第463話 愛されるという事
景虎『へらっしゅー!!』
新二『…その挨拶なんなの?』
『!!
松ちゃんもそう思う?そう思うよね?!』
昼の終わり、ピークが終わった頃松ちゃんが俺カレにランチで寄った。
今日はなんか客足のピークが早くて11:00から大忙し!
13:30の今現在お客が引いてる珍しい状態。
保利くんもお疲れ様。
新二『…キーマカレーセット大盛りアイスコーヒーで。
カロリー2倍パンケーキとアイス3種盛り。』
紅緒『…わかってんじゃん。』
『ややこしくなるから噛み付くな?とわんこ?』
俺カレのシフト知ってるとわんこはシフト時にほぼ必ずやってくる通称ヌシちゃん。
松ちゃんと香椎さんに俺と紅緒さんが出くわしたのがそもそも婚約者騒動の始まりだったわけで。
ランチ時分に松ちゃんが来ちゃうとかち合うわけです。
これが結構面倒で…。
今日はそんな暇日だった為、お客が紅緒さんと松ちゃんだけって不思議な状態。
景虎さんフロア出て来て松ちゃんを揶揄ったりし初めて。
奥さんも愛息子の信くんを見に奥へ入ったり。
食べ終えた松ちゃんに声かける。
『カレーだけ?』
俺の問いに、
新二『今日は承ママのハンバーグ食べるから…。』
気使ってるの?松ちゃんなら好きなものならハシゴも平気なのに?
あの松ちゃんがねぇ…少し嬉しい気持ちで俺もバイト中だけど松ちゃんテーブルで談笑しちゃう。
そんなところで奥さんが信くんを抱いてフロアへ出て来た!
信くん!昨年の年末頃生まれた信くんもそろそろ8ヶ月。
お座りも出来るし、はいはいするようになったんだよ?
奥の従業員スペースで奥さんが信くんを見ながら書類や処理案件を捌きながら必要があれば奥さんがフロアで作業してる時には女子大生バイトなどがその間だけ信くんを見たりしている。
可愛くて色んな人に囲まれて愛されてる信くんは人見知りしない赤ちゃんで…いつもニコニコ笑いかけてくれる愛想モンスターなのだ☆
紅緒『はわぁ〜信くんだぁ♪
可愛い!可愛いよ!』
奥さんは笑いながら、
奥さん『はい、紅緒ちゃん抱いて?』
紅緒さんはお礼を言って信くんを抱かせて貰う。
最初はあんなにおっかなびっくり抱いてた紅緒さんもすっかり慣れたし、首も座った信くんは嬉しそうにはしゃぐ。
紅緒『信ちゃん♪今日も可愛いねぇ?』
信『きゃっきゃ♪』
紅緒『あー私も赤ちゃん欲しいなぁ…♪』
チラッチラッ
『…。』
明後日の方向を見るよ!
最近このアプローチ多いんだよ…俺はキチンと無理だって言ってるんだけど…。
信『きゃ!だうー!』
フロアが好きな信くんはご機嫌!
可愛いよね!
そう言えば松ちゃんは初めて見るんだっけ?信くんだよ?
景虎さんと奥さんの息子さん!可愛いでしょ?
松ちゃんは紅緒さんに抱かれ、女子大生バイトのお姉さんたちに可愛がられる信くんをぼんやり見てる。
ママの奥さんに抱かれる信くんをなんとも言えない瞳で見つめる松ちゃんに景虎さんが声をかける
景虎『おい松!信ちゃん抱っこしてみるか?』
新二『えっ?』
景虎『色んな人に抱っこして人馴れしといたほうが人見知りしにくいらしいぞ?あ、抱く前に手ぇ拭けよな?』
松ちゃんは大急ぎで手をおしぼりで拭きまくった!
奥さんが気をつけてね?って笑いながら信くんをそっと松ちゃんに…。
信くんは知らないおじさんに抱かれても愛嬌全開で笑ってる!
信『だぁぶ!ぴゅー!』
新二『…可愛いなぁ…!』
3分ほど抱いて奥さんに返す時松ちゃんは貴重なものを返すように両手でそっと奥さんにしっかり手渡した。
松ちゃんは放心状態。
でも赤ちゃんって癒すよね?
俺もひーちゃん赤ちゃん時代夢中だったもん!
そんな話を松ちゃんとする。
奥さんは離乳食を食べさせに奥へ戻った。
お客はまだ来ない。
新二『…ああやって赤ちゃんって皆んなに可愛がられるんだな…。』
当たり前のような事を松ちゃんが呟く。
景虎さんは笑いながら、
景虎『そりゃそうだろ?
お前だってそうだったんじゃ無いか?』
新二『…そうかな?』
景虎さんには相談がてら松ちゃんの事を話している。
景虎さんの口から出たのは、
景虎『そうだろうよ。
自分の子が可愛く無い親なんて居ねぇ。
お前もきっと信と同じように愛されて可愛がられて育ったんだぜ?
きっと信みたいにさ?同じ名前じゃん?』
新二『あっ…。』
新二って名前ならきっと…
しんくん!しんちゃん♪きっとそう言われてて…。
信『ばぁびゅー!』
オムツ変えて離乳食食べた信くんはご機嫌だけどこれすぐ眠っちゃうパターン!
松ちゃんは信くんを愛おしげに眺めていた。
奥に戻っても少し松ちゃんは扉を眺めていた。
控え室へ戻る奥さんと信ちゃんを見つめながら景虎さんがボソッと呟く、
景虎『…一生に一度の大恋愛の末にやっと射止めた最愛の人が自分の子を産んでくれる…
男としてこれほどの幸せは無いんだぜ?』
俺は頷く。松ちゃんも横で頷いていた。
想像もできないけど…どれほどの幸せなんだろう?
俺のバイト時間が終わり、松ちゃんに18:00に家で待ってるよ!と伝えて紅緒さんを家まで送って自転車を飛ばして家に向かった。
今日の夕飯はハンバーグ!!
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