第391話 胸躍る【side伊勢成実】

承『本当にごめん!』


承はさ?シャワー浴びて完全に目が覚めたんだね。

シャワー浴びて洗面所を兼ねた脱衣室から出て来て開口一番にあたしに頭を下げた。


熱いシャワー浴びたのかな?

耳まで真っ赤になってホカホカの血色の良い湯上がり承。


『…そうだよー!放って置かれて?迎えに来たら押し倒されそうになるしー?』


承『!!

ごめん!本当にごめん!』


『今日は承の奢りね?ラーメンもデート代も?』


『う…うん…。』


承は色々言いたい事ありそう。

わかるよ!

でも!今日はコレで通すんだ!


『じゃ!早く!準備して!

濡れネズミのままあーしとデートする気なの?

あと待ち時間アルバム見せろー!

15分で支度しろー!用意スタート!』


あたしが手を打つと承は慌ててアルバムを持ってくると急いで洗面所でドライヤーをかけ始めた!



☆ ☆ ☆


『…可愛いなぁ…。』


アルバムには小さい頃の承がぎっしり!

たっぷり愛情をかけて育てられたんだね?って枚数の写真が貼ってある。

赤ちゃんの承…こんなだったんだね…。

幼稚園の承は大人しそう…3月生まれだから周囲の子より幼い感じがするね…。

パパやママと一緒に写っている写真が多い。


小学校入学の写真…あ!あたし居た!

…そりゃそうだ…1年1組…あたしも同じクラスだった。

あはは!あたしも承も若い!

…若いは無いかあ。幼い。


…この頃はお互いに印象無いんだよね…。

強いて言うと大人しい子って印象だったらしいね?お互い。

あたしもお人形さんみたいに可愛い格好を好んでいてお姫様に憧れてたっけ。

承は武将に憧れてたらしいけどw

小学校の低学年〜中学年〜高学年。

望ちゃんとの写真が多くなる。

望ちゃん…男前な顔だったんだね…。

※キリッとしたやや目つき悪いショートカット娘でした。



そしてひーちゃんが産まれた!

ひーちゃんが産まれた頃から…承と両親の写真は少なくなる。

…この頃から忙しくなったのかな?

その分望ちゃんとひーちゃんと撮った写真が多い。


中学生になった承はもうあたしの鮮明な記憶通りの男の子。

…修学旅行の写真や体育祭の写真にあたしが写っていたことに満足を覚える。

中学の卒業式の写真を最後に後は白いページ…。

この後は…どんな写真が増えて行くのかな?

そこにあたしは写って…


承『お待たせしました!お待たせしすぎたかもしれません…!』


『全裸なの?』


ふたりでおなか抱えて笑っちゃう!


『ほら!急いで!』


日曜日のラーメン屋さんは混雑する。

12時頃なんてかなり待たされちゃう!

もうすぐ11時でしょ?今から行くと…うん12時前には着ける!

それでも12時前と後だと雲泥の差っしょ!


家のドアに鍵をかけると承はふーって吐息を漏らす。

そして太陽の下であたしを見て、



『今日の伊勢さん…すごく綺麗…

いつものギャル!って感じじゃなくって…初夏のお嬢さんスタイル?』


『あはは!似合う…かな?』


今日は結構暑いし?

ラーメン食べるけど手は抜けないよ。

レースアップがクラシックな感じのロングスカートとリボンタイ付きの半袖ブラウスのセットアップ。白いブラウスに薄い紫のスカートと同色のタイで合わせてる。

…いつものギャル服と違い清楚で品があるタイプ…。


承は赤くなりながら、


承『似合ってる。

子供の頃はそうゆうタイプだったでしょ?

…そうゆうのも似合うんだね。』


やった!

心の中でガッツポーズを決める。

デートってさ?色んな自分を見せたり相手の色んな面を見つける場だと思うんだよね。

だから敢えて今日、あたしはこの格好で来た。

こうゆう一面もあるよ?って。

…少し香椎玲奈を意識したこと、承の好みに寄せた事も自覚あるけど。



『承はさ?こうゆうのも好きでしょ?』


あたしがにっこり笑いかけると承は真っ赤になる!


(意識してる!うれしい!)

いちいち承のリアクションに嬉しくなっちゃう!

赤くなった承は絞り出すように、



承『…好きだけどさ…


さっきからずっと言いたかったんだけど…

なんで「承」って名前呼びなの?』


あたしも真っ赤になって怯んじゃって呼び方戻しちゃいそう!

…でも…




『望ちゃんやひーちゃんに!ここは立花しかいないから?

名前で呼んでください!って言われたんだよ?』


承『もうあいつら居ないし、家の外だよ?

もう戻して良いんじゃ無い?』


あたしは承の手を取って走りだす!

承は慌てて走って着いてくる!



『だーめ!

今日はデートでしょ?今日は名前で呼ぶよ!

あたしはもし付き合うなら彼氏を名前で呼びたいし、

私を名前で呼んで欲しい派だしー!

承!きょうは成実って呼んで♪』


手を引かれて走りながら承はあわあわしながら、



承『…成実…さん?』


チッチッチ!指を振って違うよ!って中学時代の英語教師モノマネ!

笑いあいながら小学校横の歩道橋に差し掛かる!


承は意を決したんだね、



承『成美!これでいい?成美!』


成実って呼ばれただけで…すっごい胸が騒ぎ出す…!

あたし成実って名前で良かったなぁ…!


『ほら!ラーメンが待ってるよ!行こう承!』


承『引っ張るなよ!成実!』


名前で呼ばれる!それだけで心が弾み、胸が高鳴る!

ふたりで笑いあいながら駅まで走って行ったんだ!

今あたしたちっ!青春っぽくない♪



















☆ ☆ ☆

承『…なぜ駅まで走って行けると?

俺はともかく…成実には無理があるでしょ?』


『あはぁ…あんっ…あっ…。』


…あたしはいつものコンビニに辿り着く前にスタミナ切れて息も絶え絶え…

もうダメ…走れないよぅ…


『あん…んっ…んんっ…ふぁっ…。』


息も絶え絶え…

承は呆れながらも優しく笑っててて、


承『大体、そんな状態じゃラーメン美味しく無いでしょ?

ゆっくり行こうよ?荷物持つしほら!』


承…が荷物持ってくれて…手を引いてくれる…

低いけどヒール履いてたのもいけないね?


承『ほら!こんなに真っ赤になって…

成実はしょうがないな?』


『承に言われたく無いし!』


あたしの顔が赤いのは!走ったのと!

…承があたしの名前を呼んでくれるたびに顔が熱くなるからだし!

そして自然に引かれてる手!手繋ぎ!


…でもね、手汗が気になっちゃって外した手はもう繋げない…。

手を繋ぎたい!繋ぎたいのはやまやまだけどー!

ここは絶対中学の同級生にエンカウントする場所!


あたしは勇気が無い…。

痛感しつつも


承?成実!って呼び合うだけでトゥンクってする。

…本当にするんだね…?

あたし達は駅から電車でターミナル駅に向かったんだよね…。




☆ ☆ ☆

爽やかアオハル走り描写だったけど実際は成実のバインバインが大暴れw

通行人の男が皆んな凝視してるから慌てて承が止めましたw

胸が騒ぐし、心は踊るけど視覚的にはおっぱい大暴れでした(笑)

あと吐息がえっろい♡

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る