第232話 親友が女の子を連れてきた2

景虎『へらっしゅー!!』


(これさえ無ければ…)

そう、思いつつバイトに勤しむ。

今日は授業終わるやいなや急いで支度して俺カレへ出勤!

宏介が来るんだ!

文化祭の実行委員?副実行委員?になったらしく模擬店に俺カレメニュー出せないかな?って。

景虎さんに昨日のうちにロインして大体の事は話してある。今日具体的な予算だったり卸し価格とかの話を聞いてHRで決めるんだって。

宏介らしく事前に値段や経路など考えてる手腕に流石だなって思っちゃう。

俺ならきっと何やるか決めてからお店あたるもん。

もしそれでやっぱ無理!ってなったら大変なことになるから事前に調べる下準備必要なんだね。



『いらっしゃいませ!

お、宏介!と?』


宏介とグーパンぶつけてからお連れさんに気づく。

こないだと違う女の子だな?


ポニーテールの溌溂とした可愛い子

明るい、陽キャの気配を感じる健康的だけど頭も良さそう?

そんな印象。

(お!宏介違う女の子連れてる!さすが!)

なんて思っちゃう。

その娘は丁寧にお辞儀をして、ハキハキにこやか挨拶!


永瀬『初めまして!宏介くんと一緒に文化祭の実行委員をしている、

永瀬綾といいます!

宏介くんの親友の立花くんですよね?』



『あっはい。』


陽キャだ…隙の無い笑顔と挨拶…。

ニコニコしながら初対面俺に完璧な対応。

この娘はなかなか…なんとなく香椎さんに似てる気がした。

あとポニーテール可愛い。



『テーブルどうぞ!』


俺はテーブルに案内して、厨房の景虎さんにロインで話した友人が来た事を伝える。


景虎『文化祭って青春だもんよ。

協力してやりたいよな!まあ商売でもあるけどさ。』


景虎さんはまだ空いてる夕飯前だから、厨房を出て宏介席に向かった。


宏介と永瀬さんは希望を伝えて、景虎さんは専門家の意見を言う。

色々話し合った結果ハンバーガー、パンケーキ、業務用ポテトを卸せるって話しになったらしい。



景虎『昨日聞いてたからさ、一応試作?さっき試食して貰ったやつな。

承食ってみ?』



市販のパンズにいつもより薄いハンバーグとレタスを挟んだハンバーガー。

ちょっと甘辛いタレとマヨネーズを付けてるのかな?



『あ!美味いっす!』


景虎『これだと…卸値段で…。』


え?こんな値段で?2年か3年時これで模擬店やりたいかも!

そう思わせる味とお値段!



宏介、永瀬さんと話して3回景虎さんは試作を作ってくれて、

トントン拍子に決まっていく宏介の模擬店の話。



宏介『ありがとうございます、ハンバーガーショップで話を進めたいと思います!』


宏介が紅潮した顔で頭を下げる。

相談役っていうか軍師ポジションを好む宏介が実行委員をしてるんだから心境の変化か巻き込まれたか?なんにせよ親友の良い変化に思えるから俺は嬉しくなっちゃうよ。



永瀬さん?横の可愛い娘も宏介の事をチラチラ見て、笑いながら相談しあい、微笑みかける光景はすっごくお似合いに見えてなんだか安堵した。

三島さんの時、あんなだったからさ。

寝取られ宏介 2話参照



模擬店メニューの打ち合わせと試作で数品食べてたから軽くで良いでしょ?

宏介はロコモコ丼を永瀬さんはいちごシェイクを注文して打ち合わせをしていた。


景虎『へらっしゅー!!』



宏介がお手洗いに離席した時、永瀬さんに呼ばれた。

永瀬さんは恥ずかしそうに、でも目をキラキラさせながら、


永瀬『立花くんの事はよく宏介くんに聞いてるので、なんか他人の感じしないです!

いっつも宏介くん、何かあると承が、承が!って!

男の友情っていうの?なんか良いね♪

あ、ごめんなさい!気安く!』


あ!って顔で素が出ちゃった永瀬さんに俺は、


『同じ学年だし良いよ!宏介は無口無表情だけど心の奥は一途で熱い奴だからよろしくね?』


ってお願いしちゃう。

ぎゅむ!


痛い!

また誰かに脇腹つねられた!

あれ?紅緒さん?!



紅緒『立花くんは他所の高校女の子をバイト中にナンパしてるの?

勤務中にふさわしく無い行動よね?』



すっごく冷たい、冷たい目で俺を見つめる紅緒様。

清楚な美貌と強い目力も冷たい眼差しが加わると迫力がある。

…こないだの小幡女王から学習したのかな?

以前の固い口調と合わさってすっごい威圧感!



宏介『承!…あ、紅緒さん。

こんにちわ、久しぶり。』



宏介が戻ってきて、俺と紅緒さんに気づいて紅緒さんにあいさつ。



紅緒『…あっ、あ、こんにちわ、久しぶり、宏介くん!』


しまった!って顔で取り繕いとわんこ。

やっと察したとわんこは、ああ、この娘宏介くんのツレだ!って顔して何も無かった顔して1番テーブルに消えようとする。

でも、1番テーブル今日は埋まってるんよ?



紅緒『えー?私のテーブル!ぶー!

じゃあ?宏介くん♪相席良いかな?』


宏介『…え、良いけど。』


永瀬『え?ええ、良いですよ?』


ぎこちなく永瀬さんは了承してくれたけど…お邪魔じゃない?

紅緒さんと永瀬さんは互いに自己紹介しあい、紅緒さんはいつものを注文する。


いや、紅緒さんお邪魔でしょ?

紅緒さんは宏介のファンでもあるから話が弾んでるけど…永瀬さん顔引き攣ってる…。

まあ少しすると紅緒さんと永瀬さんも打ち解けてキャッキャ笑い合ってたけど。



しばらく3人で会話してたけど1番テーブルが空いたよ!


『わんこ!ハウス!』


紅緒『じゃあ宏介くん!またね!永瀬さんもね!』


紅緒さんはハウスって言われると自分の食器を持って1番テーブルに自分で移動して行った。

ハウスここなんだ…。そのうちmy箸とか常駐するんじゃ?




しばらく食べながら打ち合わせして、宏介と永瀬さんは礼を言って、俺カレを後にした。

宏介やるなー、すみに置けない!

でも、あれだけ傷心だった宏介が女の子連れて来るなんて良い変化でしょ?

こないだの友永さんと永瀬さんどっちが本命なんだろう?

親友の復活が近い事に安堵してテーブルを片付ける。



紅緒さんもしばらく慣れた1番テーブルでウダウダしていつもみたいに俺をいじったり観察して帰るよ。



紅緒『久しぶりに宏介くんに会えた!

…でもあの永瀬さん?承くんにも宏介くんにも馴れ馴れしい!

あの娘きらい!』



珍しい…いや好き嫌いは激しい娘だね。

妙なライバル心でも持ったのかな?

紅緒さんは話で出て来る香椎さんにもライバル心持ってる気がする。


『はいはい。』


俺は散歩の途中ですれ違う小型犬が吠え合う光景を思い出して微笑ましく思ってしまった。



今日の賄いは試作の余りハンバーガーでその名も景虎チーズバーガーと景虎てりやきバーガーだった。うま!

余ったの持って帰ると、



望『太っちゃう!また丸顔になっちゃうよぉ!』


『文句言うなら食うな。』


ひー『てりやき?これてりやきっていうの?うま!』


今日はひーちゃん起きてた。

妹弟大興奮だった。

夜中のジャンク飯って何でこんなに美味しいの?



☆ ☆ ☆

今日の誤字


『昨日聞いてたからさ、一応試作?さっき試食して貰ったやつな。

承食ってみ?』



か を予測変換で景虎が香椎になってたのを公開寸前に気づく。

香椎さんがこの口調で承にお菓子食べさせて頬を赤らめてる絵を想像してひとりで笑いましたw


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