第460話 妹の快進撃
旅館で過ごす立花家。
祖父母と俺。
両親とのぞひーって部屋割り。
朝から温泉入ってダラダラしてる。家族旅行なんて久しぶり。
朝食時に母さんが言うにはさっき部活の顧問の先生から電話かかってきて、
先生『立花さんおはようございます!
もう朝食食べました?
あの子!望ちゃん!前回旅館のビュッフェ式朝食でイカの塩辛でご飯3杯も食べようとして…!
ご家族で朝食は消化の良い物を少なめで食べるように監視してください…!』
…全国大会出る選手が注意されることなん?
望はぶーぶー文句言って、
『ビュッフェ式でお腹いっぱい食べないなんて勿体無いおばけ出るよぉ!』
って叫んでた。
…気持ちはわかる…!
旅館の西京焼きの鮭めっちゃ美味い…!
望に見えない様にご飯3杯頂いた。
☆ ☆ ☆
朝食を終えて会場入りする望を見送り観客席へ移動する立花家。
…望ってこんなに強かったの?望は一回戦四国3位の娘をストレートに破る。
夕方の二回戦、関東3位の娘も撃破。
望『…関東3位でこんな強いのか…人口が多いのかな?』
ケロリとした顔で笑っていた。
そう言えば香椎さんが言ってた。
香椎『同い年の私より強いよ、望ちゃん。』
…その香椎さんはインターハイでベスト8。2年生だよ?まだ。
その香椎さんより同い年で比較すると望は強いと言う。
強いとは聞いてた。でも全国大会で…各県の代表が争う地方大会を制して今全国大会で強さを見せる。
…望もコレで全中ベスト8。
俺の買い与えたラケットでシューズでウェアで…望が元気いっぱいコートを駆け巡る。
…兄としてこれほど嬉しい事は無い…。
怪我しなきゃ良い、結果なんて二の次…そんな言葉なんてかけられず、俺はまた、
『頑張れ』
しか言えない。
万感の思いを込めて頑張れって言う。
それしか言えない無能な兄。
望はにやって笑い、
髪をポニーテールに結いあげながら、
望『わかってる!
色んな気持ちのこもったがんばれだってわかってるよ!
あたしが1番!って日本中に知らしめてくる!』
翌日。
両親も祖父母も、兄弟も望の晴れ姿に夢中。望は嬉しそう。
両親は仕事が忙しい。祖父母はテニスがわからない。
兄は…なかなか観戦に来てくれない。
望はワガママを言わない子だった。
うちがひーちゃんの医療費でなかなか厳しい状態だってわかってるから。
…そんな望が唯一言った希望、俺に甘えて頼ってくれたテニスで望は今、日本一に駆け上がろうとしている。
あと三回勝てば日本一の中学生になる。
胸が熱い。
☆ ☆ ☆
望『さらさらじゃん?
対策練って来た?一勝一敗だよね?』
さらさら『今度は…負けませんわ!』
さらさら?パンフには更科沙羅って書いてある…望失礼でしょ!
最前列は意外に選手同士の会話が聞こえる。
ハラハラしながら試合開始を待つ。
ひー『おねえちゃん、このまえあのこにかったんだよ!』
北陸二位…そうか…勝ってるんだ。
安心も束の間、前の二戦と全然違う猛然とした撃ち合い!
展開が早くテニスは格闘技なんじゃ?ってほど熱い撃ち合い!
前回もそうだったらしいがフルラウンドの撃ち合いを制したのは…!
望『悔しかったら北翔来なよ?』
さらさら『…考えておきますわ…!』
望!負かした相手を煽っちゃダメ!
相手の娘泣いてたでしょ!
こうして望はベスト4に駒を進めた…。
望はケロリとしてて家族の方がビビってる。
…うちの妹しゅごい。
☆ ☆ ☆
緑『望すごいっ!!』
きい『痺れたよぉ!』
茜『あとふたつ!』
芹『次多分優勝候補最有力の子だよ?』
…関東一位で先の三位の子が相手にならないほど大差で勝ったらしい。
芹ちゃんのタブレットで試合を見てる望は…
望『やっぱ…タブレット良いな…。』
うちにはタブレットが無い。
…俺も欲しくって…いや!
わかるけど!事前学習頑張れって!
☆ ☆ ☆
望ならやっちゃうかも?
そんな準決勝は乱打戦。望の真骨頂!
…でも勝負はあっさりついた…。
無理にポイントを取りに行った結果、足首の捻挫を起こしてしまった…。
サイドからの切り返しや、急激なストップなどで負荷がかかり過ぎていた所にバックハンドストロークで前足を接地した際ヤッてしまったらしい。
望『出来る!まだ出来るよぉ!』
ポイントで勝ってるんだ!少し我慢すれば!
望が駄々をこねる。
担任『もう走れないでしょ!
望の将来のが大事なの!』
側に居た先生が止めてくれた。
…感謝しか無い。
望の全中が終わった。
…結果はベスト4(3位決定戦は辞退)
誰もが褒め称える結果!新川中始まって以来の快挙!
…本人以外はそう思っていた。
望が全く笑わない。
親友sが俺のところに相談に来たのは夕方の事。
全中の日程三日間予約してるから旅館はもう一泊。
望は落ち込んでいた。
試合後医者行って全治10日って言われて荒れてた望。
望『軽傷じゃん!ヤレば良かった…!』
親友s『コレで無茶してたら大惨事!』
望はつーんって返事もせずに布団に潜り込んで出て来ないらしい。
緑『シスコンのお兄さんの出番です!』
きい『望は手負いの獣…保護が必要…!』
茜『…お兄さんなら望を!』
芹『…全部出し切れないでアクシデントで負けたから…気持ちの整理が…。』
望は良い友達を作ったな…俺は彼女たちに
感謝して少し時間を貰った。
シスコン兄貴の力見せてやんよ!
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