第409話 松方新二と顔合わせ

そして翌週。

ついに…松方新二と会う…。


ターミナル駅前高層ビルの有名中華のお店!

スーツとか着てった方がいい?って香椎さんに聞くと普段の服装でちょっとピシっとしてれば良いとのこと。


あまり使わないジャケット羽織って黒のスラックスに白のシャツとフォーマルっぽい装いで向かう。


ターミナル駅前で待ち合わせだけども香椎さんと一緒には行かない。

駅前待ち合わせて、一緒に中華のお店へ入る。

松方新二はもう入っているようだ…。


香椎『緊張しないで…って無理だよね。

…ごめんね、巻き込んで…。』


好きすきでやってるんだよ。気にしないで?

それよりよろしくね。』


『…うん。』


香椎さんと特に打ち合わせは無い。

強いて言うならまずいと思ったら間に入って欲しいってことだけ、

そんなの香椎さんは大得意。

誰に昔からクラス委員長して人と人の折衝やコントロールしてきてるからね。


…よく見れば今日も香椎さん超綺麗。

薄い黄緑のジャケットに白いブラウスにチェックのスカート。

そんなこと気付かなかったほど緊張している?


ふふー!

俺が笑うと、香椎さんはあ!って顔してにっこり笑う!


そうだよね、まずは顔合わせ!

相手に敵意や害意を持っては心は獲れない。

まずは顔あわせて、話しをして、心通わせねばならない。


エレベーターで上へ…え?まだ上がるの?!

貧乏な家の俺はこんな高層階になんて展望台以外登らない!


ちん!


ここ中国やないけ…

※行った事無い。



言葉使いまで変わっちゃうほどのカルチャーショック!

何ここ?!観光地?!


横の香椎さんが落ち着いているので我に帰る…!


(のぞひーが来たら大喜びしそうなチャイナワールド!)

そんなことを思った。



店員『…ご予約の松方さまですね…どうぞ?』


名乗らなくてもわかんの?!

物腰穏やかで細々気遣い!俺取り入れたい!

高級感!店の雰囲気!非日常感!

すげえ!俺は感動しつつも、景虎さんのへらっしゅー!!が恋しくなってきた…!





予約の部屋前、


香椎『ここだね。多分個室だよ。』


『個室?!』


香椎『なんか落ち着かないから個室好きだね、新二くん。』


お高いんでしょう?口からそのワード何回も出そうになってる。

店員さんがノックして

お連れ様到着されましたって中に声かける。



がちゃ。



不自然に広い部屋。

高級そうな調度品。

でも円卓一つ。


赤を基調とした部屋は俺には場違いで気落ちさせられそうになる…!

横を見ると…


香椎『…。』


香椎さんが心配そうに俺を見つめている…!

俺だっせ!

好きな娘の前だろ!

背筋を伸ばせ!胸を張れ!


『…失礼します。』


一礼して入室する。


円卓に上座?部屋の位置からすると上座?ってところに彼は居た。

見た目は30過ぎ位?

太ってる男が猫背で待っていた。

視線はキョロキョロしていて落ち着かなさそう。

聞いてた通り小心者っぽいようなコンプレックス多そうな人物に見える。

…宏介が言うにはそういう人こそ危ないって。




新二『玲奈さん!こっちどうぞ?』


玲奈『新二くん、紹介するね。

こちらが…私の同級生の…立花 承くん。

ずうっと色んなイベントや色んな事を協力しあって来た…


大事な大事なひと。』


大事な人…なんか響きがいいね。

※緊張であんまり響いていません。


新二くんは目を細めて俺をまじまじ観察するような…居心地悪い時間…。



新二『コイツが?コイツが前から言ってた?』


香椎『はい♪』


…俺…話に出てた?

何言われてたのか…?

※玲奈は新二に前から好きな人が居ると。将来を共にしたいって言っていました。


通り一辺倒の挨拶を終えて食事が運ばれてくる。

どれも美味しい!…んだけど正直味がわかんない…!

それどこらじゃないんだよぉ!


香椎さんが上手く回している。

話を偏らせず、新二くんか俺にわからない話はほとんどせずに上手く回す。

どうしても知らない話題になる時は間に冗談を交えながら前説明を手短にわかりやすく入れながら会話を振って広げて畳んで…司会とかMCも出来そう。

そう言えば女子アナとかなりそうとか言われたっけ。

香椎さんの有能さに震えつつも和やかに少し打ち解けつつ会食は進む。

…正直思った以上にスムーズに会話がなりたつ…!

恐るべき香椎さんのトーク術とコミュ力!

伊達に乱れ切ったクラスを統率してないぜ!って思ってた頃あい。



香椎さんが花摘みに離席した…!

俺と新二くんの間に緊張が走る!

今までは香椎玲奈って言う絶妙かつクッション性の高い緩衝地帯があった。

ついに新二くんとサシで話せる場面!


玲奈さんが好きなんだから無理は言わないよきっと本人の前では。

…俺と2人きりになって初めて出るはずの新二くんの素。

先に口を開いたのは新二くんだった。



新二『…玲奈さんから色々聞いてた。

…正直もっとイケメンの陽キャが来るのかと思ってたわ。』


『…イケメン陽キャなんてとんでもない。』


俺がいかにぼっちで陰キャだったかちょっと自虐ネタっぽく…ネタじゃ無いわ…!


新二くんは少し笑って、


新二『聞いてる通りだな。』


どんな事聞いているんだろ?

香椎さん俺の事どんな話しをするんだろう?


新二くんは気だるげに、それでいて俺を観察しながら聞いて来た。


新二『…それで?今日は何しに来たんだ?』


俺を警戒するように横目で睨め付けるように新二くんは俺を見ている。

ここは嘘ついてもしょうがないし、普通これしか無いだろう。


俺は席を立ち、大きく頭を下げてハッキリ聞こえるように声を張りながら新二くんに向かって、


『…香椎さんを…香椎玲奈さんを解放してあげてください。

彼女が申し出ている…婚約破棄受け入れて頂け無いでしょうか?』



新二くんは一言、



新二『…嫌だよ。

俺は玲奈さんが欲しい。』


そう言うよね…。

俺だってそんな簡単に香椎さん諦められないもん。

そこだけはわかる!

俺は言葉を続けた…!

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