第469話 甘いカレー【side立花望】

兄『ははは!』

香椎『うふふ♪』


12:00、自宅にて。

あたしは何を見せられているのか…。

昨晩兄ちゃんが乙女の気持ちをガン無視しようとしてあたしはコンコンと自分の立場になって考えろ!って説いた。

…思いの外兄ちゃんは素直に反省して今日を迎えて、ここまで香椎先輩が喜ぶ発言、態度、食べっぷりお弁当を堪能してお互いに幸せな雰囲気。


最後のフルーツポンチまじうめぇ。

…しかし食べすぎた…。

最低限とはいえ寒天の着色料が色を汚くしてしまう為明日に持ち越せないフルーツポンチ(ネズミ色になる(笑))を爆食いした結果…。


『…寒天が効く…否、効きすぎる…!』


寒天がおなかで膨張してるのかな?すっごいよぉ!

あたしは茶の間で仰向けになりながら兄ちゃんと先輩を観察してるんだけど…。


お弁当のお重を洗ってるだけで…さっきの感じ。

あんな所に割って入れるか!ってーの!

私は2人の楽しそうなツーショットを写真に撮ったけど気付かれなかった…

どんだけ互いしか見てないの?


ふたりはカレーを作り始めてて、兄ちゃんが油で玉ねぎを炒め始めて、


兄『俺カレだとね、玉ねぎいっぱい使って…飴色になるまで炒める分と普通に炒めたのを通常の3倍くらい?使ってる!後でみじん切り玉ねぎを用意するよ!

それでね?油にスパイスを…香りを付けて…。』


香椎『…オールスパイスかな?こっちのカルダモンも変わってる…!』


兄『わかる?』


ふぁ〜眠くなってきた…。

兄ちゃんたちの前にスマホ置いて録画して…。




☆ ☆ ☆

ふぁっ!やっべ!寝てた!

時間は30分経ってる!ふたりはどうなってる?

あたし居ないと真面目な話ししかしてないんじゃ?!



香椎先輩はあたしのエプロンを身につけてて髪を兄ちゃんが好きなポニーテールにしてまとめてる。

兄ちゃんもエプロンして…デレッデレ!


兄『玉ねぎをみじん切りにして貰って…。』


香椎『はい♪

じゃ、こんなかな?』



トントントン…!すごい勢いでみじん切りが増産されていく…!

兄ちゃんも挑戦するけど技術的には未熟なわけで。


香椎『あ!承くん!手!危ないよ!』


兄『ふぁ?』


香椎先輩はニッコニコで、兄ちゃん横から手を添えて…2人して真っ赤!


香椎『指危ないよ♪こうやってネコの手にして♪』


そう言って兄ちゃんの横に指を丸めた手つきで添える…あっま!

兄ちゃんは照れってれで、真っ赤っか!


兄『コレがネコの手?』


香椎『そうだよ?ネコの手みたいでしょ?』


兄『香椎さんの猫耳…れいにゃ可愛かったな…。』


香椎『!!

わすれて!忘れてよー!』


兄『ふふ!ネコの手だからネコの鳴き声して?』


香椎先輩は耳まで真っ赤にして…


香椎『…にゃー…にゃー♡』


ふたりはまじまじとお互いを見つめ合って同時に下を向いた!


兄『…。』

香椎『…。』


そして同時に顔をあげて、



ふたり『『あははははは♪』』




『いやまじでなんで付き合って無いの?』


1人の茶の間に独り言が響く。

あのふたりくっ付けば良いのに!ってこっちが気を揉んでるのに!

このままじゃ甘っあまのカレーが出来ちゃうよぉ!


でも、兄ちゃんも香椎先輩も幸せそうで…

早くこのふたりが普通に一緒に居れるようになったらなぁ…って思っちゃう。

ふたりを観察しながら、


『ふふ…もげろ!』


がさっ!!


『ぴゃっ!!』


茶の間の窓のとこに干してた…洗濯物が落ちた…?

びっくりしたぁ…けんけんして見てみるとあたしのスク水?


!!


違う!あたしがスク水に縫いつけた胸パッドが綺麗に外れてる!!



『…ふぁっく…!』


失敬な!まるであたしの胸がもげたみたいに…!

はーちゃん…!


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