くなっていくー!』


引いたら負け!一歩も引かずにお互い愚直に水平チョップを喰らわせ合う!

リングの中央にレスラー2匹…!

興味があるのはどっちが強いか?それだけ!



リングサイドに胸の前で祈る様に手を組み合わせて応援してくれる聖奈…。

あの頃のまま…うん?

いや…聖奈ってあんなにエロかったっけ?

あの頃にはもう…そのグラビアアイドル顔負けスタイルだったけど…清楚で可憐。

すっかり熟れて…あんなにセクシーだったっけ?


聖奈『ファイアタイガー!』

里美『いいぞー!ファイアタイガー!抱いてー!』


松方『あぁ?!』

聖奈『あぁん?!』


実況『敵も怖いが奥様はもっと怖い!』


聖奈マジ怖い…!

松方がそれに気付いて組み合いに!


松方『女房にびびって(笑)

女房怖がってたら何も出来ないだろ!』


俺は答える、


『奥さんの本当の怖さも知らないから逃げられんだよ!』


実況『妙に含蓄があるコメントですねー。

獣神も家では良い夫なのかー?!』


組み合いからの寝技関節技でじわじわスタミナを奪う。

中高年の弱点!


俺はやっと腕ひしぎを外した松方がグロッキー状態になっている事を確認して、

コーナーへ登る!


松方『待て…流石に…!』


『バカを言え!コレをしたいが為にファイアタイガーやってるんだよ!』


トップロープからのムーンサルトプレス!!

する側もダメージでかい!


実況『出た!本家も使うムーンサルトプレス!

妙技!アクロバットな技に会場が響めく!!』


もうろうとする松方を…コーナーポストへ!


…本家のフィニッシャー!


垂直落下式ブレーンバスター!

松方を…抱えて…!!飛べ!!


実況『出た!垂直落下式ブレーンバスター!!大技です!!

中年同士の試合でここまで綺麗なこの技がみれるとわー!』



松方『…まだワシの延髄斬りが…!』


『受け止めてやるよ!こいやー!』



!!!





☆ ☆ ☆

このプロレス同好会は試合結果を熱戦譜として残している。


この日の結果


OB遺恨試合

時間無制限一本勝負


⚫️アンドリュー松方×◯獣神ファイアタイガー(56分 ファイアータイガーパワーボム)




☆ ☆ ☆

その晩。


優奈『パパどうしたの?』

玲奈『本当だ!』


聖奈『階段で転んじゃってね?ふふ♡』



夜更け。


聖奈『ファイアタイガー様ぁ♡

すごぉい♡』


『うおおぉ!』


大学時代、試合後に猛った血を沈める為のプレイ…ファイアタイガーがファンの女の子に手を出すってごっこプレイ。

(負けるとファイアタイガーの鬱憤溜まった強引プレイ。聖奈はこっちが好き。)


…この翌日ホームパーティがあり、香椎パパは怪我だらけでお疲れでしたとさ。


☆ ☆ ☆

何故かノッて書いてしまった…。


次回承くん怒られ回(笑)

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