第432話 3ー1=1で2+1=4【side立花望】

ひー『…そうゆうもんだいじゃないでしょ。

ここにすわって…?』


あたし(15)と兄ちゃん(16)は弟(5)に正座させられた。

いつもの2枚の布団の上で。

涙目ひーちゃんに逆らえる者など我が家に居ないっ!


『どうしたの?ひーちゃん?

一緒にねんねしよう?』


まだちょっと早いけどあたしは大会中だし、兄ちゃんは連日忙しそうで夜も遅い。

仲直りできたばっかだし?勿体無いけど寝落ちするまで兄妹でおしゃべりしてまったりゴロゴロしよう?


『ねんねはする。

でもだいじなおはなしするの。』


兄『…ごめんな、俺たちがケンカして1番しんどいのはひーちゃんだったんだよな。ごめんひーちゃん。』


あ!そっか!


『ごめんね、ひーちゃん…。』


あたしばっか悲しい、悔しいって怒ってるけど…

ひーちゃんはケンカが嫌い。

どんな時でも話し合ってケンカしないで解決するようにしてるって幼稚園でも先生が褒めてるって聞いた…。


あたしはフォローするように、


『でもまあ兄妹ケンカだし?今はもう!すっかり仲良しー♪』

横で正座する兄ちゃんの肩に頭預けて仲良しアピール!

あたし兄ちゃん大好きだもーん!



ひーちゃんはその光景を見てニッコリ♪

ほら!おいで!


…でも今日は懐柔できない?

ひーちゃんはニコニコ笑顔を無理に無表情にしてあたし達に問いかける。

※口はニヤッとしてます。


ひー『なんであんなこといったの?

たまにけんかはしちゃうよ。でもあんなこといっちゃダメでしょ!』


ひーちゃんはお怒り。

兄ちゃんもあたしも少し考え込む…。


兄『うるさい奴とか…うざいとか?』


『そんな事言ったの?!』


えっ?ひどくない?

あたしそんなに大したことないはず…?


『無自覚ハーレム主人公とかだっさとか気持ち悪いとか?

嘘つき、エロガッパ、グレた、変な女に引っかかってるんじゃないの?とか言ったけど…。』


兄ちゃんは顔を引き攣らせて、


兄『お前が俺をどう思ってるかよくわかった。

人の皿からウインナー強奪して行ったし…。』

※根に持ってる。


あれあれ?仲直りしたはずなのに…。


ひー『ちがうでしょ!

にいちゃんも!ねえちゃんも!ひーだけいればいいっていったの!

だめでしょ!そんなこといっちゃ!!』

421話 ひーちゃんサンドイッチ 参照↓

https://kakuyomu.jp/works/16817330656200078233/episodes/16818093080480100183



ひーちゃんのボルテージが上がる…!

アレは…その…言葉のあやで?


しどろもどろに弟に弁解するあたしたち兄妹。

ひーちゃんは怒りながら、


ひー『きいて!ぼくのはなし!

…にいちゃんとねえちゃんがケンカしてぼくさみしかったんだよ?

ぼくはにいちゃんとねえちゃんをなかなおりさせたくてがんばったけどダメだった…。』


あたしと兄ちゃんは視線を交わす…確かにケンカ後にひーちゃんが飛んできてにいちゃんが仲直りしたがってたよ?とか一生懸命に間を取り持とうとしていた?…反省…。


ひー『ぼくは…かなしいよ。

にいちゃんもねえちゃんもだいしゅき!だいしゅきなんだよ!』


兄『兄ちゃんも好き!』

望『姉ちゃんも大好き!』


ガバッと抱きしめ合う三兄姉弟!

うん!うん!わかったよ!

ごめんひーちゃん!もうわかったから説教おしまいにしてゴロおしゃしよ?

※ゴロゴロしながらおしゃべりの略



ひーちゃんは真面目な顔して、


ひー『ひとりへったらさみしいしかなしいよ!

じょうだんでもそんなこといっちゃダメなんだよ!3-1=1なの!

だから2+1=4なんだよ!!』



???


あたしと兄ちゃんの頭の上に?

ひーちゃんはまだ数字の概念があやしい…。

まだ5歳だもんね?あたしも兄ちゃんも優しい目で可愛い弟を見つめる。



ひーちゃんは泣きながら説明し始める。

台所からリンゴとオレンジを何個か持って来た…。


ひー『…しゃんこ…りんごがあってね…。

こりぇがぼくたちだよぉ。』

※3個りんごがあってね?コレが僕たちだよ。


あたしたち3人の前にリンゴを置く。

うん3個。


ひー『…みんなでにぇんにぇしゅると…ねるまでいっぱいおはにゃし…しゅる…。』

※皆んなでねんねすると寝るまでおしゃべりするよね。



兄ちゃんが鼻紙を当てて鼻をかませて、あたしが涙を拭いてしばらく撫でるとひーちゃんは泣き止んだ。聞こうじゃないか?



ひー『ねるときのおはなしはたのしいよ?

ぼくとにいちゃん。』

兄ちゃんリンゴとひーちゃんリンゴの間にオレンジを置いた。

…オレンジが会話って事だね。


同様にあたしと兄ちゃん、あたしとひーちゃんの間にオレンジが置かれる。

リンゴとオレンジで数を学ぶのはいつ以来?懐かしさを覚えるよね。


三角に配置された3個のリンゴ、その間に3個のオレンジ。

ひーちゃんには見た目でわかりやすいのかもだけど…あたしたちには見せられなくても数字の概念がある…説明要らない…けど可愛い弟が一生懸命に兄姉に説明してるっ!可愛いよぉ♡


ひーちゃんは真面目な顔で、


ひー『もともとはふたりきょうだいだった…。』


ひーちゃんは自分のリンゴを退かす。

あたしと兄ちゃんのリンゴの間にオレンジは1。

ひーちゃんリンゴが無いからあたしーひーちゃん間、兄ちゃんーひーちゃん間はオレンジを退かす。

あたしと兄ちゃんリンゴ2個に間のオレンジ一つ。

これが3-1=1ってことか…。


ひー『…きょうだいふたりなら…おはなしはいっこだけ。

ひとりいないと…ふたりでしかおはなしできない!でも!

ぼくがいて3兄妹なら!』


なんと言う事でしょう…

あたしと兄ちゃん間のオレンジ一つに対しひーちゃんが生まれて三角になると会話は3個!あたしー兄ちゃん、あたしーひーちゃん、兄ちゃんーひーちゃんの3種類!


ひーちゃんはドヤ顔で、



ひー『しゃらに(噛んだ)…みんなでおはなし!』


ひーちゃんは止め!とばかりに三角の真ん中にオレンジを置いた!



『『おおぉ…!』』


ひー『ふたりではなすときもあるし!さんにんではなすときもあるでしょ!

おはなしもっとたのしくなるんだよ?』


兄『コレが2+1=4…なんか頭こんがらがって来たけど一つ言える…。』


兄ちゃんが納得したようなしてないような?


兄『ひーちゃん天才!』

望『わかるぅ!!』


ひーちゃん!ひーちゃん!

あたしと兄ちゃんはひーちゃんを2人で胴上げ!

数字の概念が定まって無いから思いついたかな?

会話のバリエーションなんて思いもつかなかった。

幼児なりにすっごい考えて兄姉を納得させる為に振り絞ったんだろう。

もう!可愛いよぉ!!


わっしょい、わっしょい!

仲直り祭りだ!

仲直りの妖精を讃えるまつりだぁ!


10分ほどひーちゃんを胴上げしたあたしたちは笑いと疲労でひーひー言いながら布団に崩れ落ちた。


ひー『たのしかった!わっしょい!』


望『ひーちゃんが大事な事に気づかせてくれたね?』


兄『ひーちゃんは仲直りの妖精だなw』


ひー『えへへ♪』


兄ちゃんは真面目な顔して、


兄『なぁ?ひーちゃん?

もし弟が産まれて…4人兄弟になったら…さらに3人の会話バリエーションが増えるから…!』


123,124,134,234って兄妹で話す3人会話のバリエーションが足されて会話組み合わせは8になる!4の倍!

つまり兄妹が1人増えると幸せが倍になる!

ひーちゃんはおめめキラキラさせて、


ひー『よにんきょうだいなら3+1=8になるのぉ?!

あしゅおかあしゃんにおしえてあげなきゃ!』

※11でしたwコメント欄でくろとりさんから指摘頂きました!

ありがとうございます!ひーちゃん的に倍!倍だよぉ!って喜んでるのでこのまま行きますw


ひー『じゃあ!なかなおりのちゅう!ちゅうして!』


まずい…あたしが毎回要求してるやつ!

※毎回望は仲直りのちゅうを熱烈濃厚なやつを要求しています。


この年で仲直りのちゅうは犯罪だよぉ!

…あたしとにいちゃんはひーちゃんを接待しまくった…

背中を掻いてあげながら耳掃除…!

これでひーちゃんはイチコロ☆


ひー『…やめてぇ…ねむくなっちゃう…よぉ…。

すぴー…すぴぃー。』


兄『こんなに小さいのに色々考えてるんだよな…。』


『ひーちゃんは天才かも知れない…。』


あたしは姉バカだけそど兄ちゃんも兄バカなのでひーちゃんの天才性について寝るまで熱く語り合ったよ…!


☆ ☆ ☆

翌日、朝食時。


ひー『ありぇ?ありぇ?』


ひーちゃんは昨日みたいにうまく弟生まれたら楽しくて幸せが倍になる!

今までの4が8になるってプレゼンをしたが今日は上手く母さんに伝わらない。


ひー『だからね?おとうと!おとうとがほしいよぉ!』


祖父『じいちゃんが作ってやる…。』


祖母『…まあ♡』


そしていつものオチで立花家の慌ただしい1日が始まるよー!

仲直りしたし!シューズも新調したし!

行ってきます!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る