第394話 通り雨
成実『ほんとに寝落ちする?ぐっすり寝過ぎー!』
『だからごめんて成実さん!』
俺ネットカフェのペアシートで成実さんとまったりゴロゴロ過ごしてたんだよ。
あんな密室にふたりきり?!ってドキドキしたんだけど設備やマンガに気を取られて…好きな漫画読んでドリンクバーガバガバ飲んでソフトクリーム食べたらさ…さっきのラーメンでお腹いっぱいでもあったから気付けば寝落ちしてた。
寝落ちはまだ良い。
…起きたら成実さんの膝まくら!
…これは良いものだった…。
俺は謝り、気づけば3時間が経過して帰ることになったんだ。
少し、ブティック見てひーちゃんのお土産にお菓子買って俺たちは新川駅へ向かう。
曇り空は濃くなる。
夕方、日が落はじめた上に雲が厚い16:30新川町に着く。
降水確率35%だったけどこりゃ降るな…。
『雨降りそうだね?早く帰ろうか?』
成実『はー?散々膝まくらしたらもうデートおしまいー?』
成実さんはニヤニヤしながら揶揄うよ。
でも明らかに雨降る気配。雨の匂いが濃厚にする。
歩きにくそうな成実さんはオシャレな靴を履いている。
それも含めて濡れると困るでしょ?って言うと、
成実『そうだね、服はまだしも靴は濡れると…!』
さすがおしゃれ番長は装備品を気にし始めた。
成実さん家まで徒歩20分くらい。
少しだけ早足で荷物は俺が持って伊勢家へ向かう。
今日の話をしながら笑い、肩を叩きながら帰る。
いつものコンビニを過ぎて、いつもの歩道橋を渡らずに川沿いを下流方向に数分歩けば伊勢家がある。
…香椎邸と俺の家の丁度間にあるね。
コンビニを超えたところでポツポツ降ってきた…!
傘買う?いや、もう家はすぐそこ!
成実『あー!もう!急ご!』
『うん。』
成実『…折角のデートなのに…!』
伊勢さん優しいよな。きっと俺を気遣って…。
そう思いながらも頭は重く鈍く痛み深く考えられない。
最近ずっとこうだ。良くない。
いつもの歩道橋が見えてきた頃…!
雨が!本降りになって来た!
伊勢『ここまで来たら戻って傘買っても無駄っしょ!』
『急げ!伊勢さん!』
伊勢さんって呼んだら少しムッとした顔。
まだデートごっこは続いている…!
伊勢家へ着く頃には雨は本降りどころかゲリラ豪雨!
ざー!!って隙間のない雨が視界を悪くするほど降っている…。
まじか…。
成実『ひゃあ、濡れた!濡れちゃった!』
ロングスカートの裾を絞り、ヒールを脱いで即拭き始める成実さんは困り顔。
問題はそこじゃ無くって…
伊勢家の玄関で困った顔して髪かき上げる濡れ透け成実さんは…すっごい…。
俺あんまりそうゆう目で見ないように心掛けてるんだけど…
その…濡れてぴったり張り付いた胸部に紫のブラが透けて浮き出てるのよ!
成実『ほら、承も上がって髪とか拭きなよ?』
でも、結構濡れてるし…人様のおうちにびしょびしょじゃ上がれないよ。
成実『いーからいーから。こんな雨じゃ帰れないっしょ?』
外は依然豪雨。風も出て来て気温も下がってくる。
10分ほど玄関に座って取りとめない話しをする。
毎日会うのに話題が尽きた事は無い。
成実『上がっても大丈夫だよ?
…今日誰も居ないし…!』
真っ赤になった伊勢さんのセクシーがぐっとあがる!
これ!ダメなやつ!
成実さんはご飯食べて行く?とかパパの服でよければ着てて?その間に濡れた服乾燥機かけるよ?上がって?って親切!
でもさ?家族も居ない女の子の家に上がり込むのは…。
いーじゃん、ナニもしないでしょ?
するわけが!…無い。でも俺だって男だしセクシー成実さんにドキっとしちゃう事も多々ある訳で。絶対よくない。
俺は覚悟を決めて伝えるよ!
『成実さん!今日は本当にありがとう!
色々やらかしたけども本当に楽しかった!
どうせ濡れてもすぐ家だし俺は走って帰る!』
成実『まじ?…雨もだけど風も強いから気をつけて帰りなよ?』
時刻は17時頃。伊勢家を出る。
出る直前に望から修学旅行用のコロコロの付いた奴買って貰った!って。
…キャリーケースっていうの?
薄紫色のキャリーケースをおすまし顔で引く写真が送られて来た。
これから父さん迎えに行って、ひーちゃんのサッカーボールを買ってから外食らしい。
※薄紫は承に買って貰ったラケットの色、望は自分カラーと決めてます。
ひーちゃん最近サッカーに興味がある。まじで心臓に負担だけは勘弁して欲しい。
『今日はありがとう!また明日!』
成実さんがずっと手を振ってるから何度も振り返って手を振った!
俺は家に誰も居ない事と今日一日中一緒に居た成実さんと離れることをハッキリと寂しいって思いながらダッシュで家へ走って帰ったんだ…!
空は雲が厚く真っ暗、雨はバシャバシャ、風が轟々。
とんでも無いバッドコンディション!俺は走って家に帰った…!
…俺が見間違うはずが無い…。
家の前に香椎玲奈が立って居た…。
珍しく誰も居ない我が家。
真っ暗で暗い寒そうな家の前。
香椎玲奈は立って居た。
ビッショビショになりながら、心細そうに寂しい悲しい雰囲気を纏いながら…ただ俺の家の方を向いて。
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