第390話 押し倒されちゃう?!【side伊勢成実】

妙に色っぽい声を出す承にドキドキしながらあたしはそっと耳元に口を寄せて…囁く…!



『起きてよ♪デート行くんでしょ?承?』


自分で言うのもなんだけど…甘い声が出ちゃった…!

耳元で囁いてゆっくり身体を起こす。

きっと承からは見上げる格好のはず。

目を開けてぼんやりする承。



承『…伊勢しゃん…きょうかわいーね…。』



カーって顔が熱くなる!

寝ぼけてる!ひーちゃんっぽくない?



でも意識が覚醒して来たんだね…?



承『…伊勢…さん?

はは…まさか…。』


『二度寝すんなし。』


目を瞑ろうとするのに待った!をかける。


承『…今何時?』


『…10:25。』


承『うわ!俺?!

伊勢さん?!ごめん!

なんで居るの?!俺ん家だよね?!』


人はこんなに慌てるもんなんだね?

おかしいけどあたしは不機嫌を装うんだ。



『ずいぶんお待たせだよね?

女の子待たせてぐーぐーとは…漢としてどーなの?』


承『ひゃい!(※はい!)

伊勢さん?悪いんだけど…支度する…マッハでするから一度退出をお願いしたしたく…。』


『…ずいぶんだよね?

お寝坊さんの上寝転がったままで?』


承『…いや…まあ。

あの…男には人前出るに当たり…少し落ち着かなければ…』


あたしは困ってる承がおかしいやら可愛いやら、楽しくなっちゃって、

布団を引っぺがしてやろうって思ったわけ。

ジャージのズボン履いてるの確認してたから下裸って訳じゃ無いっしょ?

布団を剥がすあたしと守る承でキャッキャと遊んじゃう!


布団を剥がそうとするあたしと剥がされまいとする承で揉み合い!



『なに?なんかいやらしいブツでも隠してんの?』


承『そんなんじゃない!でも!見せられないよ!』


ふふ!あたふたする様子が可愛くってついついエスカレート!

布団を頑なに守るのがおっかしくって布団を掴む手を剥がそうとして…!

その手を逆に剥がされて、逆に布団に包まれそうになっちゃって!


(すっごい男の子の匂いがする…。)


揉み合っているうちにいつしかくるんと上下逆さま。

あたしが下になってて…まるで組み伏せられた様な形に…なっちゃった…。

…押し倒されちゃった…!


承『…。』

『…。』



ベッドで…男の子…ううん、承に上から組み伏せられた様な格好…。

30cm程の距離で見つめあう…

…そして腰の…辺りに…なんか硬いもの当たってる…?


承『うわ!ごめんごめん!』


…コレって…


『ごめん!あーしも調子乗った!ごめんね!


…ねえ?腰に硬いもの当たってんだけど…?』


あたしは真っ赤になりながら尋ねた…。

まさか?さっきの落ち着かなきゃって?男の子の生理現象…?

カタカタカタ…ってパズルが組み上がっていく…ギャル友から聞いたことがある…まさか朝d…



承『…ポケットに入ってた…ひーちゃんのおもちゃじゃない?』


そう言うと…布団の中から…電車のおもちゃが…。



真っ赤になりながら…承が。



承『…伊勢さん?何を勘違いしたの?』


『〜っっっっっっっっっ!!

ごめん!すぐ部屋出るから!』


あーしは急いで部屋を飛び出した!

恥ずかしいよぅ!!あたし勘違い痴女じゃん!!



☆ ☆ ☆

窮地を脱す   side立花承


『なんで伊勢さんが俺のベッドに…?』


さっきまでうなされて…のぞひーと戯れてて…俺寝落ちしてた?

で、待ち合わせ遅れて伊勢さんが家に来て…家族があげたのか?



『それにしても…破壊力すごすぎ…。』


…男の生理現象…バッキバキだった上に…

ローアングルで伊勢さんの胸元…すっご。


俺は傍のひーちゃんのプラレールの電車を見つめる。


『まさかこいつに助けられる日が来るとは…

いつもひーが持ち込んで忘れて行って寝てる時ゴツゴツして痛い目に合わされた電車が俺を救ったなんて!

こいつが伊勢さんに当たってたなんて言い訳…本来苦しい。』


口に出して聞かれたら一大事…!

でも思わずにはいられない。


(ごめん伊勢さん…当たってたの俺のバッキバキです…!)


目を開けて至近距離の伊勢さんは可愛くて…バインバインで…バッキバキがバッキバキバキになったなんて言えない…言えやしないよ…。

まして押し倒したような体勢だよ?!


今も同じ高校でずっと近くに居てくれる伊勢さんを汚してしまったような気分…!

俺はため息を吐きながら落ち着きを取り戻して速攻で準備をし始めた!

いや、まずシャワーだろ!

伊勢さんごめん!!


☆ ☆ ☆

望『ずいぶんお楽しみでしたね?ごゆっくりどうぞ?』


望ちゃんがニマニマしながら声かけてくる。


『ちょっと乱暴に起こしてやっただけだし。』


あたしはすまし顔で知らん顔!

本当は恥ずかしい!でもあんなにくっ付いちゃった…。

望ちゃんはいいの!いいの!って言うと、


望『あたし達そろそろ出るんで?家誰も居ないですから遠慮なくどーぞ♪』

ひー『いってきます!』


望ちゃんのママにも久しぶりに挨拶して望ちゃん達を見送った…。

そっか、祖父さんや祖母さん居ないから…今この家にふたりきり…。


…ふたりきり…

たまに聞くよね?

『今日家に誰も居ないんだ…。』


男女どっちでも…それは誘い。

今日家に誰も居ないんだって言われて意識することって言ったら…決まってるじゃん!


どどどーすんの?どーすんの?!

さっき組み伏せられた意外な強さ、身体の厚みが想像を掻き立てちゃうし!

ぽわん、ぽわん。

想い浮かぶのはえっちぃこと…!


いやいや…キチンと手順を踏んでもらって?

順番に諸々こなしてからじゃないと…合意出来ないっしょ!



トントントン!

階段を降りてくる承にさっきの望みちゃんの伝言を伝えるよ。


承『わかった、シャワー浴びてくる。

俺の部屋で待ってて?』


承はキッチン横の脱衣所へ入って行く。


…うん?


俺の部屋で待ってて?

シャワー浴びてくる…。

さっき押し倒されたような形だったよね?



…どどどどどどどーすんの?!

あーしは一応下着チェック…!

大丈夫…今日は新しいかっわいいの履いてるし!

ツヤツヤテカテカの素材のやつ…!


…本当に押し倒されたりしないよね?


男の子がシャワー上がってくるのドキドキして待つなんて…!

あたし…どきどきし過ぎて…まじやばい…

大丈夫だよね?ね?




☆ ☆ ☆

たくさんコメントありがとうございました。

多数決で耳元囁きルートでお送りしました!


ちなみに手を握ってそろそろ起きてルートは寝ぼけてのぞひーと間違えて成実を布団に引っ張り込んで


承『…だきまくら…』


って寝ぼけた承が成実を抱きしめたまま10分くらいそのまま。

成実はフリーズ。半覚醒状態の承は聞かれた事に素直に答えて成実は照れ照れ!

そのうち覚醒して抱いてるのが成実だったことに承もフリーズ!って話でしたw


どっちでも互いを男女って意識したってエピソードになる予定でした!

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