第477話 宏介の苦難
別連載 寝取られ宏介の話しみたいなものです。
未読の方は後回しにでどうぞ(笑)
☆ ☆ ☆
『…ってワケなんだ。
あはは…俺、女の子見る目ねー。』
自嘲する宏介。
…無口で表情をあまり変えない宏介がさっきからずっと自嘲的になってる。
バスケ部の合宿までは気を張ってたのだろう。
俺も釣りキャンプ以来なんだけど…
夕方17:00宏介宅でいつもの宏介部屋。
部屋の空気は重く暗い。
無音じゃなんなのでいつもの北海道バラエティDVDが流れている。
宏介から聞かされる驚きの詳しい内容。
去年の入学時、隣の席のポニーテール美人とすぐに打ち解けた宏介。
隣席でバスケ部で生徒会役員で…宏介とずっと隣席でなんでも話した気のおけない女友達。
いつもいろんな事を話し、語り合い一緒に過ごした綺麗な女の子…。
…その娘が三島皐月NTRをけしかけた主犯で…友永ゆかりNTR事件の首謀者で…宏介が相談したこと、愚痴をヒントに自分に言い寄る男を上手く…
こわっ!!その娘こわっ!!!
会った事あるのよ、俺カレ来たし!
その時はお似合いのふたりで…すっごい良い子に見えたけども…。。
そう言えばとわんこは引っかかってたっけ…。
232話 親友が女の子を連れてきた2参照
https://kakuyomu.jp/works/16817330656200078233/episodes/16817330667528582051
『…結局さ?自分で愚痴った内容やヒントで…彼女たちは攻略されちゃって…俺が落とすの助けたようなもんで…ははは…。』
…痛々しい。
完全な悪い奴!って憎めないほど永瀬さんと宏介は色んな時間を共有して来た仲なわけで…。
人間は自分に当てはめなきゃ想像が出来ない…うん、ダメだ想像できない…。
なんでこう…宏介ばかり…!
宏介は悲痛な表情で拳を握り、
『…俺は多分欠陥人間なんだ…。
吃音…無表情…なんか大事な感情が欠落してて…致命的ななにか…人間性に著しく欠ける男…。』
たまらず、
『そんな事言うなよ…!
宏介はそんなんじゃ無い。』
宏介は無表情に、
『…承は俺から離れた方が良いのかも…。
いつか迷惑かけるかも知れない…。』
『宏介がかける迷惑なら一緒に苦労してやるさ!
俺だって!ダメダメなダメ男だ!』
自分の子供さ無力さにコンプレックスを持つ日々があった。
…俺から見たらスポーツ万能、学業優秀、イケメンな宏介がそんな事を?
何を言ったって宏介の辛さは宏介にしかわからない。
…側で推し量るのが精一杯。
俺と宏介は自分のダメっぷりを熱く語り合う!
あー!俺なんかこないだ!
…俺は…もう酷くて…!
坂道を転げ落ちるように自虐ネタの応酬!
…ふたりして自己嫌悪に黙り込む始末…!
俺にできる事なんか無い…。
俺と宏介の間だもん、無理に話す必要は無い。
でも、今は側に居てやりたい。
しばらく無言の2人だったけど少しして宏介が愚痴を言う。
俺は最低限の返事を返す。
そんな時間がしばらく続き、
北海道バラエティの軽快な会話がクスっとさせてくる。
宏介は見てるのか見てないのか。
モニターの中ではこの回の山場、カブがウイリーしちゃう伝説の回。
モニター『ギアいじったっけ ロー入っちゃって もうウィリーさ!』
宏介『…ぷ!』
宏介が突然吹き出す。
一瞬の気まずさに照れるように宏介は、
『…笑えるんだから…俺まだ大丈夫みたい。』
『確かに。宏介!ラーメン喰いに行こうぜ?』
番組はエンディングに移り変わる。
番組のテーマソングが流れる。
モニター『…世界じゅうを 僕らの涙で埋め尽して
やりきれない こんな思いが 今日の雨を降らせても
新しい朝が いつものように始まる…♪』
『…俺はいつも承に助けられる…いつも。』
言わせないぞ?俺が同じ目にあったら宏介だってきっと!
『それは言わない約束でしょ?
おとっつぁん?』
『…時代劇か!』
俺だっていつも宏介にあの時もこの時も…!
宏介と俺の仲だもん、貸し借りは無し!
宏介はニヤッと笑って、
『こんなに苦しいのなら…悲しいのなら…愛など要らぬ!!』
『それどこの聖帝?』
俺と宏介は宏介ママに断って自転車で出かける!
今日は俺の奢りだぜ?
俺と宏介はずっと笑いながら自転車を飛ばしてラーメン屋へ向かう。
宏介はそんなに美味く無いラーメンを美味い!美味いって食べていた。
…俺がもっと気の利いた漢だったら。
俺が出来るのは宏介の側に居ることだけだったんだ。
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