第475話 ひーちゃんは頼まれたい。
ひーちゃんには憧れがある。
『頼まれたい』
お使いでも麦茶取って?でもゴミ捨てでも。
何かしてあげて家族や友だちがありがとう♪って言ってくれたり喜ぶ顔を見るのが大好き!
でも最近もう一つ…。
兄ちゃんが出かける時、
承『じゃ、兄ちゃん行ってくるわ。
望ひーちゃん頼むな?』
望『はーい!』
とか、
母『じゃあお母さんお仕事行って来るね?
承、望お願いね?』
承『あいよ。』
望『あいよー!』
ひー『…。』
特に兄ちゃん姉ちゃんが出かける時にもう片方にひーちゃんをお願いして出かける…。
幼児ながらひーちゃんは信頼の証、ひーちゃんをお願い!って託されてるってわかる。
だから…
ひー『…ぼくもたのまれたいな…
「ひーちゃんたのむな!」っていわれたいな…。』
☆ ☆ ☆
夏休みも忙しい兄ちゃんと姉ちゃん。
大体兄ちゃんはバイトに姉ちゃんは部活(引退したが特待生内定でトレーニング中)。
今日は兄ちゃんも姉ちゃんもゆっくりしてて2人とも嬉しそうに笑ってて。
ふたりともお出かけの準備してるのかな?
!!
今日こそ!今日こそ頼まれたいよぉ!
そわそわしながらひーちゃんは兄ちゃんにお願いしてみます。
兄ちゃんが何か言いかけるのにかぶせて!
ひー『にいちゃん!ぼくおねがいがあるんだよ!』
兄ちゃんはびっくりした表情で、
承『おぉ?なにかな?ひーちゃん?』
お姉ちゃんも聞きつけてやって来ます。
ひーちゃんは語ります。
いつもお出かけする時にいちゃんがねえちゃんに、ねえちゃんがにいちゃんにぼくを頼むな!ってお願いして行く。ぼくはおにいさんだからもう大丈夫!
ぼくも頼まれたい!頼まれたいよぉ!
兄ちゃんはびっくりして、
承『そんな事?…いやそうゆう風に思ってたのか…。』
望『小さい子にとって憧れなのかな?』
ひー『ちいさいこじゃないでしょ!』
ひーちゃんは抗議します。もう5歳で幼稚園で年中組で来年は年長さん!
ひーちゃんは子供扱いが嫌なのです。
ひー『ぼくはおにいさんだよ!
おとうとがうまれてもだいじょうぶ!』
おにいさんに憧れるひーちゃんはいつか産まれる弟の為にもおにいさんなんだぞってアピールもしたい!
ひー『だから!おでかけするなら!ぼくにおねがいしていって!』
目をキュって瞑ってひーちゃんが主張ます。
兄ちゃんも姉ちゃんもひーちゃんのお兄さんらしさにメロメロです♡
はやく!はやく!
何か言いかけるふたりを押して玄関まで追いやるひーちゃん!
仕方ないなぁ。ひーちゃんきゃわわ♡でもこの後…。
兄姉が靴を履いて玄関で話しあっています。
ひーちゃんは期待満々でそれが聞こえていません。
兄ちゃんが言いました。
兄ちゃんの優しく低い声で、
承『…じゃ行ってくる…。
ひーちゃん、後は頼むな?』
ひー『うん!!』
頼まれた!やっぱり良い!
お兄さんって感じと信頼を感じる!
姉ちゃんも、
望『ねえちゃん行ってくるね?
ひーちゃんお留守番頼むね?』
ひー『はーい!』
やった!にいちゃんもねえちゃんもぼくに頼んでくれたよ!
ひーちゃんはご満悦!
承『じゃ行く?』
望『あたしクレープ!クレープとラーメン!』
…なんかふたりは楽しそう?
ひーちゃんはそっと聞いてみます。
ひー『にいちゃんねえちゃんどこいくの?』
ねえちゃんがにっこにこのご機嫌スマイルで、
望『兄ちゃんとエイオン♪』
たまにある三兄弟の定番お出かけ!
自転車2台で30分ほどかけて遠方の大型ショッピングエリアへ遠征です!
(伊勢さんバイト先でもある)
大体本屋さん行って、ゲーセンで遊んで、クレープとか甘いモノやたこ焼きとか軽食を食べて…ラーメン屋さんか俺カレでご飯食べておやつ買って帰る…楽しいお出かけ!
ひー『…ぼくもつれていって!』
望『いひひ♪ひーちゃんに話そうってするけど聞いてくれないんだもん♪』
承『ほら、ひーちゃん帽子とタオル用意しておいで?』
ひー『…たのまれてるばあいじゃなかった!』
ひーちゃんは慌てて麦わら帽子、首に巻くタオル、車のリュック…はーちゃんにあげちゃった…。
ひーちゃんは思いついたように玄関で振り返り、
ひー『はーちゃん!たのむね!』
今日もごきげんなお出かけがはじまるよ?
☆ ☆ ☆
3人は自転車で30分ほどかけてゆっくりエイオンに向かう。
まだ午前だから人は少ないけどひーちゃんは大興奮!
望『クレープ♪クレープ♪』
お姉ちゃんも大興奮でした。
ぶらっと見回りながらクレープをかじる三兄弟。
プラレールコーナーでひーちゃんは展示されてる広い線路に大興奮!
本屋コーナーで兄ちゃんが本を見て周ってる間、ひーちゃんはお姉ちゃんと絵本コーナーで真剣に一冊を選びます。もりのほんやさんって絵本をチョイス!今日寝る前に読んであげるね?って姉ちゃんが言ってくれます。
ゲームセンターでクレーンゲームに熱くなります!
今日は馬のぬいぐるみと駄菓子が獲れたよ!
お昼前にお姉ちゃんの服を見に行きます。
成実『いらっしゃいませー♪
立花♪望ちゃん♪ひーちゃん♪』
ひー『おっぱいちゃん!』
望『なるちゃん♪』
のぞひーとハイタッチする伊勢さんの胸が揺れて兄ちゃんは目を逸らします。
成実『立花?』
なんか照れてる兄ちゃんにギャル店員が話しかけるけど…。
望『ここには立花しか居ませんー!承って呼んで?』
ひー『たちばなだぞー!』
成実『またそれか…し…承?今日は?』
承『…伊勢さん!望の服一枚見繕ってやって?』
成実『いいよ!どんなのが好き?』
伊勢さんと立花三兄弟は仲良し!
キャッキャ笑いながらお姉ちゃんの試着をあーだこーだ!
店『なるちゃんの彼氏が奥さんと子供連れて来た!』
店員1『やだ私も経験ある!』
店員2『んなわけ無いでしょ…。』
店員さんは生ぬるい目でにいちゃんを見てるけど後で誤解は解きました。
伊勢さんチョイスで上下揃えるけど兄ちゃんにはよくわかりません。
承『タイトスカート…脚出過ぎじゃ?』
望『えー?そーかなー?』
成実『望ちゃんは美脚でしかも脚長いからそう見えるだけ。
さらに脚を綺麗に見せるラインだからね?あたしもその系統履いてるよ?』
そう言って伊勢さんがすらっとした脚を伸ばします。
柔らかそうでハリのある健康的な脚線美に兄ちゃんは赤くなって目を逸らします。
成実『あっ…。』
派手目な美人ギャルな伊勢さんだけど初心なので自分足に目線が来ちゃうと真っ赤になって目を伏せます。
ひー『おっぱいちゃんはあしきれいでかわいいね?』
店長『きゃあひーちゃん♡』
店員1『ひーちゃんきゃわわ♡』
店員2『なるちゃんの義弟きゃわいー!』
ひーちゃんはすっかりお店のスタッフと馴染んでいます。
お店のお姉さんのススメでお昼は伊勢さんも一緒に食べることになりました。
一階のラーメン屋さんでそれぞれ注文します。
4人で食べるラーメンは美味しくて幸せ!
ターミナル駅前のアノ店ほどじゃ無いけど美味い!
承『伊勢さん!今日ありがとね!今日は俺が奢るね?』
伊勢『え?いいよ!
自分で払うし!』
承『望の服見て貰ったし知人割引して貰ってるし…ね?おごる!』
成実『大丈夫だってばぁ!』
望『まぁまぁ…じゃ今度なるみちゃんが兄ちゃんとご飯食べ行ったら奢ってあげて?またデートとか♡』
成実『じゃあ…またラーメンいこ?その時はあたしが出すし!』
望『そうそう♪いい感じ♪』
食べ終わると伊勢さんは名残惜しそうにアルバイトに戻って行きました。
ひー『またねー!』
成実『またねー!』
続く!
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