第440話 寝耳に水びたし【side鶴田舞】
時間経ってしまったんですがコメント2000件目キリ番記念特典リクエスト回です。
@tohrusanさんリクエストの新二くんの高校時代の憧れ委員長女子鶴田さんのお話し始まり始まりー!
☆ ☆ ☆
ばちん!
『最低…!』
娘の前で…暴力なんて絶対にいけないこと。
でも私は激情に駆られれ思いっきり手を振り抜いた…!
新二くん…いや松方さんは頬に手を当てて床に座り込んでいる。
『最低!あんな未成年の…あんな良い娘を…!
よりにもよって女子高生に?』
新二『いや…あの…その…
元々会社がらみの政略結婚で…本気になったって言うか?
今は10は離れてても…将来的に22と32ならそこまで収まりは悪く無いでしょ?』
『そう言う事じゃ無いでしょ!
玲奈ちゃんは…好きな男の子が居て…休みの日たまに泉を見てくれたり、私の気分転換付き合ってくれたり…!
私、玲奈ちゃんに顔向け出来ないよ!』
新二『バツイチ子持ちの鶴田さんを正妻は家的に難しいんだ。
だから玲奈さんが正妻で…鶴田さんを愛人で…迎えたい…!』
私は怒り狂っていた!このたわけは何を言っているんだ?
あの可愛い女子高生の玲奈ちゃんを正妻?私を愛人?
なめんな!
高校生時代の同級生、松方新二くんに再会した時、それは綺麗な女の子を連れていた。
その子は一瞬考え込んで新二くんの義妹と名乗った…。
その玲奈ちゃんが間に立って私たちの再会は友人関係に発展して…ほんの少し意識する関係性になった…。
それを…この男は…!
思い出しても腹が立つ!この男にも知らずに友人付き合いしていた自分自身にも!
☆ ☆ ☆
私が自分で言うのもなんだが成績優秀、品行方正で通っていた。
…クラス委員長に立候補して多少内申とか意識しつつも曲がった事が嫌いな女の子。
一般家庭出身の私は成績優秀ゆえ特待生で私立高校へ入学した。
その頃会ったのが松方新二くん。
彼は県内屈指の大企業松方グループの御曹司。
成績は悪く、変な取り巻きも多い問題児だった。
その高校は結構なお金持ち私立でお金持ちの子が多かったけど松方くんの家はその中でも1番の影響力があった。
どの業界にも影響力があって大人気なく権力を行使する家って評判は強く入学数日で松方派閥を形成して独自の世界を築いている。
『(ま、私には関係ないかー。)』
松方軍団はチャラい男の子2人に派手な女の子2人で構成されていた。
なんかあると『新二くんが!』って言う取り巻き。
…提出物には関係無いでしょ?
溜まりかねて松方くんが1人の時に思い切って聞いてみた。
『ねえ?松方くん今大丈夫?』
新二『え?ああ。大丈夫だけど…。』
校則、クラスの決まりごと、提出物の事を聞いてみたのね。
別に松方くんが文句言ってやらない!なんて宣言した事は無いらしい。
『じゃ良いよね?なんかあったら確認するよ?』
新二『うん、どうぞ。』
次の日、クラスの委員会決めでどうしてもやりたくない娘がゴネた。
女子『新二くんが言ってるからぁ!』
私は本人に聞いてみる。
『松方くん?本当?』
新二『…いや?クラスで決めたならその通りするが。』
女子『そんな新二くん!』
ばっかじゃないの?
女の子はその後も理由つけてゴネた。クラス委員長押し付けられた私より忙しい訳ないでしょー!って生ぬるい目で見てたけど。
それ以来時々松方くんと話すようになった。
松方くんの学校での評判はルールを無視して好きな事をしてる享楽的なダウナーみたいな感じ。
…私が見る限りは面倒くさがり屋で少しわがままちょっと人間不信で内気な男の子って感じ。話せばわかってくれるしね。
取り巻き女子が新二くんに色目使うな!とか詰められた事もあったけど私は全然男の子に興味無くって真っ向否定した。
松方くんとの関係は堅物クラス委員長と問題児って感じだったわね。
取り巻き以外には敬遠されがちな松方くんは物怖じせず話しかけてくる私は珍しいみたいで話せば結構返してくれる。
年が変わる頃にはその形が定着していた。
松方くんは取り巻きに少し心を許して楽しそうに学校生活を、
私は大学も特待生で行くために進学クラス入りを目指して頑張ってた。
ある日の放課後、担任の先生に頼まれて空き教室に置いてある資料を取りに行くよう頼まれる。
教員室を出てその教室へ向かう途中に松方くんに出会った。
…珍しくひとり。
新二『委員長おつかい?』
『そうなの!松方くん手伝って?』
新二『良いよ。』
松方くんはワガママで面倒くさがりではあるが話がわからない人じゃ無いし、決して噂されてるような暴君じゃないこと私は知ってる。
むしろ私の方が怖いよ?提出物忘れる松方くんに怒るからね?
…そういう時、松方くんは少し嬉しそうな顔をする。
言ってくれる人居ないのかな?
雑談しながら4階の校舎の隅、使われてない空き教室に先生の壁かけの地図があってそれ明日使うから私たちのクラスに置いといて?って先生のお願いだった。
松方『…待って。』
空き教室から話し声?
松方くんが私にしー!って静かにってジェスチャー。
男1『松方くんって結構使えなくない?』
男2『あれだけ権力あればもっと好き放題出来るのにさ!もっと好きに振る舞えば良いのに!』
女1『わかる!あたし付き合いだしたらマンションとか貰えるもんだと思ってた!』
『(そんなわけあるか。)』
突っ込まざるを得ない!
女2『でも新二君譲ったんだから?フォローもするし見返りお願いよぉ?』
女1『天下の松方グループ社長夫人に私はなる!』
『『『ぎゃはは!!』』』
もうわかるよね。松方くんの取り巻き4人だった。
4人は好き放題松方くんがくれたもの、奢ってくれたものをくさして貶めた。
そして松方くんと付き合ってるって言った女の子が取り巻き男子とキスしてる…!もう一組も!!キス初めて見た!
あ!
横を見ると松方くんは見た事ない表情でそれを眺めていた。
『行こう!こんなの見ちゃダメ!』
私が松方くんの手を引いて屋上へ連れ出す。
松方くんは呆然としてて、
松方『…友達だと思ってたんだけどなぁ…。』
向こうはそうは思って無かったんだね…。
松方くんの独白を聞きながら相槌を打つ…でも何も言えない。
松方『…初めての彼女だったんだ…あはは。』
本当に傷ついてる人にかける言葉が無いって初めて知った。
…小一時間後、
松方『…お望み通り好きに振る舞わせてもらう…!』
一緒に空き教室へ戻ると…
4人はもう居なかった。とりあえず目の前で事件は起こらずに済んでホッとしたよね。
教材の地図を回収して教室へ運ぶのを松方くんは手伝ってくれた。
ありがとう♪って言うと照れた笑顔で松方くんは1人で帰って行った。
『(お金持ちはお金持ちで大変なんだなぁ。)』
そう思った高1の冬だった。
翌日、松方くんは取り巻きを無視し始めた。
無視された取り巻きは苦笑いして、機嫌を取るように笑い、最後は怒って見せた。
同じ教室に居て気が気で無い。
昼休み。
女1『新二くん!なんで無視するの?
私なにかした?』
女2『私たちはともかく!1ちゃんは彼女でしょ!無視しないであげて!』
男1『言わなきゃわからないよ!新二くん!』
男2『…俺たち【ともだち】だろ?』
松方くんは無表情に、
松方『【ともだち】だったな…。』
松方くんは4人を外に連れ出した…。
昼休みに終了直前松方くんは戻って来た。
…ひとりで。
…4人はその後一度も登校せずに退学した…。
何があったのー?!
それ以後も私は普通に松方くんと接する。
…多分彼はそうして欲しいはず。
普通の男子と同じように扱い、時には叱る。
そうすると松方くんは嬉しそうだった。
4人の事件が広まり松方くんは完全な腫れ物状態。
敬遠されがちで恐れられる男の子。
私は勉強熱心なクラス委員長としてそれぞれお互いの学校生活をおくる。
進級してクラスが変わってもこの奇妙な委員長と問題児の関係は変わらず。
すれ違う時手を振ったり、たまに立ち話もする。
その奇妙な関係は在学中ずっと続き、
なにかあれば鶴田さんに言って貰って?みたいな松方くん係みたいな扱いをされた。
…別に普通に話せば良いのにね。
念願叶って私は特待生では無いけど県の名を冠した国立大の合格を勝ち取って私は卒業する。
松方くんはよく知らない私大へ進学するとのこと。
卒業の日、私は松方くんに呼び止められた。
松方『鶴田さん!卒業おめでとう。』
『ありがとう。松方くんもね♪』
あの日のこと以外を笑い合いながら話し込む。
『じゃあ行くね?元気でね!』
松方『…!
鶴田さんも元気で…。
素敵な大学生活を…!』
『うん!松方くんもね!』
松方くんは何か言いたそうだった。
私はあまり気にしないで泣きじゃくる友達の宥める為に女子の輪へ戻った…!
それ以降松方くんとは大学違うし、会うことは無かった。
☆ ☆ ☆
後編に続く。
偏差値普通程度の私立高校でしたが鶴田さんは成績優秀品行方正でした。
普通に良い大学へ入り、普通に良い企業に就職しますw
リクエストありがとう!
鶴田さんの背景は考えてたけど掘り下げれたw
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます