第539話 その頃の猛獣 side立花望
…兄ちゃんめぇ…あたしのお土産リストを机の上に置きっぱ!
こんなに品目あるんだよ?覚えられる?
…一瞬イラッとしたあたしは自分を落ち着かせる…。
あたしが修学旅行の時、兄ちゃんはお小遣いくれた…。
でもあたしがぎゅー!ってハグしたんだから…50:50だよね…?
むしろこんな可愛い妹がぎゅー!の方が価値は高いのでは?
まぁ修学旅行でテンション上がって忘れちゃったんだろ…。
リストを写真撮って送ってあげようかと思ったけどフェリーで北海道航路を行くのでスマホは明日くらいまでまともに繋がんないらしいよ?
まぁ明日にでも送ってあげるよ、リスト。
今どの辺なのかなぁ…兄ちゃん…。
☆ ☆ ☆
『にいちゃん!…いなかった…。
…しゃみしい…。』
ひーちゃん!
兄ちゃんはバイトとかバスケとかでひーちゃんが起きてる時間に戻ってこ来ない事はよくあるんだけど遠いとこへ行ったって感覚はまた違うみたい。
『ひーちゃん、おいで?
兄ちゃん居ないとさみしーね?』
ひーちゃんはこくんと頷くと素直に私の膝にちょこんと座る。
わいかー!
※かわいー!の業界用語。
『にいちゃんもきっとひーちゃんに会えなくて寂しがってるよ?
…寂しいなら一緒にねんねしよっか?』
『…する。』
…あたしもちょっと寂しいしね。
体育祭が終わり、文化祭準備が始まったあたしは忙しい。
なんせヒロインだしね。
ばあちゃんにその話ししたらいたく喜んで!
ばあ『望ちゃんの一世一代の晴れ舞台!ばあちゃんにまかせなさい!』
って言って楽しそうに毎日縫い物してる。
あたしも横で一緒に衣装作りをしておる。
…意外に面白い。
なるちゃんがハマるのわかる気もするー。
そんな衣装作成を終えて、ひーちゃんとお風呂に入って、21時に就寝。
あたし感覚だと早いんだけどひーちゃんに合わせるとこうなっちゃう。
お風呂上がりのひーちゃんはぷくぷくほっぺを血色良くしてわいかっかー!
※可愛いの最上級業界用語。
『…にいちゃんのふとんでねる…。』
『…いいよ、きっと文句言わないっしょ。』
ひーちゃんを腕枕で寝かしつける。
…しばらくしてうつらうつらしてあたしにぎゅっとしがみつくひーちゃんをちゅっちゅしてるうちにあたしも眠くなっちゃう。
ひーちゃんは体温が高くてなんかミルクみたいな匂いがする。
…そしてにいちゃんの匂いに包まれてあたしは安心して眠っちゃう…。
…にいちゃん…。
☆ ☆ ☆
翌朝、ひーちゃんのほっぺすりすりで目が覚める!
愛い!愛しいよぉ!
兄ちゃんはそろそろ北海道に着いたかな?
一日中フェリーでやっと上陸羽を伸ばしてるんだろう。
兄ちゃんの旅のしおりを読んだから知ってる、まだ朝食前なはず!
有名乳業の工場見学してそこで出来立て乳製品でパンの朝食らしい。
あたしのお土産リスト忘れた罰だよ!
登校の身支度しながら7:00。
あたしは兄ちゃんにロインを送る。
『兄ちゃん!母さんがね!兄ちゃん居る分量で卵焼きを作っちゃって…
あたしが兄ちゃんの分の卵焼き食べちゃった!ごち!』
ふふー!ざまみろ!
出来立て卵焼き兄ちゃんもあたしも大好きだもんね!
ろいん!ロインすぐ返ってきた!
兄ちゃんめうらやましかろ?
動画?
再生してみる…。
☆ ☆ ☆
兄ちゃんからの動画
恰幅の良い(失礼)おばちゃんがにっこにこでスマホに向かって、
おなちゃん『朝は1日の始まりだからうちはガッツリ系だよ!』
説明してくれる。白米に少し酢の効いたほんのりだし。
そこに刻んだ青シソと刻みのり。
マグロ!イカ!甘エビ!ホタテ!サーモン!
そして…その上から…イクラを回しかけてくれる…!
じゅるり。
※望のよだれ音。
紅緒『…私のランジェリーより…色っぽい…♡』
伊勢『…あ…あ…あぁん♡』
イクラを溢れ落ちそうなほど無造作にスプーンで回しがけるように盛り付ける!
溢れちゃう!溢れちゃよぉ!
なんか画面外からエロい声とか聞こえて来る?
なんてエロい動画なんだ…!けしからん!
赤いぷっくりハリのあるまんまるいくらがぬらぬら濡れながら滴ってるよぉ!
おばちゃん『はいどうぞ!』
☆ ☆ ☆
海鮮丼…恐るべし…!
兄ちゃんからの完成した海鮮丼写真が送られて来て…じゅるり。
早朝からやってる漁師さん向けのお店?
観光客も少数だけうけいれてる?
もう美味しい予感しか無いじゃん!
味噌汁付いてきた?
味噌汁は貝…小さくて売り物にならないホタテ貝がゴロゴロ入ってるお味噌汁で!
そこらで獲れるカメノテとかで濃厚な出汁を取ってこのベビーホタテを煮てネギガンガン入れてって最高な味噌汁って兄ちゃんのコメント…!
コメント要らないからあたしにも食べさせてよぉ!
この丼に味噌汁付いて1000円?まじで?
一律1000円?
『飯テロだよぉ!
最低!兄ちゃん嫌い!
明日着で同じものこっちに送ってよぉ!!』
(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
兄『…兄ちゃん嫌いなら…仕方ないな…。
お土産期待しないでくれ…。
嫌いって言ったのお前だからな?』
『うそ!うそだよ!
兄ちゃん大好き!ひーちゃんと寂しくて兄ちゃんの布団で寝ちゃった位兄ちゃん大好き♡』
兄『…お土産屋さんで海産物直送で送るから…
いいか。嫌いって言ったら嫌いが返ってくる、好きって言ったら好きが返って来る。
簡単に人にそう言うこと言っちゃダメだぞ?』
あたちはにいたんの妹だお?
可愛い愛玩妹だお?
『わかるわかる!
因果応報だよね!なにとぞカニといくらを…!』
兄『期待してろ?
にいちゃん奮発しちゃうぞ!』
※修学旅行テンション↑
『きゃー!兄ちゃん格好良いー!』
※海産物テンション↑↑
ロインが終わったあともあたしはニコニコ!
登校して親友sがご機嫌だね?って言うからさ?
朝の話しをかいつまんで説明する。
緑『卵焼きでマウント取ろうと思ったらお兄さんに朝海鮮丼で返り討ちにあって?
きい『逆ギレし絡んだらお土産貰えなさそうになって?』
茜『媚びたら大逆転!北海道海産物届くって?』
芹『…ブラコンなんだから最初から素直に寂しいよって言えば良かったじゃない。』
『あたしは思ったね。
鏡の法則ってやつ。好きには好きを、嫌いには嫌いを。
世の中は因果応報…!』
茜『まともな事を言ってるけど…海産物楽しみすぎて顔がニヤケまくってるよ?』
きい『…顔がイッてるね。』
緑『食いしん坊ヒロイン(笑)』
芹『ダメ、望ちゃん女の子がそんな顔…!』
あたしはニッコニコで親友sに答えた。
『因果おほぉぉ!!』
※11/22寝取られ宏介側のまさぽんたさんコメントより引用w
おほぉぉ!
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