第453話 凱旋【side立花望】
表彰式を終えて急いで帰る。急げば夜には帰れるしね!
帰り道芹のタブレットで自分vsさらさらの試合を見せて貰う。
ほほー。こんなだったか…。
…タブレット良いなぁ…大きくて見やすい。
お母さんが車飛ばして新川町に戻る頃にはすっかり夜になっていた。
新川中で先生を降ろしてあたし達は我が家へ帰る。
芹を家まで送り、我が家!我が家だよ!
『ただいまー!』
祖父母『おかえり〜!
望やったな!』
『ふふー!まあこんなもんだよね!』
じいちゃんばあちゃんがあたしを褒めてくれる!
ひーちゃんは車内で寝てたから元気いっぱい!
ひー『ねえちゃんしゅごい!しゅごいの!』
ひーちゃんの語るあたしはまさに無双状態!
憧れちゃう?ひーちゃん美しい姉に憧れちゃう?
ひーちゃんもテニス…無理かな…ずっと走り回るスポーツだもんね…。
そんなあたしの思いを知ってから知らずか、
ひー『ねえちゃんにごほうびあげたいけど…ぼくなにもあげられないよ…。』
ご褒美なんていつも貰ってるよ?
私はひーちゃんをキュって抱きしめてちゅっちゅっちゅ!!
高速頬擦りからのキツツキキッス!!
今日は特別に反対ほっぺもちゅっちゅっちゅ!!
姉の愛を余すこと無く叩き込んだよ!
ひー『…。』
照れちゃって♡ひーちゃんは真顔で気を付け!みたいな姿勢で目をキュッと閉じて身体を固くしてたよ♪
(>_<)
帰宅直後に父さんが帰って来て、
父『望頑張ったな。
3日も望も母さんもひーちゃんも居ないから父さん寂しかった!』
今日はサービスで父さんをハグ!
ハグ後父さんは頭を撫でてくれた。
兄ちゃんと似てる大きな暖かい手。
…逆か。兄ちゃんが父さんに似てるのかな?
その日の夕飯はあたしとひーちゃんが喋りまくりの暖かい楽しい時間だったよ!
☆ ☆ ☆
22:00。
21:00までのバイトを終わらせた兄ちゃんが急いで帰って来た!
結果はもうロインしてあるけど超喜んでた!シスコンだね?ふふー!
『望!頑張ったなあ!』
そう言ってあたしの頭を撫で撫でしてくれる。
父さんと同じ手、同じような言葉。
暖かくて安心するし愛情を感じる。
『強い娘ばっかりだったよ!みんな凄かった。』
試合を終えて思うのがそれだった。
さほどの差などありはしない、展開、運、コンディションそういうものに左右されることの多さに恐ろしくなる。
兄『強い者が勝つんじゃ無い…勝った者が強い!
望は強いな。』
『ふふー!
(兄ちゃんが応援してくれて!惜しみない援助と愛情を注いでくれたからあたし強くなれたんだよ!)』
…ちょっと恥ずかしいな…流石に言えない。
感謝伝えるって難しい。
気持ちじゃ足りなくて、言葉じゃ言えなくて、物では形に過ぎる。
…なら結果でしょ?
全国大会で…もし全国大会で優勝したら…
あたしが1番!
なぜか?あたしを応援してくれる家族が日本一だから!
逆説的にあたしの家族が日本一なんだよぉ!って。
…全国大会で優勝出来たら…ちょっと恥ずかしい感謝の言葉も言えそうな気がする…!
兄ちゃんが一回戦から話し聞かせて?
それとも今日はもう眠いか?って言うけどあたしだって話したいよぉ!
一回戦からあたしの主観で語るよ!
…。
…。
…。
『…それでね?さらさらを激闘の末に葬り去ったあたしは…
大地を斬り海を斬り空を斬り、そして全てを斬る技を完成させたんだよ…!』
※葬り去ってません。
兄『…最後アバンストラッシ⚪︎じゃないか…。』
ふふー!わかる?
あー!楽しかった!
全国にはさらさらクラスが具沢山カレーの具みたいにゴロンゴロン居るんだろう。
…カレー…。
『…カレー食べたい…。』
兄『…あるぞ。
明日出そうと思って…俺カレのハンバーグカレー。』
深夜0時…ダメでしょ…絶対。
…しかし人はダメって思うと欲しくなるもので。
…うぅ。
兄『…望…食べるか?今日だけだぞ?』
ダメだよぉ!
こんな夜中に!太るし体に絶対良くない!
もう全国大会への調整は始まっているんだよ!
深夜に大盛りハンバーグカレーは絶対ダメぇ!
こくん。
身体は正直だよね…。
心の葛藤とは裏腹にあたしは小さく頷いた。
むしろ兄ちゃんに媚びるようにちょっと上目遣いでうるうるおめめで口をあひる口にして。あざとい!
今日だけって言葉も魔力があるよ!
そして罪悪感を減らす為にあたしは頷くだけで決定的な返事をしない!
兄ちゃんが勧めたから!そう言い訳!
これで罪悪感から一歩逃げ出す!あざといあたし!
※カロリーの前には意味無いけど。
兄ちゃんが優しい。
ハンバーグカレー温めて来てくれて飲み物まで。
セパレート容器に別々に入ったカレー、ハンバーグ、ご飯が…三体合体!
DX超合金俺カレ特製ハンバーグカレーの出来上がり!
匂い、旨み、辛さが波状攻撃!
こないだの料理勝負の話聞いた時からずっと食べたかったよぉ!
兄『松ちゃんはあの後も料理勝負してるよ?
景虎さんが勝ったけど。』
…毎回美味いもの食べてるのか…兄ちゃんが羨ましい。
そんな深夜の背徳の宴。
大会優勝!皆んな喜ぶ!家族が褒めてくれる!
深夜のごはん!
あたし幸せ♡
…お腹いっぱい。
なんか眠くなってきたよ…。
…カレーは残さずにぜんぶたべた…。
兄『お、眠いんか?
望、今日はお疲れ様。ゆっくり寝な。』
お互いのベッドに腰掛けて話してたんだけど、
兄ちゃんがあたしのベッドまで来て、あたしを横にしてタオルケットだけお腹にかけておでこを撫でてくれる。
…安心するなぁ…。
手、暖かいな。お父さんと同じ匂い…
にいちゃん…
疲労はあった。
でも興奮状態だったよね。
それが深夜でリラックスしたうえにお腹いっぱい。
もうにぇむい…。
意識が薄れる…そんな時に兄ちゃんがとんでもない事を言った!!
兄『望は地方大会で優勝。
宏介は彼女が出来たらしいしめでたいことが続くなぁ…。』
『な…なんだってぇー!!!』
宏介くんに彼女?!
眠気どっか行った!
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