第450話 貸と借
夏休みも意外と忙しい俺。
朝、田中くんが来てお盆ごろ撮る映画の話しをする。
あの頃の話しを俺視点で…俺は…玲奈さんの為にもイジメをなんとかしたかっただけそんな話しをしながらその頃を思い出して冷たい麦茶飲みながら話をする。
望『じゃあ行ってきまーす!田中くんゆっくりしていってね!』
望は部活へ出かける。
明後日から隣県で行われる近県を勝ち上がった選手で行われるトーナメント戦地方大会が始まる。
ここでベスト4入りでいよいよ全国大会。
気合いは十分!望がんばれ!
田中くんはこのあと青井や小幡さんと会うんだって。
それぞれの視点での話しを聞き構成して台本を作る。
もう大体原案はできているらしいけど一人一人の心境や視点が知りたいそうな。
1時間ほど話して11時過ぎに帰って行った。
そうめん食べて、スイカ食べて午後はゴロゴロしよっかな!
久々に家にいるからひーちゃんも嬉しそう。
☆ ☆ ☆
田中くんと話してる時横にちょこんと座ってたひーちゃんが久々に家にいる俺に甘えて仕方ない。
布団でゴロゴロしながらずっと話してる。
その時の話題は望とケンカしてた頃のこと。
…ひーちゃんに正座させられたっけなぁ。
『それでね、ぼくが、
「アルバイトがなければいいのに。」
っていったらね?はーちゃんが、
「あるばいとがなければいいんか?」っていったらにいちゃんのアルバイトなくなったんだよ!』
429話 予定は狂う 参照
…!
…こわ。アレはーちゃんの仕業なんか?
ひー『かねもちのいえはたいへんだったってはーちゃんがいうんだよ!』
…あの日…俺カレの電気水道ガスがいっぺんにダメになってバイト無くなったから俺は望の試合見に行けたわけで。
…松ちゃん家も同じようにライフラインイカれて…でも金持ちマンションで非常電源?発電機が稼働するって言ってたけど急にそれも壊れて…松ちゃん家も行かなくて良くなった…。
ひー『にいちゃんにおまけしといたっていってたよ?』
…!
何故か買ってから使わなかったドライバーが自転車カゴに入ってて…!
使う予定も無いから俺カレで必要ならって寄付したら営業出来なくなって余ったカレーやハンバーグを大量に貰った。
それがその日の夕飯になり、望たちの差し入れにもなって。松ちゃんにも差し入れたら一万円くれて。
…望のシューズが壊れちゃってその費用にして…望は感謝して仲直りは劇的に完全な形でできた…。
こっわ!
俺の部屋の古いエアコンのブーンって音が室内に響く。
ひーちゃんも居るし電気代を考えてあんまり冷えてはいない部屋の温度が下がったような感じさえする。
ひーちゃんはニコニコ笑ってる。
この部屋にはーちゃんは居るんだろうか?
『なあひーちゃん?』
俺は語る。
友達は貸し借り無しなんだ。
何かあれば助けるのは当たり前。
でもそれありきじゃダメなわけで…いや内容がまとまらない。
俺!宏介になんでも相談してアドバイス求めてるじゃん!
俺が危惧してるのは「はーちゃん」という存在。
望が何処からか連れてきた(着いてきた?)はーちゃんと言う存在はひーちゃんにしか認識出来ない。
望でさえ家では一度も見ていないという。
ひーちゃんが言うには5歳くらいの着物着たおかっぱの少年らしい。
俺だって子供の頃から怖い話大好きで水木しげ⚪︎先生の妖怪図鑑やそうゆう本を読みまくった時期がある。
似たような話、妖怪、伝承はたくさんある。
強いて言うなら座敷わらし、それが1番近い。
望がこないだ言ってた。
望『修学旅行で行った旅館さ?良い感じだったのにsnsでみたら倒産したんだってー!もったいない!』
これはーちゃんが居なくなったからじゃない?
大体こうゆう話は3パターンあると思う。
1、正しい行いをして恩恵に預かりめでたしめでたし。
2、悪いモノだったもしくは悪い事をしてバチがあたる。
3、決められたルールがあり、それを遵守すれば恩恵、間違えば罰。
大体3が多いんだけど。
今までよんだ伝承や昔話では大体恩恵には代償かルールがある。
そうゆうものだよね。
だから今回の仲直りにはーちゃんの力が関与してたって聞いて怖くなったのはひーちゃんは何を支払うの?って話。
はーちゃんが良いものなのか悪いものなのか俺にはわからない。
でも借りっぱなしや利用しようって考えちゃいけない気がする。
俺程度の知識でもわかる怖さ。
こうゆう存在は天真爛漫で無邪気な存在。
神様でも妖怪でもおばけでもルールを破れば人間に牙を向く。
『…だからね?貸し借り無し!
親友同士だったらひーちゃんはして貰わないでむしろしてあげな?』
俺はひーちゃんにはーちゃんの力を借りないことを薦める。
むしろ貸しを作っておいた方が良い。
俺と宏介を例にあげて親友の話をしたんだ。
『なるほどー!ぼくはおにいさんだしそうする!
ぼくははーちゃんのためになにができるかな?』
『はーちゃん、ひーがお兄さんになる為にも出来るだけ手を貸さずに見守ってあげてな?』
見えないけど一応呼びかけてみる。
…なんか悪意もってはーちゃんを見てないよ!アピールw
ひー『はーちゃんがわかったって?』
『お、おう。』
部屋に居るんかい!
大丈夫だよな…見えないモノって怖い。
夏なのになんかヒヤヒヤする午後だったんだ…。
☆ ☆ ☆
しんゆう side立花光
『はーちゃん、ありがとう。
でもにいちゃんのいうとおりだよね。あまえてごめんね?』
へんじしないからつづけるよ。
『ぼくとはーちゃんもしんゆうだからにいちゃんのいうとおりぼく!はーちゃんになにかしてあげたい!なんかほしいものある?』
はーちゃんはいつもおなじかっこうをしているんだよ。
『…あつくない?そのきもの?
…ぼくのたからものだけど…はーちゃんにあげる!』
ぼくははーちゃんにばあちゃんがおみやげでかってきてくれた、
アロハシャツとズボンをはーちゃんにあげた。
『ひー?いいのか?
おめえこれおきにいりだろ?』
ぼくはすこしかなしくなったけどいいよ!っていった。
そしたら…
『…ひー…おら…そのりゅっくがほしい…。』
『ダメだよぉ!』
『ダメか…。』
はーちゃんはぼくしかみえないから…ぼくしかともだちがいない…。
ぼくはにいちゃんにもねえちゃんにもかわいがってもらえて…でもはーちゃんは…。
ぼくはなきそうになりながら、
『だいじにしてね?これぼくのたからものなんだ。
にいちゃんとねえちゃんがえらんでかってくれたたからものなんだ…。』
『いいのか?ほんとか?』
はーちゃんはうれしそうにあろはきてリュックかついだよ。
やっぱりかなしいよぅ。
そしたらね、はーちゃんが、
『ひー、もういっこたのみがある。
おらはながぐすごしてきたからむかしのことをわすれちゃった。
…おらにはにいちゃやねえちゃがいた…
ながいじかんがたちすぎてもうすっかりそのことをわすれてしまったんだ…
なあ、ひー?おらにもにいちゃやねえちゃやかぞくのことおもいださせてくれ。』
『わかんないけど!ぼくのかぞくみてればおもいだすんじゃない?』
はー『…んだな。
ひーのそばならおもいだせそうだ。』
そのひからはーちゃんはアロハのシャツとズボンでウロウロするようになったよ!
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