第464話 俺母ハンバーグ
バイト先の俺カレから帰り、まだ動けない望の相手をしながらのんびり過ごす。17:45頃松ちゃんが家にやって来た。
松ちゃんはまだ緊張の面持ちで、
新二『お邪魔します。』
ひー『いらっしゃい!しんじくーん!』
望『お邪魔するなら来るなよぉ。』
甘辛なお出迎え…!
望!失礼でしょ!
松ちゃんは望を無視して、
新二『ひーちゃん、これケーキ。あとで食べな。』
ひー『わーい!ありがとー!しんじくーん!』
望『…甘いものなんかで釣られると思ってる?』
新二『…ハム好き?』
望『しゅきぃ♪
…そんな餌に釣られないクマー!』
松ちゃんの手土産…甘いものと肉…なんか悪い気になる…!
要求したみたいな感じ…ごめんね。
『…なんかおねだりしたみたいで申し訳ない…。』
新二『…こんなの実家行くと死ぬほど余ってるから。
ほら?おねだりしてみろよ?』
望『ふーっ!!』
威嚇する猛獣と手懐けようとする猟師みたいな関係…。
結局夕飯までずっとそんなやり取りを続けてて…。
松ちゃん、望まだ捻挫で動いちゃいけないんだから煽らないで?
望、人様の持ってきたお土産を強奪しようとするんじゃありません!
☆ ☆ ☆
母さんハンバーグを食べた松ちゃんは一言、
新二『…素朴な味…結構美味しい…!』
望『お前喰うなよぉ!』
望は松ちゃんに噛み付く。
松ちゃんはこうゆう人なんだって説明してるし、最近働き出した元ニートだと思ってるから立花家の面々は望以外は全然気にしていない。
『…俺は最高に美味いと思う。
…ご飯3杯イケる!』
新二『…おかわりお願いします…。』
ほらね!
食後、茶の間でまた俺、望、ひーちゃんは松ちゃんを囲んでレトロゲームを嗜んでいた。
望は前回人生ゲーム負けたから何がなんでも今日リベンジするつもり。
レトロゲーム機の金字塔!ハミコン!
望『今日は!おっさんのスマブラ!大運動会だよぉ!
…あたし、れいほう。』
大人気ない…妹は4チームのうち最強を最初に選ぶ。
俺ねっけつ、松ちゃんれんごう。
…初見では無いらしいけど…望は大人気ない初見殺しで優勝。
松ちゃんにハムで叩かれそうになり(勿論軽くだよ!)
それをひったくって奪って逃げた。お前捻挫してんだろ…、
さっきまでやってた大運動会じゃないんだから何でも凶器にすな。
松ちゃん『ハミコンがまだ稼働してるのか…この家…。』
松ちゃんは逆カルチャーショックだったらしい。
ゲームに参加できなかったひーちゃんは松ちゃんに抱っこされてしきりにカブトムシの話をする。
ひーちゃん曰く、カブトムシやクワガタは夜行性で夜に活発に動く。雑木林とかに居るけど幼稚園児のひーちゃんは1人じゃ危ないし遠いから捕まえに行く許可が降りない。
ひー『しんじくんおとなだからしんじくんといっしょならだめ?』
松ちゃんは驚いて、
新二『カブトムシ居るの?マジ?』
『…カブトムシ位いるでしょ?まだ8月上旬だし。』
新二『いや…時期じゃなくってよ?
デパートで買った事しか無いわ…本当にうちの県に居るの?』
…出た出た…シティボーイさまはカブトムシを捕まえた事も無いらしい。
ど田舎じゃ無いけど新川町だってなかなかの田舎町!
住宅地外れれば田んぼや畑いっぱい!自然豊か!
初めてのカブトムシ取りに乗り気なふたりはどんどんテンションが上がっていく。
深夜に3人で出かける事になった。
家族もそれなら泊まってけ!って盛り上がって松ちゃんにビールを飲ませた。
望『…信じらんない!年頃の娘が居て…!
しかも怪我して動けないのに…!他所の男を泊めるなんて!…もぐもぐ。』
その男が持ってきたハム食ってるなよ。しかも夕飯後に…。
茶の間に俺、ひーちゃん、松ちゃんの3人で布団を並べて敷いた。
松ちゃんは蚊帳に興奮してた。
…茶の間和室で襖の隙間とか蚊が入るんだよね…。古い家なのよ。
望は俺望部屋に初めて鍵かけて寝た。
この鍵初めて使ったね?自意識過剰とは思うけど…まあ安心感。
22:30。
夜型の松ちゃんは本来寝ない時間。
当然ひーちゃんはお眠りです。
ひー『くぴぃー。くーぴぃぃ。』
新二『…昼の信くん…ひーちゃんもだけど…愛されてるんだな…。』
『そうだね。
…松ちゃんも俺もきっとみんな子供の頃ってそうなんだよ。』
眠るひーちゃんを挟みながら常夜灯の暗い灯りの中ボソボソ松ちゃんは語る。
新二『…今日さ…ハム取りに実家行ったんさ。
…執事のじじに…ママに会えないか聞いた。』
『…どうだった?』
新二『…執事のじじは…喜んで、パパに内緒で一度ママに会いましょうって。
…なあ承、その釣りキャンプのあと、来週なんだけど…暇無いか?』
『…付き合うよ。』
…松ちゃんはママに会う事を決めた。
ボソボソ話続けて…気づけば眠ってしまっていた…。
夜中2:30時、アラームが振動する!
ひー『…にぇむい…。』
『…にぇむいな…。』
新二『むしろ活動時間なんだが…!』
夜型男の松ちゃんだけ妙に元気な状態でカブトムシ取りスタート!
☆ ☆ ☆
その頃の玲奈さん。
24:00、香椎家。
玲奈は外では人目を集めてしまうので衣類はキチッとした物や丈の長めな露出が低い服装を心がけている。夏でも。
その反動か家では手足を露出した短めな開放感のある部屋着好む。
ベッド入り、ふうってため息、
同級生が憧れる完璧女子の完全なオフショットで長い手脚をベッドの上に投げ出して悩ましげな吐息を漏らして仰向けに横たわる。
『承くん…あれからどうしてるかな?
新二くんと仲良くやってるって言ってたけど…本当かな?
ケンカとかしてないかな…。』
立花家、
承『ぐー。』
ひー『しゅぴー。しゅっぷー。』
新二『んがごごー。』
婚約者と思い人は幼児を挟んで肩を組むように一緒に眠っている事を玲奈は知らない。
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