第503話 勝利の味
奥さん『第6回!チキチキ!俺カレ新メニュー品評会は…!』
ゴクリ。
奥さんがパッと手を向ける!松ちゃんに!
奥さん『新二くんの!豚骨カレー!』
『『『おぉ…!』』』
景虎『…待て、次は俺のブラックカレーを…!』
奥さんは怒りながら、
奥さん『アレはお金かかりすぎなのよ!
…新二くん!コレはイケる!』
新メニュー作成対決。
松ちゃんは度重なる超高級素材のコスト度外視戦略を俺カレの粗利率を検討したメニュー考案にシフトした結果、遂にメニュー入りが見込める勝利を得た!
景虎『うちの県の名物バスターミナルカレーも豚骨で出汁とってるって聞いてるもんな…確かに美味い。
カレーなのにスペアリブも入ってるのがなんか斬新。』
新二『…旨みを足したくて…脂身と骨の間の肉美味いから。』
景虎『…スペアリブ…煮込んで出汁取って…それを味付けしたタレに漬けて…火を通してる?油っぽくないし身離れがイイ。
…これは脱帽。』
新二『…。』
松ちゃんめっちゃ嬉しそう!小鼻ピクピクしてるじゃん!
料理対決でも、新メニュー考案会でもここまでの絶賛は初めて。
三勝目だけど…これは大勝利と言って良い大金星!
一緒に行ったラーメン屋さんでヒントを得たらしい。
早速豚骨の手配とプロトタイプの作成。
早ければ来週位には昼の限定ランチでお客さんの反応を見るかも知れない。
景虎『新二!正式採用されたら金一封だぞ?』
新二『…いいよ…金ならあるし。』
勿体無い!
しかし景虎さんが笑いながら、
景虎『コレはお前の努力とアイデアと技術と発想に支払う正当な報酬だ。
遠慮すんな!』
新二『遠慮なんてしてねぇ!はした金欲しさにやってないんだよ!』
景虎『…はした金かも知れない。
でもそのお金を捻出するのに俺の奥さんは鬼になったり、俺も信に会いたいのに夜遅くまで鍋を掻き混ぜ続ける…そんなお金だ!』
松ちゃんは圧に負けて頷く。
松ちゃんはお金の有り難みもう少し知った方が良い…!
こうして松ちゃん考案の豚骨カレー、スペアリブ添えが近日ランチメニューとして試してみることになった。
ここで感想聞いたり反応で正式採用されることもある。
…ちなみに俺が1番最初に青井と来て迷って景虎さんが出したハンバーグカレーも同じプロセスを経て正式メニューに採用されたと後で知った。
☆ ☆ ☆
終了後、景虎さんと2人で厨房で話しあう。
景虎さんはため息を付いて、
景虎『…アレは良い出来。
多少アレでも採用しようと思ってたけど…』
『…すいません。』
俺が景虎さんに相談していた件。
松ちゃんに『美味い』って言わせるプロジェクト。
景虎さんは限定ランチメニューを採用して松ちゃんをこき使う!
そしてその後の賄い飯で…!って感じ。
『アレすっごい美味かったですもんね。』
景虎『…今までは高級食材しか使わなかったのにな。心境の変化あったんかな?』
多分、ゲームで言うと縛りプレイって言葉に反応したのだと思う。
限られた予算で美味いもの!って制限が工夫を発想を生み出す。
ゲーム作成もそうらしい。
ハミコンの時代とか色や音を限られた選択から知恵を絞って1から作り出す。
クリエイティブな仕事って制限ある方が良いものが出来るのかも知れない。
景虎『…アレは美味い。だからこそ俺に少し考えがあるんだ。』
尊敬する大人の景虎さんの提案!俺は素直に受け入れる。
たった一回、俺の前で『美味い』って言わせれば香椎さんが解放されるんだ!
俺は必死に動き回る!
…例え俺の手が届かなくったって香椎さんに自由を!
俺はいつものように熱血していた。
☆ ☆ ☆
近況ノートの方で先日の映画撮影の件で田中くんが外町くんに出演交渉するショートストーリー公開中です。
久しぶりの外町くんをお楽しみください(笑)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます