第405話 うちの弟まじ天使

ひー『ただいまー!にいちゃーん!』


香椎さんを家に送ってちょうど家に戻った21:00、出かけてた家族が帰って来た。父、母、望、ひーちゃん。

祖父母は北海道へ旅行中。


食料品の買い出しも兼ねてたので車から降ろすのを手伝う。

7人家族で健啖家しか居ない我が家はエンゲル係数が高いのだ…!


父『おー!承ありがとなー!』


米10kgとか牛乳とか重いモノをメインに車から台所まで運ぶ。

お!コーラがある!


母『承ご飯食べた?』


…正直それどころじゃなかったんだよ!

でもそんな事言うと手を煩わせちゃうから適当に食べたって言っちゃう。

母はニコニコしながら、


母『ひーがね?兄ちゃん最近ちゅかれてるからコーラ買ってあげて?ポテチもいい?っておねだりしてたんだよ?おとうさんにもビール!って(笑)

たぶん、あとでひーがサプライズで出して来るだろうから…今日だけよ?』


俺…飲み物ではコーラ大好きなの…!

部活終わりはポカリだけど他場面では選択できるなら大体コーラ…!

夜にお菓子やコーラはダメ!って我が家。

自分で買ってこれば全然出来るんだけど…母から許可おりた…!


ひー『にいちゃんがんばれ♪』


大きな袋を車から降ろす時ひーちゃんが応援する。


望『ほら!ねえちゃんも頑張ってるよぉ!』


ひー『ねえちゃんもがんばれ♪』


迅速に台所へ運ばれる食料品。

それを母が手際良く冷蔵庫や野菜保管場所に収納していく。

…食い盛りが多いから…膨大な量…。

やっぱりエンゲル係数高いよね…。


ひー『おとうさんおちゅかれさま!ビールだよ!

おかあさん!あとでかたトントンしてあげるね?』


ひーちゃんは家族の間をニコニコ動き回っていた。

…我が家のエンジェル係数も高くない?



☆ ☆ ☆

望『おつかれさま!兄ちゃん?今日どうだった?』


…どこから話したものか…?


望『成実ちゃんとデート!

ひひひ♪デート経験のないJCにデート教えてよ♪』


望に男とデート経験あるって言われたらそっちのが俺ショック!


『…まあお風呂入っておいで?』


望『はーい!ひーちゃんいこ♡』


望はひーちゃんの返事も聞かずにひーちゃんを抱えてお風呂場へ向かった。

サーフボードを抱える人みたいにひーちゃんは小脇に抱えられて連行されて行った…。


…俺は今日一日を思い出してちょっと呆けていた。

伊勢さんに起こされてラーメン食べてインターネットカフェのカップルブース的なトコでふたりきり…帰り雨に打たれて…濡れ透け成実さんになっちゃって…慌てて帰ったら今度は濡れ透け玲奈さん…

『抱いて』とか『処女なの確かめて』とか『初めて』とか脳をエグるワードに…

婚約問題の諸々。


俺の頭、小さい器では処理しきれない膨大な難問の数々。

俺はそのことをずーっと考え込んでいた。

考えたって考えたって答えは出ないけど不思議と考えを止める気も諦める気も無かった。


ひー『あがったよー♪』

望『ひーちゃん!頭拭かないと!』


『頭拭くより!望は服着ろ!』


はしたない!

望はパンツだけで出てくる!一応バスタオル羽織っては居るんだけ…おっぱい小さいから良いけど…以前これを口に出してビンタされた上に半泣きって言う最悪の被害者ムーブかまされたのでそこは言えない。

兄妹でも口にしちゃいけない問題もあるのだ。



俺もさっと風呂入って上がるとそろそろ22:00。

ここ最近寝不足で…頭に靄がかかっていたけど…今はスッキリクリア!

考える事はいっぱいだけど頭は回る。


風呂上がり、部屋に戻ると、


ひー『ね!にいちゃん!さいきんおちゅかれさま。

にいちゃんのだいすきなコーラとポテチどうぞ♪』


いいの?!


すっかり忘れてた!


お母さんから許可も貰ってる!この時間にお風呂あがりコーラ!そしてポテチ!

背徳感が…たまらない!

しかもひーちゃんが注いでくれる!


ひー『おーっとっとっとぉ♪』


ひーちゃんのモノマネ、お父さんのビール注がれる時のリアクションを注ぐ側がやってる(笑)


望『姉ちゃんも!姉ちゃんにもくださいな♪』


ひーちゃんはりんごジュース。炭酸は刺激が強いらしい。


ひー『ぼくもたんさんのめるおにいさんになりたいよぉ!』


部屋の真ん中の小さいテーブルで背徳のポテチパーティー。

パーティー開けしたポテチをパリパリ食べながら何処で夕飯食べたん?キャリーケース買ったの!ぼくなかにはいれるよ!なんて兄妹弟の語らい。


望『成実ちゃんとデートどうだったん?』


まあ軽く…説明して…


『…で、帰ったら香椎さん来てて…濡れてたからシャワー浴びて貰って…

あ!望の下着借りた!着て貰った!

ごめんな、修学旅行用だったのに。』


望『は?そんな事いいよ!

それより!香椎先輩うちでシャワー浴びて?!それから?それから?』


『…まあ色々話したよ…。』


望『へ?それだけ?本当にそれだけ?』


『それだけ。』


望『指一本触れて無いの?』


『まあ。』


手を握って好きって言っちゃったけど…妹にそこまで言う必要無いでしょ!



望『ふー。でも…成実ちゃんに香椎先輩…今日すごいね。』


ポテチを食べ終わるころ、気づけばひーちゃんは舟を漕いでいた。

グラングランに揺れてて大変!


ひー『あしゅから…にぇえちゃんいないから…しゃみしぃ…

にいちゃあ…かわいしょうだからぼぉくが…いっしょににぇんね…してあげうぉ…。』

訳 明日から姉ちゃん居ないから寂しい。

兄ちゃん可哀想だから僕が一緒にねんねしてあげるよ。


望『ほら!兄ちゃん!布団!

明日から修学旅行でひーちゃん成分補充しておかなきゃ♡』


こうして、また3人で寝る事に。

布団を真ん中にふたつ並べて3人で横になる。


ひー『にーちゃあ…にいちゃぁ…。』


眠くてたまらないふにゃひーはすっごい可愛い。


望『あたしが明日から居ないのに…!』


望は悔しそうにねむねむのひーちゃんを見つめてる。


ひー『くぴー…くぴぴー。』


ひーちゃんねんね!

望ももう眠くなってきたみたい…。


望は眠くなると爪をイジる癖がある。


望『…にいちゃん…あたしもそっちにいく…。』


『え?狭いよ?』


望『いいもん。

あたし居ないとさみしいでしょー?』


『はいはい、寂しい、寂しい。』


望『えへへー。旅先で何か見つけたらロインおくるね?』


そう言って…甘えん坊の妹はいそいそ俺の布団にうとうとしながら入って来る…。

修学旅行楽しみだろうけどひーちゃんと離れるの寂しいんだろうね。


望『えへへ…間にはいっちゃお♪』


望は俺とひーちゃんの間すっぽり収まって…


望『むにゃむにゃ…。』


こうしてると可愛い妹なのにな…。

もう中3で…だんだん女の子らしくなってきて…

きっともうじき3人で寝なくなっちゃうんだろうね?


望のおでこを撫で撫で…

すると!望の目がカッと開いた!


望『…女の匂いがするぅ!!』


『ばか!望!なんて声出す!?』


望『この!布団!女の子の匂いがするぅ!あたし以外の女!

成実ちゃん?香椎せんぱい?!』



勘のいいガキは嫌いだよ…!




一方で、


ひー『…だいしゅきだよぉ…。』


ひーちゃんマジ天使。

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