第416話 お使いゲーム

新二『ダッシュでハミチキ五個とコーラとポテチ買って来て?

戻ってきたらゴミ捨ててトイレットペーパー交換。

そのあとウーバー来るから受け取って支払っといて。』


ポンって電子マネーカードを手渡された俺はダッシュでマンションを飛び出す!


500m先の!ハミマ!


『ハミチキ…5つ…ください…。

あ!揚げてどれくらいですか?』


店員『今三個しか無いですね…少し前です。』


『待ちます!揚げて貰えませんか?

出来たら…全部揚げたて…。』


『…わかりました…お待ちください。』


なんか松ちゃんはこうゆうのうるさそうな気がした。

揚げたての方が喜ぶのでは?


待ってる間に…コーラ。

…やべ銘柄聞くべきだったか?

普通なら超有名な赤いアレ。ZEROな黒いのどうなんだろう?

それともペプシィか?

店内にあるのは赤、黒、ペプシィ普通…。

…部屋のゴミは赤のコーラ!


俺は揚げたてハミチキと赤いコーラを3本とポテチも買ってダッシュで!

炭酸だから細心の注意を払って急ぎ戻る。


新二『…おう、早いな。』


おせえよ!カスが!とか怒鳴られるかと思ったがそんな事は無かった。

ハミチキ、コーラ、レシート、電子マネーのカードを返して即トイレでペーパーを替える!

トイレ広い!要る?トイレに余裕って?


トイレから戻ると、

ウーバーはクレジットカードで払うからこれな?ってカード渡された。

…不詳私…クレジットカードを取り扱った事が無いのです…。


新二『高校生ってカード持ってないんか?

カード切って控え受け取るだけ。

モノによるしよくわからんがたまにサイン求められたらその場所に自分の名前書くだけ。』


『人によるのかな?俺は持って無いっす。

松ちゃんの?松ちゃんの名前書けば良いんですか?』


『誰が松ちゃんやねん!

なんかボケなきゃいけないみたいだろ!』


でも満更じゃない感触…?

後で香椎さんに聞いたけどあだ名つけられた事無いんだって。

だから『松ちゃん』が黙認されたんだ…。


ウーバー来るのもうちょっとかかるみたい。


新二『ん。』


『はい?』


新二くんが何か差し出した。


新二『やる。コーラも。』


俺は嬉しくなっちゃって!


『良いんすか?』


松ちゃんは渋い顔しながら、


新二『俺は昔からケチって思われんの嫌なんだ。

実際金持ちだし?だっけお前の分。』


松ちゃんはむしゃむしゃ4個のハミチキを美味そうに食べた。

このあとウーバー来るんですよね?

俺もハミチキ美味しく頂いた!

…コーラ美味い。

久しぶりに赤いコーラを飲んだけどガツンと来る…!



新二『ダイエットしたいならコーラなんか飲むなって話し。

まあ喉乾いてる時やモノによってはZEROのコーラのが合う時もあるけど俺がコーラとだけ言ったら500の赤い奴な!缶でも良い。』


『了解です!』


このあとウーバーでラーメン、餃子、チャーハン、酢豚が届いてそれも新二くんはペロリと平らげた。食うなぁ…美味そう。


新二『あんま美味くない。』


残さず食べといてそう言うと、


その後ゲームしながらポテチ食ってコーラで流し込む…!

なんて贅沢を…!

金持ちパネェ!


松ちゃんがゲームしてるのをずっと後ろで見てる。

最新のゲームすげぇ。

映像綺麗で全部ボイス入って…しかもオンラインプレイ!


俺は飽きずに後ろでずっと見ている。

松ちゃんは嫌味な言い方で、



新二『ずっと見てんのつまんないだろ?

お前もやりたいか?』


俺は正直に答える。


『いえ、最新のゲームすげー!って思って見てるから面白いっす。

すごい滑らかなんだけどこれはPCの性能なんすか?』


新二『これはな?グラフィクボードとCPUの…』


宏介におじいちゃんと言われたほど俺は最新のPCやインターネット界隈に弱い!

スマホ使うようになってまだ一年だしね…。

知ったかで話してボロが出るほど格好悪いものは無い。

大丈夫、俺は張飛、李逵だ。

無知な弟!高校生だし知らん事は多いんだから素直に聞け!


『俺さっぱりPCとかオンラインのゲームとかわからなくって…。』


松ちゃんはニヤッと笑って、


『まじかー!スペックが…!』


信じられないほど松ちゃんは饒舌にPCの性能やスペックについて語る。

ちんぷん過ぎてスペックって性能を意味するってわかってても…

バキバキに出て来る死刑囚が自由の女神に無呼吸連撃入れてる絵しか浮かばない…!


新二『まぁこれほどの性能はなかなか無いんだぜ?』


少し鼻の穴膨らませて誇らしげに松ちゃんは胸を張った。

すごいんだこれ…。

ちなみに金額はとんでもない!

俺これ触りたく無い!



松ちゃんがゲームしてる間にゴミをまとめて分別しておく。

普段どうしてんだろ?

そう思うと、


新二『普段はさぁ、通いの家政婦さんが週2で不在時に家入って片付けしてゴミ捨ててんの。』


『なるほど。』


1人暮らしは気が楽だけど面倒も多いって松ちゃんは呟く。


『…1人暮らし…夢がある。

でも寂しくないんですか?家族と会えないけど。』


松ちゃんはゲームする手を止めて俺をまじまじ見て寂しそうな顔で


新二『…お前は幸せな家の生まれなんだな。』


松ちゃんはその日もう話してくれなかった。

…人には触れて欲しい場所と触れちゃいけない場所がある。

そこんとこ香椎さんは上手くて…もう一回新二くんの話し詳しく聞きたいって思った。



それでも怒ってる訳では無いらしい。

なんか不機嫌…ってよりは神経質そうな感じで松ちゃんは、


『今日はもう良い。次は火曜日?夕方な?』


『はい!また来ます!』


俺は笑顔で元気良く答える!


明日…日曜日だけど香椎さんに会えないだろうか?

もう22時だから…明日香椎さんに相談してみようかな。


まだ初日だけど松ちゃんはそんなに悪い人じゃ無い。

…まだわかんないけど…。

最低でも死ぬほど理不尽でも無いし、ハミチキくれたし、少し話しが出来た。

…香椎さんの言うとおりコンプレックスや心の傷、色んなものが混在しているんだってわかった。

それが分かれば十分!俺は真心で接するだけ!

三か月で信頼を得て…なんとか試用期間をパスしなきゃ!



なんて考えながら自転車で帰る途中香椎さんから連絡が来た。

ひーちゃんに用事があって明日家に来るんだって。

なんだろう?

丁度良い!俺は松ちゃんの理解を深める為にも香椎さんに会う必要があると思っていたんだ。

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